2019年12月
トップランナー制度、ガス温水機器は4区分に統合


 経済産業省・総合資源エネルギー調査会の省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会におかれているガス・石油機器判断基準ワーキンググループ―が10月30日に開かれ、エネルギー消費性能の向上に向けた「トップランナー制度」におけるガス温水機器と石油温水機器の区分見直しが審議され、経産省から区分の考え方と4区分に整理する新区分案が示されました。

■狙い「消費効率の優れた製品を積極的に販売できるよう」

 それによれば、高度な省エネ技術ゆえに高額で高エネルギー消費効率である機器は区分分けも考えられるが、「製造事業者などがエネルギー消費効率の優れた製品を積極的に販売できるよう、可能な限り同一の区分として扱うことが望ましい」との観点から、ガス温水機器の次期基準では、①機能や性能の消費者ニーズの代表性を有する要素を踏まえて、使用用途の種別、通気方式に基づいて区分を設定する、②強制通気式のガス瞬間湯沸器は、屋外式と屋外式以外との足下での効率差が縮小しているため、給排気方式による区分分けは行わない、と提示。現行の17区分を4区分に整理統合するとしています。

 ガス温水機器の新区分


*カッコ内のアルファベットは、現⾏基準における区分名


改訂「容器流出防止指針」、台風被害を受け実施徹底へ


 経済産業省・産業構造審議会の保安・消費生活用製品安全分科会におかれている高圧ガス小委員会の第15回会合が10月31日に開かれ、経産省から「2019年15・19号台風にかかる対応」(高圧ガス充填所等からの容器流出)として、すでに業界自主基準のさらなる見直しの検討と周知徹底を関係団体に指導したことが報告されました。これを受け、12月6日に開かれる同小委では、「今回の容器流出は対策実施が不徹底な中で発生した」(指針見直しは不要)として、①実施期限を設けて確実な実施を求める、②実施状況を改めて調査することが方向づけられる見通しです。

 

■空容器を含む約600本の産業ガス、LPガス容器などが流出

 LPガス容器の流出防止自主基準である日本LPガス団体協議会「容器置場における容器転落・転倒及び流出防止措置指針」は、2018年7月豪雨での被害を踏まえて10月に改訂され、被害リスクに応じた流出防止策などを実施するよう求めています。

 しかし、経済産業省によれば、今回の台風襲来では「浸水により、神奈川、埼玉、宮城、福島、栃木県内の海・河川沿いにある複数の高圧ガス充填所などから、空容器を含む約600本の産業ガスやLPガスなどの高圧ガス容器が流出し、海・河川沿いに広く散乱」しました。

  このため、同省ではホームページやツイッターで、発見時の対処法(触れない、火気使用しない、協会に連絡など)を注意喚起するとともに、関係省庁局長級会議などでの注意喚起や、海上保安庁等への回収協力要請を行いました。こうした結果、(一社)日本産業・医療ガス協会と(一社)全国LPガス協会は、海上保安庁や警察、消防の協力を得て回収を進め、10月24日時点でうち約560本の容器回収を終えています。

 この日の高圧ガス小委ではほか、開放検査周期の延長拡大に向けた、“時間”で画一的に区切ったメンテナンス(TBM)から「“状態”に基づいたメンテナンス(CBM)への移行のあり方」と、水素スタンド設備の遠隔監視による無人運転に向けた、「水素社会の実現に向けた高圧ガス保安規制の見直し」動向も審議されました。

 


2019年11月
給湯機器のCO2排出量、電気HPはガスの1.5倍


 環境省が9月30日に公表した2018年度「家庭部門のCO2排出実態統計調査」の結果(速報)によれば、使用している給湯機器・システム別の1世帯あたりの年間CO2排出量(t-CO2)は、ガス給湯機器の2.52トンに対し、電気ヒートポンプ給湯器は1.5倍の3.87トン、電気温水器は1.8倍4.52トンに上ることがわかりました。全体平均では3.04トンでした。

■環境庁調べ、エネ消費は戸建て多いエネファーム最多

 一方、年間エネルギー消費量(熱量ベース)はエネファームが56.3GJ、次いで灯油給湯器・風呂がまが50.2GJと多く、ガス給湯機器は28.4GJ。これは、エネファーム利用世帯は「戸建てが多い」「世帯人数が多い」ことを反映していると見られます。全体平均では31.2GJでした。

 なお、全体の1世帯あたりの年間CO2排出量(3.04トン)は前年度調査より5%減少しました。二重サッシ・複層ガラス窓の有無などといった住宅属性や、冷蔵庫、照明等の機器の使用状況など、詳細な要因分析は確報値で明らかにされる見込みです。

 給湯器機器・システム別 1世帯あたりCO2排出量

 

■詳しくはこちら→「家庭部門のCO2排出実態統計調査(資料編)」

東京ガス、「エネファームミニ」を発売


 東京ガスと京セラは10月10日、世界最小サイズの家庭用燃料電池コージェネシステム「エネファームミニ」を製品化し、同30日から販売すると公表しました。京セラは、ダイニチ、パーパスと共同開発した「燃料電池ユニット(貯湯タンク内蔵)」を京セラブランドで東京ガスに供給し、東京ガスはパーパス製の「熱源機」とセット化して販売します。これにより、エネファーム市場のラインアップは戸建て用、寒冷地用、マンション用との4タイプへと広がります。

熱源機(標準タイプ)との組み合わせイメージ(左:熱源機、右:燃料電池ユニット)

 

■世界最小サイズ、発電出力400W、IoT対応

 エネファームミニは、発電の主要構成機器であるセルスタックや貯湯タンク容量を小型化することで、エアコン室外機と同等の世界最小サイズ(貯湯タンク容量:20ℓ、燃料電池ユニット外形寸法:W800×D350×H700㎜)を実現。これにより、奥行き500㎜
スペースへの設置が可能になったため、新たな消費者宅でも採用が可能になりました。

 また、発電効率の高い固体酸化物形燃料電池(SOFC)を採用し、定格発電出力を従来のほぼ半分、エネルギー負荷に合わせた400Wとしました。年間のCO2排出量でおよそ1tの削減効果に匹敵する高い省エネ性を実現します。さらに、発電中に停電が発生しても、発電を継続するレジリエンス機能を標準搭載しているので、停電時専用コンセントからテレビ、携帯電話の充電ができ、給湯や床暖房の使用も可能。

 ほか、IoT対応や設置工事の簡素化も特徴だ。パーパス製のスマートフォンアプリを利用すると、エネファームミニで計測したガス、電気、水道の使用量や光熱費などが手軽に把握でき、外出先から風呂の湯張りや追いだき、床暖房の操作が可能。離れて暮らす家族の見守り、体脂肪率などの健康管理も可能。また、スマートスピーカーに対応しているため、音声での湯張りや追いだき、床暖房などの操作もできる。製品の小型・軽量化は搬入時間の短縮化につながり、低重心化で下駄基礎の利用を可能にしたことで、設置工事も短時間で終えられます。

 エネファーム市場は、国の補助・支援とZEHなどをはじめとした低炭素化のすう勢も受けつつ、2009年の発売以降右肩上がりで推移してきました。戸建て用に続いて、寒冷地用、マンション用も登場し、ランナップも進んでいます。しかし、一部メーカーの離脱もあって、2017年度の4万8,830台をピークに、2018年度は4万6590台へとやや下降しました。そうした中でのエネファームミニの発売が提案設置先の拡大にどうつながるか期待されます。

容器、バルク貯槽出荷、20年検査反映し2割増


 LPガス溶接容器、バルク貯槽の生産実績が前年同期2割ほど上回る推移を見せています。(一社)日本溶接容器工業会のまとめによれば、2019年1~9月の出荷実績は、溶接容器が1,246,531本、バルク貯槽が10,694基で、溶接容器は+21.4%、219.4千本強、バルク貯槽は+19.1%、1.7千基それぞれ前年同期を上回っています。バルク20年検査にともなうバルク貯槽の廃棄や容器への置き換えを反映していると見られます。


■バルク貯槽処理認定工場、3工業増え35工場に

 (一社)日本溶接容器工業会はこのほど、バルク貯槽処理認定工場一覧を公表しました。それによれば、前年度より愛知県、鹿児島県、沖縄県で新規認定が出たことから、全体では35工場へと増えました。


■詳しくはこちら→PDF「溶接容器生産実績」PDF「バルク貯槽生産実績」PDF「バルク貯槽処理認定工場一覧」

中工FRP容器、20kg型来春発売


 中国工業は9月5日、「プラコンポ20kg」(LPガス用20kg型FRP容器)の販売開始を当初予定よりやや遅れる2020年2月とし、もっか最終確認テスト、生産ラインの整備・調整などを急いでいると公表しました。


■7.5kgは再検査5年に

 これより前(8月30日)、同社は「プラコンポ7.5kg」(LPガス用7.5kg型FRP容器)の再検査期間を5年に延長する特別認可を、経済産業省から同23日付けで取得したと公表しました。軽量で・腐食せず・残ガス量が見えるFRP容器は欧米では一般化しており。我が国では屋内・外、都市ガス圏、オール電化住宅におけるLPガス用途開拓の期待を担っています。


台風15号・19号が相次いで来襲


 記録的な強風をともなった台風15号(9月8~9日)と、北方に厚く長い伸びる雨雲をともなったスーパー台風19号(10月12~13日)が来襲しました。


■19号では容器流出・埋没多数、二次災害なし

 15号では、特に千葉県で強風(最大風速45m、最大瞬間風速57.5m)による屋根などの家屋損壊が多数発生するとともに、樹木、鉄塔、電柱倒壊による停電が17日間もの長期に及びました。19号では東海・関東から東北地方にかけて記録的な大雨(24時間降雨量:神奈川県箱根町940㎜超)遅い、71河川が135カ所以上で決壊。271河川で越水が発生。死者・不明者は100人近くに達しました。

 15号でのLPガス被害(供給支障)はありませんでした(経済産業省、内閣府)。しかし、19号では「6充填所が浸水したほか、200本以上の容器が流出・埋没した模様」((一社)全国LPガス協会)です。二次災害は報告されていません。


災害対応バルク、2013~2018年度の設置実績569施設


 LPガス振興センターがこのほど明らかにした2013~2018年度の6年間における災害対応バルクの設置実績(導入補助金ベース)は、病院・老人ホームなどが235施設、公的避難所が65施設、そして一時避難所が269施設で、合わせて569施設となっています。年100施設程度の設置で、中心的な役割を担う公的避難所は全体の半数弱となっています。


■東日本大震災を反映してか、“東高西低”で進行

 都道府県別にみると、宮城県の58施設、埼玉県の37施設、北海道の34施設などに対し、福井県が0件、高知、鹿児島両県が各1件と、取り組みへの温度差がみられます。全体として、東日本大震災を反映してか、“東高西低”で動いています。
設置拡大の上の課題は、初期コストと平時利用。トータルコストでは価格競争力があることや、独立分散型のLPガスならでは優位性をアピールすることでハードルを一つひとつ乗り越えていくことが求められています。


■2020年度の補助支援は3倍強に増額へ

 経済産業省は同月にまとめたLPガス事業関連予算の2020年度概算要求で、避難所などへの燃料備蓄推進事業として、前年度予算比9.2億円増の13.2億円を計上。災害バルクや非常用発電機、GHPの設置導入をさらに拡大していく方針です。こうした期待に積極的に応えていきたいものです。



2019年10月
2020年度概算要求、燃料備蓄推進をさらに強化


 経済産業省は8月30日、LPガス事業関連予算の2020年度概算要求をまとめました。避難所などへの燃料備蓄推進事業で、2019年度予算比9.2億円増の13.2億円を計上。災害バルクや非常用発電機、GHPの設置導入をさらに拡大していく方針です。

■概算要求のポイント

  • LPガス事業関連予算:354.8億円(前年度予算比4%減、19.6億円減)
    …減少の主要因は、国家備蓄基地の借入金支払額の減少による
  • 流通関係:349.2億円(5%減)
    ◇災害対応力の強化:13.2億円
    …災害バルク・非常用発電機・GHPの設置拡大
    …別枠(臨時・特別予算)でも、国土強靭化対策費として要求
    ◇取引適正化・流通合理化の推進:7.5億円
    …消費者相談・適正化指導支援0.8億円、中核充填所の新設・施設拡充1.6億円、構造改善推進事業5.1億円
    ◇備蓄体制の強化:328.5億円
  • 保安関係:5.6億円(14%減)…バルク20年検査後の5年ごと検査のあり方検討など

学校空調特需、1~7月のGHP出荷は3割増


■提案活動が奏功し、3~6月中に181校へ納入
電気・ガス空調市場は、2018年の酷暑特需(電気)に続き、この2019年は文部科学省補助金による学校空調特需に沸いています。1~7月の出荷実績(日本冷凍空調工業会調べ)は、電気のEHPが前年同期比12.7%増、家庭用エアコンが0.2%増であったのに対し、GHPは30.5%と高進。1~6月の公立学校向けの出荷数(業界紙調べ)は5,732台となり、うち14.7%にあたる843台がLPG仕様でした。

■岡崎市24校、飯田市・泉佐野市各18校、多治見市14校…
一方、(一社)全国LPガス協会がまとめた「公立小中学校への導入提案成功数」では、昨夏以降に提案活動が行われた15都府県・27市区町村(788校)のうち、3~6月中に納入が決定したのは計181校。設置校数が多いのは、岡崎市(24校)や多治見市(14校)、八王子市(13校)、飯田市(18校)、泉佐野市(18校)など。
これらのうち、体育館は泉佐野市で18校(前出)、給食室は八王子市で12校への納入が実現したものの、ほかは数カ所。ただ、納入校は今後さらに増えてくる見通しにあります。

●成功事例の背景に「防災協定」「最後の砦」「積極的な提案活動」
提案が成功したケースは、①災害時の防災協定を締結している(全国1,787自治体のうち95%が締結)、②LPガスは「災害時のエネルギー供給の“最後の砦”」に位置づけられている、③市長など行政トップや教育委員会や危機管理、防災担当部局などへの積極的な働きかけ、④独自のパンフレットや資料で優位性を具体的にアピールしたことなどが奏功しています。



■学校空調、普通教室8割弱、特別教室5割、体育館は進まず3.2%
文部科学省は9月19日、「公立学校施設における空調(冷房)の設置状況(9月1日現在)を公表しました。それによれば、「ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金」(平成30年度補正予算)の対象となった公立の小中学校等のうち、空調(冷房)設備を設置している室数は、①普通教室:全保有室数427,187室のうち334,936室(設置率78.4%)、②特別教室等:413,843室のうち209,055室(50.5%)、③体育館:34,429室のうち1,095室(3.2%)となりました。
これは前年同期より、普通教室は18.2ポイント、特別教室は6.5ポイント増えましたが、体育館は1.2ポイント増。普通教室の設置率は令和元年度末(2020年3月末)には9割に達する見込みです。






■詳しくはこちら→PDF「学校空調201909」

避難所となる学校の防災機能、「LPガス等」は57.1%


 文部科学省は8月28日、「避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査」(4月1日現在)の結果を公表しました。それによれば、全国の公立の小・中・高校、特別支援学校など33,285校のうち91.2%にあたる30,349校が避難所に指定されていますが、災害時に炊き出しなどを行うための「LPガス等」は今回初めて調査され、保有率は57.1%であることが明らかになりました。

■文科省、今回は「LPガス等」も新規調査
避難所校のうち、学校施設の利用計画を策定しているのは51.3%の15,571校(避難所校)で、各防災機能を保有する学校数は、次のようになっています。利用計画の策定、防災機能の保有は、いずれも前回調査(2017年4月1日)より向上していました。

●防災機能の保有状況(カッコ内は避難所校総数に占める割合)
①備蓄倉庫:23,693校(78.1%)
②飲料水:22,377校(73.7%)
③非常用発電機等:18,468校(60.9%)
④LPガス等:17,341校(57.1%)
⑤災害時利用通信:24,529校(80.8%)
⑥断水時のトイレ:17,707(58.3%)

■「ガス設備」の保有10千校、協定3千校、カセットコンロなど4千校
◇防災機能のうち、「LPガス等」は災害時に利用可能な調理設備、炊き出し設備、空調設備、暖房器具等を指します。

◇対象校は、「災害時に利用可能なLPガス設備が設置されている学校」や、「中圧ガス配管を敷地の中まで引き込み、災害時に利用可能なガス設備が設置されている学校」で、ほか、民間事業者等との協定等によりLPガス設備を確保している学校」「カセットコンロ・カセットボンベ、薪やペレット等を燃料とした設備を確保しているなどの学校」を含みます(ガスを燃料とした自家発電設備の場合は「非常用発電機等」に含む)。

◇これらのうち、ガス設備を保有しているのは10,402校、協定等によりLPガス設備等を優先して利用可能なのは3,009校、カセットコンロや薪、ペレット等を燃料とした設備を確保しているのは3,930校でした。

LPガス等関する防災機能を保有する学校数と割合


■詳しくはこちら→PDF「避難所となる学校施設等の防災機能201908」


容器流出事故、実態把握を踏まえて指針徹底へ


 (一社)全国LPガス協会は、昨年の西日本豪雨を踏まえて主目的を“敷地外への容器流出の防止”へと見直した「容器置場における容器転落・転倒及び流出防止措置指針」(日団協技術基準、2018年10月24日改訂)の浸透徹底を図っています。

■高リスク充填所、過半が「網ネット」で対処、「対応予定なし」は6.5%
この一環で、全L協が「指針への取り組み」を問うアンケート調査を実施したところ、8月にまとまった調査結果によれば、回答1,774カ所の立地(ハザードマップによるリスク区分)は、高リスク:11.2%(199カ所)、中リスク:16.7%(297カ所)、高・中リスクだが対策済み:20.0%(355カ所)、浸水リスクなし:50.7%(900カ所)となりました。
また、高リスク充填所(199カ所)がとる対応は、網ネット:54.8%が多く、中リスクの暫定措置(ロープ・鎖で固定など):22.6%、金網で囲う:5.0%など。「対応予定なし」(6.5%)、「廃止予定」(4.0%)もありました。
全L協ではこの結果を踏まえ、「対応予定なし」と回答した充填所などには、今後ヒアリングを実施するなどして、事故防止対策を徹底してもらう考えです。

■台風15号が関東地方を直撃
◇9月初旬(8~9日)、台風15号が関東地方に上陸。鉄塔・電柱倒壊や倒木などで最大93.5万世帯が停電に見舞われ、復旧も長引いた。電源車250台を投入も、熱中症による死傷者が相次いだ。

◇経済産業省「被害・対応状況」(9月11日午前6時30分現在)によれば、①横浜地区の高圧事業所が浸水しボンベが敷地外へ流出(すべて回収済み、ガス漏れなし)、②集合住宅(横浜)から容器6本が流出(うち4本回収済み)、③千葉県内でLPガスオートスタンド2カ所が停電により営業停止。

◇LPガス備蓄基地・充填所の被害情報はなし。


2019年9月
FIT見直し、家庭用・小規模太陽光は継続


 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)について、経済産業省は8月5日に開いた有識者会議で、住宅用・小規模太陽光などは引き続き制度の対象とするものの、大規模太陽光や風力などは対象外とし相対取引に移行する見直し案を示し、了承されました。来年の通常国会に改正案を提出し、2021年度から移行させる予定です。

■大規模太陽光や風力などは相対取引に
FIT制度の2012年度導入により、再生エネの総電力量に占める割合(水力除く)は、2011年度の2.7%から2017年度には8.1%へと上昇。一方で、買取費用の原資とするため家庭や企業が負担する賦課金は、標準家庭(2019年度)で電気料金全体の1割、年9,204円にも増加。このため、政策の転換を迫られていました。
見直しにあたっては、再生エネをFIT制度からの自立化が見込める「競争電源」と、地域において活用され得る「地域電源」に整理。需要地に近接して柔軟に設置できる住宅用・小規模事業用太陽光発電など地域電源は引き続き対象とする一方、大規模太陽光、風力など競争電源は外す方向性を打ち出しました。


LPガス車「JPN TAXI」のプラモデル発売


 トヨタが2017年10月から発売しているタクシー向けLPガス車「ジャパンタクシー(JPN TAXI)」のプラモデルが8月、プラモデルメーカーの青島文化教材社から発売されました。


出典:アオシマ公式サイト

■JPN TAXI、すでに登録数が1.4万台に
JPN TAXIはトールワゴン型ハイブリッド(スプリット方式)商用車で、車いすでの搭乗が可能。売り出されたプラモデル(1/24スケール)は、人気の「ザ☆モデルカー」シリーズの「'17ブラック」と「'17スーパーホワイトⅡ」。価格はともに3,400円(税別)。
LPガス車が年々減少する中、JPN TAXIはLPガス業界の大きな期待を担っており、発売以来7月までの登録数はすでに1 4,435台。LPガス車総数20万台の7.2%に達しています。

LPガス防災協定、締結率95%に、新たに4都県が100%達成


 (一社)全国LPガス協会はこのほど、都道府県協会における地方自治体との2019年3月末現在の「LPガス防災協定」の締結状況をまとめました。それによれば、締結している地方自治体は、全国1,787自治体のうち,700自治体となり、締結率は95%になりました。

■100%締結は38都道府県に増加
前年同期は1,632自治体で締結率が91%だったので、68自治体・3ポイント向上したことになります。締結率100%は、埼玉県、東京都、兵庫県、鹿児島県が加わり、38都道府県になりました。
一方、最も遅れているのは奈良県(48%)で、次いで福島県(52%)となっています。

●100%未達府県は次の通り。
福島県:52%、茨城県:80%、新潟県:97%、山梨県:89%、愛知県:91%、奈良県:48%、和歌山県:87%、大阪府:75%、愛媛県:81%

国交省・経産省、注文戸建と賃貸アパートのトップランナー基準案示す


 国土交通省と経済産業省は、住宅・建築物の省エネ基準の改正に関する合同会議を8月8日に開き、新たに「住宅トップランナー制度」の対象に追加された「注文戸建住宅」と「賃貸アパート」の基準案を示すとともに、「戸建建売住宅」については目標年度、水準とも据え置く考えを明らかにしました。

■大手の建売建売・注文戸建・賃貸アパート、全面展開へ
オフィスビル、マンション、戸建住宅等に対する規制強化を盛り込んだ「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」の一部改正が2019年5月に公布。これを受け、戸建住宅は公布後2年以内に「省エネ性能に関する説明の義務付け」、大手住宅供給事業者には同6カ月以内に戸建住宅へのトップランナー制度が新たに注文戸建、賃貸アパートを加えて全面展開されます。
合同会議では、近く省令・告示案をまとめて同初旬にパブリックコメントに付し、10月24日の第13回会合で取りまとめる予定です。

■トップランナー制度の見直し案
●注文戸建住宅(対象:年間300戸以上供給する住宅事業者)
○目標年度:2024年度以降
○水準:①外皮基準=各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合、②一次エネ基準=各年度に供給する全ての住宅の平均で省エネ基準(その他一次エネ消費量を除く)に比べて25%削減

●賃貸アパート(対象:年間1,000戸以上供給する住宅事業者)
○目標年度:2024年度以降
○水準:①外皮基準=各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合、②一次エネ基準=同10%削減

●建売戸建住宅(対象:年間150戸以上供給する住宅事業者) 現行の目標年度・水準のまま据え置く。
○目標年度:2020年度以降
○水準:①外皮基準=各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合、②一次エネ基準=同15%削減

主要ガス機器販売、ハイブリッド給湯・GHPが伸長


 (一社)全国LPガス協会はこのほど、2018年度における主要ガス機器の販売実績とLPガス顧客の移動状況を明らかにしました。「需要開発推進運動」の一環でまとめたもので、配布先の92.4%、19,720社(総顧客数1,980.5万件)から回答がありました。

■電化離脱は年6万件へと減少傾向
これによれば、ハイブリッド給湯器(前年度比+12.6%増)とGHP(同3.8%増)の販売台数が伸長。オール電化による離脱顧客は2013~2015年度の平均10.9万件に対し2016~2018年度は平均6.2万件へと減少傾向にあります。





全L協、「自立型スタンド」の認定制度を創設へ


 (一社)全国LPガス協会は8月7日に開催したスタンド委員会で、停電時でも自家発電で操業できる「自立型LPガススタンド」の認定制度を年内に創設することを決めました。ライフラインの一翼を担う存在感を高め、LPガス車の導入につなげるのが目的。全国1,400スタンドのうち、当面2割程度の登録を見込んでいます。

■認定制度の概要 災害対応力に応じて3段階式
認定は、災害対応力に応じて3段階式とする。①完全自立型:停電時も通常時と同様に稼働が可能、②標準自立型:ローリー受け入れ時にはLPガス車への充填が不可、③準自立型:ローリー受け入れ時にはLPガス車への充填が可能。1年更新制。今後認定ロゴマークの作成を進める。


2019年8月
中国工業、コンポジット型20kg容器を年内発売


 中国工業は6月20日、充填量20kgの「オールプラスチック製LPガス容器 を2019年中に発売できる予定になった」と発表しました。当初予定よりやや遅れたものの、いよいよLPガス用の9割を占める一般市場(充填量=20kg、50kg)に、オールプラスチックのコンポジット型が登場することになります。

■課題の容器再検査、現行3年が5年へと延長
オールプラスチックのコンポジット型の優位性は、軽く堅牢、美観がいい、残量がわかるなど。このため、海外では普及が進んでいます。
同社はコンポジット型小型容器(充填量7.5kg)については、ノルウェーのへキサゴン・ラガスコ社と独占販売契約を交わし、2015年から日本国内市場に供給しています。
20kg容器の国産化は、LPガス関係業界や関連団体の要望を受けて、コンポジット型小型容器の輸入と並行して着手。日本LPガス団体協議会に設けられた技術基準作成委員会での基準作成にも参画したうえで、2019年5月に型式承認試験に合格したことから、2019年中に発売できる予定になりました。
課題となっていた容器再検査の期間も、特別認可の取得により現行3年が5年へと延長。使用期限15年は20年への手続き作業中ということです。

オールプラスチック製コンポジット型LPガス容器の特徴






2018年度末の販売事業者数、17,805者に


前年度より711者も大幅減少、大阪府は半減
経済産業省(ガス安全室)が明らかにした2019年3月末時点でのLPガス販売事業者数は17,805者となり、前年同期より711者減少しました。近年の減少数は年500者前後で、700者台に増えたのは2008年度以来。大幅な減少は、大阪府で232者も減少したことによるもので、一部業界紙報道によれば、知事登録から市町村登録に移管された際に補足漏れがあった模様です。この10年間における減少数は5,296者となります。

■所管別事業者数 本省所管も4者減少
2019年3月末数を所管別に見ると、本省が46者(前年同期比4者減)、監督部が180者(増減なし)、知事が17,579者(707者減)。知事所管事業者の減少が最も多かったのは大阪府の232者減(419者→187者)で、次いで北海道38者減(1,134者→1,096者)、栃木32社減(578者→546者)などとなっています。

■認定事業者数 一号234者、二号21者に
一定の保安管理体制を整え、緊急対応などににインセンティブが付与されているゴールド保安認定事業者数(第一号)は234者となり、前年同期より3者増えた。所管別では本省8者(1者減)、監督部14者(+1者増)、知事212者(+3者増)。保安認定事業者(第二号)は21者(+6者増)で、内訳は本省1者(1者減)、監督部1者(増減なし)、知事19者(+7者増)。

■保安機関数 1年間で795者も減少
18,140者となり、795者の減少。所管別では本省80者(3者減)、監督部474者(+1者増)、知事17,586者(793者減)。

■充てん事業者 908者・2,445カ所に
民生用バルク供給を手がける充てん事業者数は908者、設備数は2,445カ所となった。前年同期に比べるとそれぞれ25者減、4カ所増、この3年間では11者減、111カ所増。



スイッチング、電力2割、都市ガス250万戸に


 電力(低圧)のスイッチング開始申請数は、2016年4月の自由化から3年2カ月で全需要家のほぼ2割に達し、1年遅れの2017年4月から自由化が始まった都市ガスのスイッチング申し込み件数は、2年2カ月で250万戸に達しました。

■電力(小売)スイッチング状況
●スイッチング開始申請数(2019年6月末、電力広域的運営推進機関)
・2016年3月からの累計で1,2384,500件となり、2015年度末需要家数に対し19.8%に達した。
・スイッチング率は東京電力PGが26.7%、関西電力が25.2%と高進し、これに北海道電力が19.8%で続いている。

●低圧分野のスイッチング状況(2019年2月末現在、経済産業省)
・大手電力→新電力等:約944万件、大手電力自社内:約557万件。両者計では約1,500万件。
・新電力等→電力大手:約30万件、新電力等→新電力等:約47万件
・北海道、東北、中国・四国は、数値の掲載がない。





■都市ガススイッチング状況
●申し込み件数(2019年6月末、資源エネルギー庁)
・250,571件となり、250万台に乗った。スイッチング率は近畿が15.2%、中部・北陸が12.8%で、関東は8.8%。


期限満了バルク、8割が廃棄(入れ替え、容器供給)


 (一社)全国LPガス協会はこのほど、2018年度「燃焼器具交換・安全器具普及促進状況」(2019年3月末)の中で、製造後20年を経た期限満了バルク貯槽への対応状況を明らかにしました。それによれば、検査対象1
6,646基のうち、継続(告示検査対応<合格>)は2割弱(19.5%)で、8割は廃棄(入れ替え、シリンダー供給への置き換え)となっています。
廃棄が多いのは、検査に係る一連の作業に人手と時間を要するうえ、検査のコスト負担が大きいためと見られます。ほか、くず化処理業者が少ない、廃棄貯槽の保管場所を確保しづらいことも課題になっています。
2019年度中に期限完了を迎えるのは3,996基とされ、前倒し対応を含めると計11,219基が検査対象となる見込み。検査数は数年度にピークを迎えることから、検査数の平準化も求められています。

■2018年度「期限満了バルク貯槽への対応状況
総数:16,646基 対応:①継続(告示検査対応<合格>):3,239基(19%)、②廃棄(バルク入れ替え):7,664基(46%)、③同(シリンダー供給への置き換え):5,743基(35%)。

燃焼器具の交換、8千台実施、残数68千台に


 (一社)全国LPガス協会がまとめた2018年度末時点の「燃焼器具交換・安全機器普及状況等調査」によれば、未交換数はこの1年で7,917台減ったものの、67,536台が残っています。今回調査は、回収率が92.4%で、消費者戸数は1,980.5万世帯強。
全L協としては「LPガス快適生活向上運動」に、業務用施設への対応(ガス警報器とガスメーターとの連動、業務用換気警報器の設置)を追加し、普及促進を啓発していく考えです。

■交換対象器具の残数
残数内訳は、湯沸器が開放式13,167台、CF式3,652台、FE式24,189、風呂釜がCF式2407台、FE式1,848台、排気筒が4,273台。

■業務用厨房施設へのCO中毒事故防止 業務用換気警報器設置45.9%
対象施設421,935件のうち、法定以外の周知を実施が31 8,134件、業務用換気警報器(CO警報器を含む)の設置が193,742件で、設置率45.9%など。

■安全器具の普及率 警報器は78.3%、うち期限切れ9.9%
①マイコンメーター:99.6%、うち期限切れ0.1%、②ヒューズガス栓等:96.9%、③警報器:78.3%、うち製造から5年経過9.9%、④調整器:1,3281,666施設、うち7年ないし10年経過2.5%。




2019年7月
アストモス、カナダからプロパンを初輸入


アストモスエネルギーは6月5日、アルタガス(カナダ・アルバータ州)が、カナダ西海岸で操業を開始したリドリーアイランドプロパン輸出ターミナルから出荷されたプロパンを、日本で初めて、九州液化瓦斯福島基地(長崎県松浦市福島町、出資:アストモスエネルギー、ENEOSグローブ各50%)に受け入れたと公表しました。

■調達の多様化が一段と進展
アストモスエネルギーは2017年8月に、同ターミナルから輸出されるLPガスの売買契約をアルタガスと締結しました。同ターミナルは2019年4月に試運転を開始し、5月28日からプロパン輸出を始めました。
積み出し港はブリティッシュコロンビア州プリンスルパート港。今回の輸入量は公表されていません。
我が国のLPガス輸入は、割安な北米産へのシフト化が進み、2018年度輸入量(1,064万トン)は、中東24.3%に対し北米(アメリカ)が69.6%へと大きく逆転。今回のカナダからの輸入開始で調達の多様化が一段と進むことになります。







NITE、NITE、ガスこんろの不注意事故を注意喚起


 NITE(<独>製品評価技術基盤機構)は、2018年度にガスこんろによる死亡事故が3件発生したことを受け、利用消費者に向けて5月23日、「ガスこんろの事故(火災事故に潜むヒューマンエラー)に注意 するよう喚起しました。

■「使用中はその場から離れない」など呼びかけ
ガスこんろは2008年4月から調理油過熱防止装置の標準装備が始まり、同10月には法令で調理油過熱防止装置と立ち消え安全装置の装備が義務付けられました。しかし依然として、誤った使い方による事故や、安全装置のない古いこんろによる事故が発生。
2013~2018年度の6年間に重大製品事故として通知があった事故は225件に上り、うち調査が終了した事故182件は、99件が誤使用などによって起きていました。

■気を付けるポイント(NITE)
●使用中はその場から離れない。
●グリルは使用後、こまめに掃除する。
●グリル庫内で調理物や汚れなどが発火した場合は、操作ボタンや器具栓つまみを消火の状態に戻し、火が収まるまで開けない(扉を開けると、火があふれ、周囲に燃え広がるおそれがある)。
●煮こぼれや油汚れはきれいに拭き取る。
●ガス臭いときは絶対に火を点けず、ガス栓を閉めて販売店やガス事業者に連絡をする。
●点火しにくく繰り返し点火操作をするときは、周囲のガスがなくなるまでしばらく待つ。
●こんろの周囲に燃えやすいものを置かない。

学校空調背景にGHP出荷が急増中


 学校空調へのGHP提案・設置が各地で本格化し、日本冷凍空調工業会・GHPコンソーシアム統計によれば、1~5月の出荷台数(都市ガス・LPガス)は13,650台となり、前年同期を47.2%も上回っています。一方、EHPの1~4月出荷台数は289.0千台で、前年同期比11.1%増の水準にあります。GHP、EHPともに月を追うごとに増えています。

■出荷台数の推移
●GHP(カッコ内は前年比)
1月1,442台(4.0%増)、2月1,957台(13.4%増)、3月:2,773台(24.5%増)、4月3,286台(72.6%増)、5月4,192台(102.6%増)

●EHP(同)
1月59.8千台(1.1%増)、2月68.6千台(3.0%増)、3月:80.1千台(8.7%増)、4月80.5千台(+32.7%増)

学校空調背景にGHP出荷が急増中


 学校空調へのGHP提案・設置が各地で本格化し、日本冷凍空調工業会・GHPコンソーシアム統計によれば、1~5月の出荷台数(都市ガス・LPガス)は13,650台となり、前年同期を47.2%も上回っています。一方、EHPの1~4月出荷台数は289.0千台で、前年同期比11.1%増の水準にあります。GHP、EHPともに月を追うごとに増えています。

■出荷台数の推移
●GHP(カッコ内は前年比)
1月1,442台(4.0%増)、2月1,957台(13.4%増)、3月:2,773台(24.5%増)、4月3,286台(72.6%増)、5月4,192台(102.6%増)

●EHP(同)
1月59.8千台(1.1%増)、2月68.6千台(3.0%増)、3月:80.1千台(8.7%増)、4月80.5千台(+32.7%増)

次世代住宅エコポイント制度、申請受け付けがスタート


 消費税率10%で住宅を新築やリフォームしたとき、さまざまな商品と交換できる「次世代住宅ポイント制度」の申請受け付けが6月3日からスタートしました。リフォームについては貸家も対象。1ポイントは1円相当です。

■対象とする住宅(契約等の期間)
◇分譲住宅(貸家を除く):略
◇注文住宅(持家)・リフォーム
→契約:2019年4月~2020年3月に請負契約・着工をしたもの
→引き渡し:2019年10月以降に引き渡しをしたもの

■発行ポイントなど
◇住宅の新築:略
◇住宅のリフォーム(貸家を含む)
→1戸あたり上限30万ポイント 
※ただし、若者・子育て世帯によるリフォームなどの場合は上限を引き上げ
→対象工事
①窓・ドアの断熱改修
②外壁、屋根・天井または床の断熱改修
③エコ住宅設備の設置
④耐震改修
⑤バリアフリー改修
⑥家事負担軽減に資する設備の設置
⑦若者・子育て世帯による既存住宅の購入に伴う一定規模以上のリフォーム工事等
※ほか、既存住宅の購入に伴うリフォームの場合はポイントを加算

全L協総会、「LPガスビジョン2030打ち出す


 (一社)全国LPガス協会は6月6日、東京都内で開いた定時総会で、向こう10年を見据えた「LPガスビジョン2030」を発表し、その実現に向けた「アクションプラン」を示しました。また、2019年度の重点事業として自主保安活動、需要開発の推進、取引適正化の再徹底などを決定しました。

■秋元会長、「具現に全力で取り組む
LPガスビジョンは、同協会が流通3団体の統合で発足し10年が経過したことから策定。LPガスが「消費者に選ばれるエネルギー」となるよう、信頼・競争力・環境・連携・ブランドの5キーワードを掲げて取り組んでいくことにしています。
秋元耕一郎会長はあいさつで、「国の国土強靭化計画でLPガスの位置付けが明確化されたのは、3団体統合によるワンボイス発信の成果である」「LPガスビジョンの具現に全力で取り組む」と強調しました。

■LPガスビジョン2030
5キーワードを掲げ、次の主な活動を展開する。ビジョンを具現するアクションプランは中長期事業として推進していく。
●信頼:
法令の遵守、自主保安の推進
●競争力:
取引適正化の推進、お客様サービスの強化・多角経営のフォロー、公共施設へのLPガス常設常用・GHPの普及、LPG車の普及・スタンドの維持拡大
●環境:
高効率・省エネ機器の普及、再生可能エネとの共生
●連携:
平時・災害時供給体制の維持、早期復旧への協力体制、避難所への災害バルク導入
●ブランド:
LPガス従事者の満足度向上、LPガスのイメージアップ広報、新技術の活用

■2019年度重点事業
3大重点事業に加え、LPガススタンドの振興策も推進していく。

●自主保安運動:
“重大事故ゼロ・CO中毒事故ゼロ”を掲げて「快適生活向上運動(もっと安全さらに安全)」を継続推進する。今年度は2年目。
●需要開発運動:
「需要開発推進運動」を継続推進する。学校・避難所空調へのGHP導入を図る。
●取引適正化の再徹底:
適正化・料金透明化に向けて「LPガス販売指針」を再徹底する。
●その他:
LPガススタンドの振興、災害時の保安対策、中核充填所を中心とした安定供給など。




2019年6月
集合住宅での「ガス料金への設備費用転嫁」実態明らかに


■転嫁物件3割、告知3割、提案者はオーナー3割・販売業者2割
集合住宅で見られる設備費用のLPガス料金への転嫁や液石法による規制事項を、賃貸オーナーや管理事業者、入居者はどう認識しているか…を管理事業者と入居者に聞いた資源エネルギー庁「平成30年度石油製品需給適正化調査」の結果が明らかになりました。これによれば、転嫁物件は全体の28.7%あり、設備は給湯器が88.0%と多かったほか、ドアホン、エアコンも各36.0%ありました。費用負担の提案者はオーナーが27.8%、販売事業者が21.3%など。転嫁を入居者に告知しているのは32.0%で、「伝えていない」が52.0%。入居者の67.8%は料金が「高い」と感じ、48.5%は「料金を見直したい」と思っていました。エネ庁では国土交通省とも緊密に連携しつつ、料金透明化・取引適正化を進めていく方針です。

■入居者、「LPガスは高い」7割
この調査は、エネ庁がインターネットを利用して全国を対象に実施し、回答があったのは管理事業者が108件、入居者(2017年6月1日以降にLPガス賃貸集合住宅に入居)が6,590件。
エネ庁はこうした調査について、「費用負担の実態と改善状況」を把握するだけでなく、管理事業者や入居者に「料金の明示や告知ルールといった液石法による規制内容を周知・啓発する狙いも込めて実施している」(谷浩・石油部流通課企画官<液化石油ガス担当>)としています。

■エネ庁コメント
エネ庁は今回の調査結果を受け、集合住宅でのLPガス取引ルールについて、次のようにコメント(概要)しています。

●宅地建物取引業者等調査…「管理事業者は矛盾」「転嫁物件は選ばれなくなる」
①コストを低く抑えたいがゆえに、設備費用を販売事業者に負担させる管理事業者と、供給契約を獲得するために設備費用を負担する販売事業者の存在があり、設備費用を負担するのは入居者という慣習が明確になった。
→入居者が設備費用を負担する場合は、その旨を確実に伝えるよう働きかける必要がある。

②管理事業者は、設備費用の料金への転嫁は「設備費用が抑えられるので良い」(64.8%)と回答する一方で、入居者から「料金が高い」(63.0%)と言われており、矛盾している。
→宅地建物取引業者等にも、事業継続を念頭においた取り組みを促す必要がある。

③今後も、国土交通省等とも緊密に連携して、料金透明化・取引適正化に取り組んでいく。
→設備費用は、販売事業者と入居者の間で交わす帳票の中で明確に記載されていれば問題はないものの、人口減少や住居供給の過剰傾向が進む将来においては、設備料金を入居者に負担させている集合住宅が「選ばれなくなっていく」可能性が指摘される。

●入居者調査 …「啓発効果が醸成されつつある」「“選ばれるLPガス”目指せ」
①料金体系や契約内容を透明化するため、液石法省令改正や立入検査の実施、消費者相談窓口の設置、取引適正化推進講演やセミナーを通じた普及啓蒙を実施してきた。
→この結果、「料金等を知りたい・見直したい・改めて確認したい・条件が許せば切り替えたい」という意識が醸成されつつある。

②しかし未だ、消費者にとってわかりやすい情報発信が完全に機能していると言い難く、LPガス業界が取り組むべき余地は多い。
→省令改正から2年経過しようとしている現在、「選ばれるLPガス」になるには、業界が経営と顧客満足を両立させる運動を継続することが必要である。

■詳しくはこちら→PDF「適正化調査_エネ庁コメント」


■「平成30年度石油製品需給適正化調査」結果のポイント
●宅地建物取引業者等(回答108社、うちLPガス物件を扱っているのは87社)
○設備費用を料金に転嫁している管理事業者25社のうち、転嫁を「伝えている」事業者は8社(32.0%)、「伝えていない」事業者は13社(52.0%)。

料金への設備費用転嫁の告知 


○料金への設備費用転嫁の告知義務を認識している管理事業者は39社(36.1%)。
○料金に設備費用を転嫁している物件を扱っている管理事業者は全体の28.7%。「わからない」が51.7%。料金に転嫁されている設備は、「給湯器」が88.0%と最も多く、次いで「ドアホン」「エアコン」が各36.0%。

設備費用の料金への転嫁物件とその設備機器


○新規入居者への販売事業者名の告知は、「契約書に明記」が64.4%、「契約までに口頭で説明」が31.0%、「販売事業者に関する書面を渡している」が28.7%。
○設備費用転嫁の提案者は、オーナー27.8%、販売事業者21.3%、管理会社・管理協会14.8%など。

設備費用転嫁の提案者


○販売事業者が設備費用を負担することについて、「負担してもらいたい」とする管理事業者は48.1%。料金から設備費用を回収することが「設備費用が抑えられるので良い」とする回答が64.8%を占める一方で、「入居者からガス料金が高いと言われる」という回答も63.0%に上る。

■詳しくはこちら→PDF「適正化調査_管理事業者」


●入居者(回答6,590件)
○料金 「LPガス料金は高い」とする意見が3分の2を占める。67.8%が「高い」と思っている。48.5%は「料金を見直したい」と思っている。

LPガス料金の価格について


料金の見直し意向


○告知等 契約する販売事業者を入居者に告知している管理事業者は77.4%。53.4%が販売事業者に関する書面を交付。47.7%が契約書に明記。

○切り替え 販売事業者を切り替えた入居者は54人。回答した入居者の約3割は切り替えられることを知らなかった。切り替えを試みた入居者は販売事業者を「切り替えたい」、または「切り替える必要はない」と回答した人(2,704人)の8.4%。うち、切り替えることができた入居者は2.0%。切り替えられなかった175人中、53.1%が集合住宅の運営・管理事業者に、37.1%が集合住宅オーナーに断られた。

○転嫁への認識 料金への設備費用の転嫁を認識している入居者は13.3%。「設備費用が含まれていない」が40.2%。「転嫁についてわからない」が46.5%。42.1%は転嫁の説明を受けたが、32.4%は説明を受けていない。転嫁されている設備費用は「給湯器」が47.7%、「ユニットバス」が11.3%。

■詳しくはこちら→PDF「適正化調査_入居者」

災害バルク、流通改善補助金の公募始まる


  自衛的な燃料備蓄に向けた「災害対応バルク推進事業」と、LPガス販売事業者の構造改善に向けた「流通構造改善推進事業」の補助金公募が4月下旬から始まりました。

■大型物件に対応し、「上限1億円」を追加
災害対応バルクは2018年度補正予算分で8億3,380万円、6月7日に募集開始となる2019年度予算分で23億2,000万円が計上。大型物件に対応する狙いから、新たに「容器・供給設備とLPガス発電機・照明機器ユニット、空調機器ユニット(GHPなど)を同時に設置した場合」(補助金額:1申請あたり上限1億円)が追加されました。
「容器・供給設備のみ設置」は上限1,000万円、それにLPガス発電機・照明機器ユニット、または空調機器ユニットを同時設置した場合などは上限5,000万円となります。
一方、流通構造改善補助金は1申請あたり上限3,000万円で、募集は3回行われ、第2回が6月7日(締切:6月26日)、第3回が7月8日(同7月24日)。

神奈川県が注意喚起、「ガスの契約変更は慎重に」「検針票を気軽に渡さない」


 神奈川県(消費生活課)は、5月17日に発行した「かながわ消費生活 注意・警戒情報」(第91号)で、「ガスの契約変更は慎重に!」と呼びかけて、「検針票(領収書)などを気軽に渡さない」「契約先を変更する際は割引の条件などをよく確認する」ようアドバイスしています。紹介事例は都市ガスと見られますが、ホームページ上で閲覧できるほか、PDF版をダウンロードできます。

■紹介事例
先日、ガス代が安くなるので、乗り換えないかと業者が自宅に訪問してきた。少ししか使っていないため、乗り換えは必要ないと検針票を見せて説明し、帰ってもらった。しかし、数日後契約書が届いて驚いた。

■アドバイス
●検針票(領収書)などを、気軽に渡さないようにしましょう!
●契約先を変更する際は、割引の条件等をよく確認しましょう!

  • ガスの小売自由化に伴い、ガスの契約先変更の強引な勧誘を行う事業者について、相談が寄せられています。「安くなるから」と勧誘され、よくわからないまま契約してしまった、というケースも見られます。おかしいなと思ったら、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。
  • 契約の変更を検討する際は、検針票を渡したりせず、まず現在の契約内容を確認し、切替えでどの程度割引になるか、また割引の条件等をよく確認しましょう。今後のガスの使用量などによっては、結果的に負担が増えることもあるので、注意してください。
  • 訪問販売や電話勧誘販売では、クーリング・オフできる場合があります。不安に思ったら、消費生活センターに相談しましょう。

■掲載
●サイトURL:
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/r7b/cnt/f370214/310517.html

●PDF版:「注意・警戒情報第91号」


2019年5月
2019年度需要は+0.7%増、2023年度に向けマイナス成長続く


 経済産業省の総合資源エネルギー調査会・石油市場動向調査ワーキンググループが3月29日に開かれ、2019~2023年度の「LPガス需要見通し」が了承されました。それによれば、2019年度需要(電力除く)は2018年度実績見込み(1万4,343千トン<2017年度比▲1.1%減>)に対し、+0.7%増の1万4,439千トンとなる見込みです。ただ、2018~2023年度で見ると、年率▲0.2%減のマイナス成長が続くことになります。

■家業用は▲1.1%減、2023年度に向け年率▲1.0%減
うち家庭業務用の2019年度需要は、2018年度実績見込み(6,117千トン<2017年度比▲4.2%減>)より▲1.1%減の6,051千トンを想定しています。2018~2023年度で見ると、年率▲1.0%減のマイナス成長が続き、総需要構成比も2018年度の42.6%から2023年度には40.9%に後退。都市ガス用や工業用の割合が増える想定となっています。

■家庭業務用見通し
●2019年度は605万トンとなり、前年度比▲1.1%減の見通し。
●2018~2023年度では年平均で▲1.0%減、全体で▲5.1%減の見通し。

  • うち家庭部門は、利用世帯数の減少に加え、風呂釜・給湯器などの高効率化が進展し、需要が減少する。
  • GHPは、2019年度は補助制度により台数増加が期待できるが、将来的には徐々に減少傾向となる。同時に省エネ・高効率化が進展し、需要も減少する。
  • 業務用需要は、外食産業などの需要家件数が減少傾向で推移し、需要も減少する。

■自動車用見通し
●2019年度は83万トンとなり、前年度比▲5.7%減の見通し。
●2018~2023年度では、年平均で▲6.0%減、全体で▲26.5%減の大幅減となる。

  • タクシー・貨物車などを中心としたLPガス自動車台数は、年々緩やかにはなるが、継続的に減少する。
  • タクシーは、台数が適正水準に近づいて減少率は鈍化。LPガスハイブリッド車やバイフューエル車の普及により、車齢の高い車両から徐々に置き換わる。また、車両の燃費改善が継続的に進行していく。

2019~2023年度LPガス需要見通し


ガス機器出荷額、2018年度▲2.3%減、2019年度は▲1%減


 (一社)日本ガス石油機器工業会(JGKA)はこのほど、「ガス・石油機器出荷実績見込みと予測2019」(2019年2月発表)を公表しました。それによれば、2018年度のガス機器出荷額は、調理・温水・暖房全体が減少傾向の中、2018年12月末にはSiセンサーコンロ出荷台数の累計が3,740万台を突破しました。また、カセットこんろが伸びました。

■2018年度機器別、調理▲5.2%減、温水▲1.6%減、暖房▲2.6%減
●2018年度の概況
2018年は災害多発の中、戦後最長とされる緩やかな景気回復が継続し、個人消費を含めた内需回復が図られたものの、新設住宅着工戸数(1~12月)は94.2万戸と▲2.3%減少。これを受け、2018年度出荷額は、ガス機器が2,858億円(前年度比▲2.3%減)、石油機器が897億円(▲4.9%減)となり、ガス・石油機器合計では3,755億円(▲3.3%減)となった見込み。

●2019年度の概要
2019年は10月の消費税増税などの不安定要素があるものの、これにともなう住宅ローン減税の拡充、すまい給付金の拡充、次世代住宅ポイント制度の創設などの経済政策を背景に、前年度並みに推移していくと予測。2019年度の出荷額は、ガス機器が2,829億円(▲1%減)、石油機器が912億円(+2%増)、ガス・石油機器合計では3,741億円(増減なし)が見込まれる。

■ガス機器の出荷概要(見込み)
●2018年度:調理機器966億円(▲5.2%減)、温水機器1,758億円(▲1.6%減)、暖房機器76億円(▲2.6%減)、カセットこんろ58億円(+6.2%増)。

●2019年度の出荷概要:調理機器946億円(▲2%減)、温水機器1,749億円(▲1%減)、暖房機器78億円(+2%増)、カセットこんろ56億円(▲5%減)を想定。

バルク貯槽の生産実績、2018年は17.9%増


 (一社)日本溶接容器工業会がまとめたバルク貯槽・溶接容器生産実績によれば、2018年(1~12月)のバルク貯槽生産数は1万2,655基となり、前年(2017年)を+17.9%上回りました。増加は前年(生産1万731本、2016年比+9.3%増)に続き2年連続で、バルク20年検査への“前倒し対応”を反映していると見られます。

■2018年生産実績
●バルク貯槽:
300kg(4,168基)、500kg(4,114基)、1,000kg(4,007基)がそれぞれ4,000基台に乗り、この3タイプで全体の97.1%を占める。

●溶接容器:
LPガス用は160万1,678本で前年比▲12.2%減、自動車用は1万3,821本で▲45.4%減。LPガス用の減少は2年連続、自動車用は1998年以降で2010年(1万938本)に次ぐ少なさ。

■くわしくはこちら→PDF「バルク貯槽生産実績」 「溶接容器生産実績」

川崎重工、LPG焚き二元燃料機関初受注


 川崎重工は4月11日、独立船主界のくみあい船舶(株)が1995年に設立した100%子会社であるKumiai Navigation (Pte) Ltd(シンガポール)の大型LPG運搬船向けに、舶用電子制御式液化石油ガスインジェクションディーゼル機関(ME‐LGIPエンジン)を、国内舶用主機メーカーとして初めて受注したと公表しました。

■2020年には同社建造のLPG運搬船に坂出工場で搭載予定
少子高齢化、人口減少に加え、低炭素化や省エネ、高効率化といったすう勢のもと、総需要の逓減傾向が続いているLPガスの中で、新規用途として期待されている大きな一つが、LPガスを燃料とする船舶です(日本LPガス協会「LPガス産業の2025年ビジョン」)。
同社が受注したエンジンは、重油とLPGの双方に対応する二元燃料式。神戸工場で製造し、2020年9月には同様に同社が建造するLPG運搬船に坂出工場で搭載する予定。
この二元燃料エンジンは、燃料消費率の低減と硫黄酸化物(NOx)規制対応を同時に達成する複合低環境負荷システムを搭載しており、排気再循環、過給機カットシステム、廃水処理システムにより、国際海事機関(IMO)のNOx3次規制をクリアするとともに、低燃費・低ランニングコストを実現。これにより、燃料としてLPGを使用するときは、従来型の重油焚2サイクルディーゼル機関と比べて、SOxの排出量を90%以上削減するだけでなく、二酸化炭素(CO2)の排出量も大きく抑えられるということです。

「保安ガイド」、日本語版を含め12カ国に拡充


 LPガス安全委員会は4月15日、家庭でLPガスを使用する外国人や業務用厨房などで働く外国人に向け、保安啓発・保安教育の一環として、新たに6カ国語に翻訳した保安ガイド「家庭用・業務用保安ガイド」を作成・発行したと公表しました。6カ国はインドネシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、ネパール、モンゴル。
これまでに、日本語版のほか、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の6カ国語版を発行しているので、計12カ国に拡充されることになります。各パンフレットはLPガス安全委員会のホームページ(http://www.lpg.or.jp/)の「LPガス保安ガイドのご案内」からダウンロードできます(印刷のうえ利用可能)。


2019年4月
パナソニック、戸建向けエネファーム新製品発売


 パナソニックは2月22日、家庭用燃料電池「エネファーム」の戸建向け新製品を4月から発売すると発表しました。

■業界最高の総合効率97%を達成
特徴は、①業界最高の総合効率97%を達成、②健康で快適な屋内空間を実現する「PREMIUM HEATING」(プレミアム・ヒーティング)を搭載、③災害対応のレジリエンス機能を強化したこと。
LPガス仕様機はパナソニック・エコソリューションズ社の商流(LPガス地区で特約認定を取得した代理店)でも販売を開始するとともに、7月には「ふろ給湯タイプ」を追加発売する予定です。

2019年度保安対策指針、バルク検査、接続器具で追加


 産業構造審議会の保安・消費生活用製品安全分科会液化石油ガス安全小委員会(第11回)が3月6日に開かれ、経済産業省・産業保安グループから2019年度販売事業者等保安対策指針(案)、質量販売保安規制の制度設計方針、保安規制の整合化、認定販売事業者制度のエンブレム制定など、新たな保安施策が示されました。

■立入検査の重点事項では、他工事対策など4項目を追加
この中で、2019年度「立入検査での重点事項」に緊急時対応の体制や他工事対策等の周知など4項目、「保安対策指針」にバルク貯槽20年検査時の残留ガス低減努力(計画的な消費調整)、消費者起因事故防止対策で使用禁止接続器具の早期撤去・適合製品への取り替えが新規に追加されました。
またこれに、先立ち経産省からは2018年LPガス事故発生状況、2018年度保安対策指針への取り組み状況、立入検査の実施状況、さらに(一社)全国LPガス協会から平成30年7月豪雨への対応などが報告されました。

■2018年LPガス事故は発生状況
事故発生件数は206件で、前年の193件から13件増えた。死亡者数は前年より1人増えたが、負傷者数は46人で4人減った。うちB級事故は2件(死亡1人、負傷5人)で、CO中毒事故はうち1件(死亡1人)。

■2019年度本省立入検査の重点事項(下記4項目を追加し、計11項目に)

  • 緊急時対応の体制
  • 他工事対策等の周知状況
  • 液石法第16条の2に基づく供給設備に係る基準適合義務の遵守状況
  • 質量販売における基準の適合状況

■2019年度販売事業者等保安対策指針(案、新規項目は下記)
●バルク貯槽等20年検査に向けた体制整備
充てん事業者との連絡を密にし、工事日までに計画的な消費調整を行うことで、貯槽内残留ガスをできる限り減らす。

●一般消費者等に起因する事故防止対策
告示の一部改正(2017年)で使用が禁止された安全アダプター・両端迅速継手付ゴム管・両端迅速継手付塩化ビニルホース・両端ゴム継手付塩化ビニルホースをできる限り早期に撤去または法令適合製品に取り替えるよう一般消費者等に周知し、経過措置期間(~2022年4月1日)中に確実に措置すること。
ヒューズガス栓・両端迅速継手付燃焼器用ホース・ゴム管(両端にホースバンド装着)に取り替える。

■ガス保安規制の整合化(火気取扱設備との離隔距離、液石法の供給設備とガス事業法の特定ガス発生設備)
基本的な考え方は次の通り。2法間には設備構成や供給圧に差異がないため、ガス事業法の規定(一律8m以上)に代えて液石法の規定を採用したい。この場合、火気及び火気取扱設備との距離の区分は特定製造所の貯蔵能に応じて2m以上、5m以上及び8m以上とする。

■認定液化石油ガス販売事業者のエンブレム
4月から配布予定。「LP」はガス色、第一号認定の円色はゴールド。

経産省、建設工事での中事故防止を関係業界に要請


 経済産業省(産業保安グループガス安全室)は、建設工事などでのガス管損傷事故を防止する狙いで2月6日、厚生労働省(建設安全対策室、水道課)と国土交通省(建設市場整備課、下水道事業課)に、工事前のガス(都市ガス・LPガス)事業者への照会や必要に応じた立ち会い依頼などを徹底するよう建設工事業者などに要請しました。これを受けて同26日、ガス事業者側にも対応を徹底するよう要請しました。

■住宅塗装工事のCO事故防止でも周知要請
経済産業省はまた、住宅塗装工事でのガス機器給気・排気部の閉塞によるCO中毒事故などを防止する狙いで同6日、国交省(建設市場整備課)に、養生時に給排気部を塞がないことなどを塗装工事業者に要請するよう依頼。同様の対応を同日、ガス事業者側も消費者に周知するよう要請したことを同26日に明らかにしました。

新たな「水素・燃料電池戦略ロードマップ」策定


 水素社会の実現に向けた水素基本戦略、第5次エネルギー基本計画で掲げた目標を確実にするため、水素・燃料電池戦略協議会で3月12日、新たな「水素・燃料電池戦略ロードマップ」が策定されました。

■エネファーム、2020年頃までにPEFC80万円、SOFC100万円実現
目指すべきターゲットを新たに設定し、そのために必要な取り組みを規定するとともに、有識者による評価WGを設置して、分野ごとにフォローアップ。産学官で目標達成に向けて加速していくことになっています。

●目指すべきターゲット(「エネファーム」のみをピックアップ)
◆2020年頃の自立化、2030年までに530万台(変更なし)。
◆2020年頃までにPEFC型80万円、SOFC型100万円を実現
◆2030年頃までに投資回収年数を5年とする。

経産省、2019年度エネファーム補助スキームを策定


 済産業省は3月11日、2019年度家庭用燃料電池システム(エネファーム)導入支援事業の補助スキームを策定しました。基準価格は固体酸化物形(PEFC)が80万円、固体高分子形(SOFC)が123万円で、裾切価格はPEFCが96万円、SOFCが134万円。

■補助スキームの概要(エネファーム<基本型>の機器価格と工事費の合計価格)
●基準価格以下→SOFCは8万円を補助
●基準価格は上回るが裾切価格以下→SOFCは4万円を補助
●裾切価格を上回る場合→補助対象外

*PEFCは定額補助なし.
*既築住宅向けやLPガス対応機種などは、PEFC、SOFCともに追加補助あり。
たとえば、基準価格以下を達成した既築・LPガス対応SOFCの場合、
補助総額は基本補助額8万円+既築3万円+LPガス対応3万円=14万円となる。


東京2020オリンピック聖火リレートーチはLPガス


 東京2020オリンピックの聖火リレートーチの概要が3月20日に明らかにされました。利用エネルギーは当初、「水素やバイオ燃料を!」との要望もありましたが、LPガスが採用されました。

■火力の強い青い炎と、火のない燃焼で「赤い炎」灯す
トーチは2回の審査会を経て、デザイン、技術それぞれの分野の有識者によって、東京2020オリンピックに最もふさわしいものとして選定されました。
トーチのデザインは日本人に最もなじみの深い花・桜をモチーフとしています。色彩は、エネルギッシュ、情熱的、愛情深い、行動力があるといったイメージをもつ、日本の伝統色「朱(しゅ)」に、大地を連想させる「黄土(おうど)」を組み合わせ、日本らしい祝祭感を醸し出すようつくられています。
主な素材はアルミニウムで、仮設住宅由来の再生アルミニウムを30%ほど含んでいます。制作者は企画・デザインが吉岡徳仁デザイン事務所で、トーチ筐体はUACJ押出加工、素材はLIXIL、燃焼機構は新富士バーナーが手がけました。燃料と燃料ボンベはENEOSグローブが担います。
聖火リレーは「Hope Lights Our Way/希望の道を、つなごう」というコンセプトのもと、121日間という長期間にわたって全国各地を巡ります。このため、いろんな気象条件にさらされても聖火が保ち続けられるよう、燃焼部は「火力の強い青い炎」と「火のない燃焼(触媒燃焼)」との2つの燃焼方式で“赤い炎”を支える仕組みになっています。
聖火リレーは2020年3月26日に東日本大震災の被災地、福島県を出発し、開会式会場の東京・新国立競技場に7月24日に着きます。


2019年3月
ガス機器事故の減少続く、5年間で半減


 (一社)日本ガス石油機器工業会(安全対策委員会)はこのほど、2017年に発生したガス・石油機器製品事故に関する分析と対応をまとめました。それによれば、会員企業から報告があったガス関係の「重大製品事故」と「重大製品事故以外の事故」の合計数は167件となり、前年より7件減りました。

■石油機器も4割減、うち温水機器は1/3に
これらのうち、調理機器の事故は煮こぼれによる異常燃焼、グリルのお手入れ不足による発火、ガス用ゴム管引き回しなどの設置不良、ペットの挙動でこんろが点火し周囲の可燃物に着火…などが発生要因となっていました。
全体として減少傾向が続いており、5年前(2012年)に比べ半減しました。ほか、ガス栓・接続具は20件(前年と同数)、カートリッジ・燃料機器は15件(1件減少)でした。
一方、石油機器の製品事故数も減少傾向にあり、2017年は83件となり、5年前に比べ約4割減少。特に温水機器は約1/3に減りました。

製品事故件数推移(1~12月)


2018年CIF(入着価格)は平均64,617円、前年比15.4%、8,629円上昇


 2018年(1~12月)のCIF価格(入着価格、日本LPガス協会)は、総平均でトンあたり64,617円となり、前年総平均より15.4%、8,629円上昇しました。うち、プロパンは64,351円となり、8,712円上昇し、15.7%の上昇。円/ドルレートは110.48円で、2.00円の円高ドル安でした。



容器の再検査期限表示、5月から「西暦4桁」に移行


 今年5月の新元号を受け、和暦で表示していたLPガス容器の再検査期限が「西暦」へと改正されます。高圧ガス保安法・関係政省令の運用・解釈基準(基本通達)を見直して、3月中旬に公布、5月1日から施行される予定。

■改正内容
●具体的な規定内容:再検査期限を「西暦年4桁」で表示する。

●経過措置:下記①、②は従前の例によることができる。ただし、同規程の施行後、2019年10月31日までに行う容器再検査(または容器検査)、または同年11月1日以降最初に行う容器再検査で、改正後の基本通達の規定により表示を行うこと。

①改正規程の施行の際、現に表示をしている容器
②同規程の施行後、2019年10月31日までの間に表示をする容器


消費者庁、太陽光発電の火災事故で注意を喚起


 消費者庁は1月28日、住宅用太陽光発電に起因した火災事故に注意するよう喚起しました。太陽電池モジュールの設置形態によって火災リスクが異なるとの消費者安全調査委員会の原因調査報告を受け、「鋼板等なし型」は他の設置形態に、「鋼板等付帯型」はケーブルの挟み込みを防ぎルーフィング上にケーブルを可能な限り敷かない構造にそれぞれ変更する、「地絡検知機能なし」はある製品に変更することで火災発生のリスクを低減できると呼びかけています。

■火災事故は2008年から10年ほどの間に127件発生  住宅用太陽光発電の累積設置棟数は、2018年10月時点で2,374,700棟となっています。 事故調の報告書によると、事故情報データバンクに登録された火災事故は2008年3月から2017年11月までの間に127件。うち、他機関が調査していない72件を調べたところ、モジュールまたはケーブルから火災が発生したものが13件ありました。

■「鋼板等付帯型」「鋼板等なし型」は設置形態や構造の変更を!
累計設置棟数で見ると、設置形態は「屋根置き型」と「鋼板等敷設型」が計94.8%、「鋼板等付帯型」が0.7%、「鋼板等なし型」が4.5%となっていますが、調査した「屋根置き型」と「鋼板等敷設型」では野地板への延焼事例は発生していませんでした。
一方、「鋼板等付帯型」はモジュール下へのケーブルの挟み込みにより、ケーブルが発火した場合にはルーフィングと野地板への延焼の可能性があります。また、「鋼板等なし型」はモジュール、ケーブルとルーフィングの間に遮るものがないため、モジュールまたはケーブルが発火した場合、野地板へ延焼する可能性があると判明。設置形態や構造を変更するよう求めています。

■売電する場合には「事業者」として点検義務を負う
今回の注意喚起にあたっては、住宅用太陽光発電でも、売電する場合には「事業者」として点検義務も負う必要があるとも指摘しています。

太陽光発電の屋根断面イメージ

太陽光発電の2019年度買取価格、50kW以上500kW未満は14円/kWhへ引き下げ


 太陽光発電の2019年度の買取価格は、1月9日に開催された経済産業省・調達価格等算定委員会で示され、50kW以上500kW未満の事業用発電については、2018年度の1kWhあたり18円から14円へと4円引き下げる方向が固まりました。

■10kW未満は、出力制御対応機器の設置義務無しが24円、有りが26円
すでに、10kW未満の家庭用発電については出力制御対応機器の設置義務無しが24円、有りが26円に、うちエネファームなどとのダブル発電も無しが24円、有りが26円と同額に引き下げることになっています。
いずれも、システム費用が年々安くなってきているためで、50kW以上500kW未満の場合、2018年度は1kWhあたり22.1万円でしたが、2019年度は18.2万円へと下降すると試算されています。





2019年2月
災害対応バルクなどに前年度比5倍超の31.5億円


 経済産業省の発表によれば、2018年12月21日に閣議決定された2018年度第2次補正予算案と2019年度予算で、LPガス関係予算の総額は395.4億円(前年度409.7億円)となりました。注目されるのは、「災害等緊急時におけるLPガスの供給拠点等の維持強化」で31.5億円と、前年度(6億円)の5倍超も計上されたこと。

■LPガス関係予算総額は395.4億円(前年度409.7億円)
災害時のLPガスの供給拠点等維持強化の予算内訳は、2018年度2次補正で8.3億円、2019年度予算で自衛的燃料備蓄(災害対応バルク等への補助金)として4億円、国土強靭化緊急対策として19.2億円。
一方で、体制整備を終えた備蓄関係は356.4億円(395.7億円)へと減額。取引適正化・流通合理化関係も7.5億円(8.0億円)、産業保安グループ関係も8.6億円(10.0億円)へと減額となっています。

豪州イクシスLNGプロジェクトからのLPガスを初受け入れ


 アストモスエネルギーは1月23日、国際石油開発帝石(INPEX)がオーストラリアで主導するイクシスLNGプロジェクト(イクシス)で生産されたLPガスを、九州液化瓦斯福島基地(長崎県松浦市福島町、アストモスエネルギー・ENEOSグローブ各50%出資)に日本で初めて受け入れました。同社が同日、発表しました。

■我が国のLPガス安定供給体制、一段と進展
我が国のLPガスは、政情が不安定な中近東からの輸入が大部分を占めていましたが、近年はアメリカからの輸入が7割近く(2018年度上期)を占めるなど分散化が進展。今回オーストラリアからの輸入がはじまったことで、我が国におけるLPガス安定供給体制は一段と進むことになります。
アストモスエネルギーの今回の輸入は、イクシスから生産されるLPガスのうち、インペックストレーディングの引き取り分(プロパン、ブタン)で、購入形態は本船積込み渡し。

■イクシスLNGプロジェクトの概要
●出資者:INPEX、TOTALを中心に、台湾中油、東京ガス、大阪ガス、関西電力、JERA、東邦ガス

●オーストラリア連邦西豪州沖合に位置するイクシスガス・コンデンセート田から産出される天然ガスを、北部準州のダーウィンに位置する陸上ガス液化プラントで液化。年間約890万トンのLNGと約165万トンのLPガスを生産・出荷するとともに、日量約10万バレル(ピーク時)のコンデンセートを生産・出荷する。



消費税引き上げ需要平準化に向け「次世代住宅ポイント制度」


 今年10月の消費税率引き上げに備え、引き上げ前・後の需要変動を平準化する狙いから、税率10%で一定の性能を有する住宅を新築したりリフォームすると、さまざまな商品などと交換できるポイントを提供する「次世代住宅ポイント制度」が設けられます。2019年度当初予算の成立を受けてスタートし、ポイントの発行申請は6月以降から始まる予定。ただし、新築の貸家は対象外となります。

■対象は一定の性能を有する住宅の新築・リフォーム
対象となる注文住宅(持家)・リフォームは、契約が「2019年4月~2020年3月請負契約・着工をしたもの」、分譲住宅は「閣議決定日~2020年3月に請負契約・着工し、かつ売買契約を締結したもの」「閣議決定日までに完成済みの新築住宅で、閣議決定日~2020年3月に売買契約を締結したもの」。また、いずれの住宅でも「2019年10月以降に引渡しをしたもの」。
新築住宅の発行ポイント数は1戸あたりの上限が35万ポイントで、次のいずれかに適合するときは30万ポイントが付与されます。

  • エコ住宅(断熱等級4または一次エネ等級4を満たす住宅)
  • 長持ち住宅(劣化対策等級3、かつ維持管理対策等級2等を満たす住宅)
  • 耐震住宅(耐震等級2を満たす住宅または免震建築物)
  • バリアフリー住宅(高齢者等配慮対策等級3を満たす住宅)


一方、リフォームのポイント数は、上限が30万ポイント。若者・子育て世帯によるリフォームや一定の既存住宅の購入に伴うリフォームの場合は上限が引き上げられます。
対象となるリフォームは、次の通り。

  • 窓・ドアの断熱改修
  • 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
  • エコ住宅設備の設置
  • 耐震改修
  • バリアフリー改修
  • 家事負担軽減に資する設備の設置
  • 若者・子育て世帯による既存住宅の購入に伴う一定規模以上のリフォーム工事等


ほか、オプションポイントとして、新築では家事負担軽減設備としてビルトイン食器洗機(1.8万ポイント<以下「P」と標記)、掃除しやすいレンジフード(0.9万P)、ビルトイン自動調理対応コンロ(1.2万P)、掃除しやすいトイレ(1.8万P)、浴室乾燥機(1.8万P)、宅配ボックス(1万P)など、リフォームで断熱改修(内外窓、ガラス、ドア、外壁、屋根・天井、床)やエコ住宅設備(太陽熱利用システム、高断熱浴槽、高効率給湯器、節水型トイレ、節湯水栓)、家事負担軽減設備(ビルトイン食器洗機、掃除しやすいトイレ、浴室乾燥機、掃除しやすいレンジフード、ビルトイン自動調理対応コンロ、宅配ボックス)なども対象になります。

■詳しくはこちら→PDF「次世代住宅ポイントの概要」





太陽光発電の2019年度買取価格、10kW以上500kW未満は14円/kWhへ引き下げ


 太陽光発電の2019年度の買取価格は、1月9日に開催された経済産業省・調達価格等算定委員会で示され、10kW以上500kW未満の事業用発電については、2018年度の1kWhあたり18円から14円へと4円引き下げる方向が固まりました。

■10kW未満は、出力制御対応機器の設置義務無しが24円、有りが26円
すでに、10kW未満の家庭用発電については出力制御対応機器の設置義務無しが24円、有りが26円に、うちエネファームなどとのダブル発電も無しが24円、有りが26円と同額に引き下げることになっています。
いずれも、システム費用が年々安くなってきているためで、10kW以上500kW未満の場合、2018年度は1kWhあたり22.1万円でしたが、2019年度は18.2円へと下降すると試算されています。



岩井会長、「学校空調へのGHP導入に全力投入を」


 日本LPガス協会主催の2019年「新年賀詞交歓会」は1月8日、東京・港区内のホテルで開かれました。掲げられた2019年スローガンは、「暮らしを支え、未来につなぐエネルギーLPガス~青い炎のメッセージ~」。岩井清祐会長は「『LPガス産業2025年ビジョン』で掲げた安定供給や品質・安全の維持向上という基本路線を踏襲しつつ需要の喚起に取り組み、2025年の総需要として1,500万~1,600万トンを目指します」と意欲を示したうえで、特に学校空調と災害対応への取り組み強化を呼びかけました。

●学校空調への取り組み
公立小中学校の教室・体育館にGHPを導入し、教育環境の快適化に貢献。空調需要の開拓と災害対応を拡充する取り組み。大阪府箕面市をモデル事例に全国で推進中。

●災害対応力の強化
災害時に、被災地に一刻も早くLPガスを届けるため、LPガスタンクローリーを緊急車両に認定してもらうよう行政に要望していく。

消費者庁、太陽光発電の火災事故で注意を喚起


 消費者庁は1月28日、住宅用太陽光発電に起因した火災事故に注意するよう喚起しました。太陽電池モジュールの設置形態によって火災リスクが異なるとの消費者安全調査委員会の原因調査報告を受け、「鋼板等なし型」は他の設置形態に、「鋼板等付帯型」はケーブルの挟み込みを防ぎルーフィング上にケーブルを可能な限り敷かない構造にそれぞれ変更する、「地絡検知機能なし」はある製品に変更することで火災発生のリスクを低減できると呼びかけています。

■火災事故は2008年10年ほどの間に127件発生
住宅用太陽光発電の累積設置棟数は、2018年10月時点で2,374,700棟となっています。 事故調の報告書によると、事故情報データバンクに登録された火災事故は2008年3月から2017年11月までの間に127件。うち、他機関が調査していない72件を調べたところ、モジュールまたはケーブルから火災が発生したものが13件ありました。

■「鋼板等付帯型」「鋼板等なし型」は設置形態や構造の変更を!
累計設置棟数で見ると、設置形態は「屋根置き型」と「鋼板等敷設型」が計94.8%、「鋼板等付帯型」が0.7%、「鋼板等なし型」が4.5%となっていますが、調査した「屋根置き型」と「鋼板等敷設型」では野地板への延焼事例は発生していませんでした。
一方、「鋼板等付帯型」はモジュール下へのケーブルの挟み込みにより、ケーブルが発火した場合にはルーフィングと野地板への延焼が、「鋼板等なし型」はモジュール、ケーブルとルーフィングの間に遮るものがないため、モジュールまたはケーブルが発火した場合、野地板へ延焼する可能性があると判明。設置形態や構造を変更するよう求めています。

■売電する場合には「事業者」として点検義務を負う
今回の注意喚起にあたっては、住宅用太陽光発電でも、売電する場合には「事業者」として点検義務も負う必要があるとも指摘しています。

太陽光発電の屋根断面イメージ





2019年1月
秋元・全L協会長、3運動継続を呼びかけ


「総合インフラ産業」目指し戦国時代に打ち勝とう (一社)全国LPガス協会の秋元耕一郎会長は、「2019年新年のご挨拶」で、「電力・都市ガス全面自由化にともなうエネルギー間競争の激化、少子高齢化の進展などLPガス販売事業環境は非常に厳しい現状にあります」「一方で、近年大規模な自然災害が多発する中にあって、災害にも強いLPガスの重要性はますます高まっており、エネルギー基本計画でも大きな評価をいただいています」としたうえで、引き続き「LPガス快適生活向上運動」と「需要開発推進運動」「LPガス販売指針の再徹底」の3活動に取り組み、エネルギー戦国時代に打ち勝っていきましょうと呼びかけました。 さらに、「LPガス販売事業は、地域に育ててもらった地域密着型産業であり、電力・都市ガス会社にはない“地域での信用・信頼”という大きな財産がある。これを生かし、L他の事業も積極的に進めることにより、お客様にとって必要不可欠な『総合生活インフラ産業』になろう」とアピールしています。

 LPガス快適生活向上運動“もっと安全さらに安心”

事故の約3割はお客様に起因するもの。しかし、事業者起因も2割を超え、決して少なくない。また、近年は他工事業者起因が増えて全体の3割を超えており、早急な対策が必要。高い保安意識と責任感を持ち、引き続き自主保安運動を推進していただきたい。

 需要開発推進運動

需要開発はお客様からの信用・信頼を得るためにも重要な活動である。ガス機器の買い替えはもちろん、お湯まわりの需要開発も積極化したい。また、LPガス車を1台でも多く普及させ、平時からのLPガス利用を促進したい。さらに、国主導による学校空調化に呼応した教室・体育館へのGHP普及は不可欠であり、事業者、全L協、都道府県協会が一体となって取り組んでいきたい。

 LPガス販売指針の再徹底

取引適正化・料金透明化を業界挙げて徹底することが、消費者に信頼され選ばれるLPガスに結びついていく。

全L協、「販売業界ビジョン」と「アクションプラン」作成を了承


 (一社)全国LPガス協会は2018年12月3日に開いた執行役員会で、LPガス販売業界ビジョン「もっと広がるLPガス」と、ビジョンの実現に向けた「アクションプラン」の作成を了承しました。

 理事会などで了承を得て、2019年度からスタートへ
ビジョンは、2019年がLPガス小売、卸売、オートガススタンドの3団体を統合して10年の節目になることと、電力・都市ガス小売自由化でエネルギー全面競争時代に突入したことから、LPガス業界が目指すべき針路と、そのための取り組みを明確にするのが狙い。5~10年後を見据えて、“信頼・競争力・連携・ブランド・環境”をキーワードに、「いつも、どこでも、もっと広がるLPガス」を目指していく構想で、すでにブロック会議などで意見交換を重ねてきています。今後作成するアクションプランもブロック会議などで意見交換のうえ、理事会などで了承を得て、2019年度からスタートする考えです。

日協、「2025年ビジョン」打ち出す


 日本LPガス協会は2018年12月5日、「LPガス産業の2025年ビジョン」を打ち出しました。2025年のLPガス総需要として「1,500万~1,600万トン」を目指す内容となっています。

 拡大努力の進展に応じて総需要を設定
2025年ビジョンは、省エネ傾向などLPガス産業を取り巻く情勢変化とビジョンの改定経緯に触れたうえで、5つの取り組み方針を掲げ、総需要は現状の1,443万トン(2017年度)に対し、①現需要想定ベースで進捗したとき:1,400万トン、②需要拡大への取り組みが十分機能したとき:1,500万トン、それに加えて③LPG燃料船などの新規需要が実現したとき:1,600万トン、になると見込んでいます。

 5つの取り組み方針

  • 需要拡大に向け克服すべき課題と取り組み(税制見直し・産業育成・LPガス高度化など)
  • LPガスの安定供給(安定供給・備蓄・国内物流<輸入基地・二次基地>効率化)
  • 効率的かつ強靭な物流体制の構築(災害対応力・物流進化・次世代インフラ構築)
  • 環境への取り組み(低炭素社会実行計画・再生エネ利用推進と共生)
  • 品質と安全確保のための取り組み

2017年度の最終エネ消費、大震災以降初めて増加


 資源エネルギー庁は2018年11月15日、2017年度の「エネルギー需給実績」(速報)を公表しました。最終エネルギー消費は前年度比0.4%増えて13,382PJ(ペタジュール)となり、東日本大震災(2011年)以降初めて増加しました。電力は、2年連続の横ばい。

 需要動向

  • 家庭部門は厳冬が影響して大幅に増え、企業・事業所他部門は経済活動は活発だったものの省エネが進展して横ばいとなった。
  • 最終消費のうち家庭部門は同4.1%増で、家庭部門のみが増加した。
  • 電力消費は、家庭部門は5年ぶりとなる同2.1%増。

 供給動向

  • 一次エネルギー国内供給は、同1.0%増えた。化石燃料は4年連続で減少する一方、再エネ、原子力などの非化石燃料は5年連続で増加した。

 CO2排出動向

  • エネルギー起源CO2排出量は、同1.4%減と4年連続減少し、2013年度比10.0%減。
  • 電力のCO2原単位は2.7%改善し、0.52kg-CO2/kWh。
  • CO2は東日本大震災後の原発稼働停止等の影響で2013年度まで4年連続で増加したが、その後の需要減、再エネ普及や原発再稼働による電力低炭素化により減少傾向。


全L協、充填カップリングへのグリス塗布禁止


 (一社)全国LPガス協会は2018年11月27日、会員各社に充填カップリングにグリスを塗布しないよう文書で注意を喚起しました。グリス成分が噴霧式LPG車の燃料フイルターに蓄積して詰まり、エンジンへの燃料供給がとまる故障などが報告されているためです。




 資源エネルギー庁は、今夏終盤からにも、LPガス消費者を対象としたアンケート調査を実施する予定です。7月27日開催の「北関東地方LPガス懇談会」で明らかにしたもので、2017年6月1日の液石法施行規則等の改正以降に賃貸住宅に入居したLPガス消費者(6,000人)を対象とし、毎月のガス代の中に、販売事業者が費用を負担したエアコン、ドアホンなどの設備代金が含まれていないかをチェックしたい考えです。