第115回タスクフォース21
2016.2月例会

講演録

エネルギー自由化時代におけるLPガスの選択に向けて

講師:経済産業省・資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課 企画官(液化石油ガス担当) 田久保 憲彦

はじめに

 ただいまご紹介いただきました資源エネルギー庁石油流通課でLPガス産業企画官を担当しています田久保と申します。

 もう皆さんご承知だと思うのですが、エネルギー自由化時代が、本年4月の電力の小売自由化を皮切りに始まります。来年4月からは都市ガスの小売も自由化ということになります。その中でLPガスはどのように生き残っていけばいいのか、ということですね。

 テニスで言うと、錦織選手はビッグ4に向けて非常に果敢に攻めて、結局負けてしまいましたが、LPガスも東京電力とか、あるいはそのオール電化攻勢にどう対抗していくかとか、錦織選手に負けず劣らず非常に厳しい環境にあります。

LPガスの位置づけ

 まず、基本的なことからお話させていただきますと、LPガスの位置づけという点では、皆さんご承知のことですが、エネルギー基本計画でも「分散型のクリーンなガス体エネルギー源であって、災害時の最後の砦」として、国でも非常に重要視しているエネルギーの一つです。

 また、長期エネルギー需給見通しでは、エネルギーミックスと呼ばれている流れの中にあって、LPガスは2030年におけるエネルギー供給で3%を占めると明記されています。3%というと、“なんだ、少ないな”と思いがちかもしれませんが、家庭用では2,400万世帯で利用されています。都道府県別で見ると、5割超の世帯で使われている県が約7割もあります。こうしたデータを見るとわかるように、非常な重要なエネルギーであることが言えます。

 LPガスの総需要における家庭用エネルギーが占める割合は43%で、ここが非常に重要な点なのですが、ここをいかに維持拡大するかがこれからのLPガス業界に課せられた課題であると言えます。言わずもがなですが、東日本大震災では被災県のみならず、LPガスの有効性が………本文の続きを読む>>>

エネルギーと通信の融合による新たな付加価値提供について

株式会社光通信 コンシューマーアライアンス部 小田原 毅

初めに

 初めまして、光通信の小田原と申します。よろしくお願いいたします。
 まずは会社紹介です。弊社は光通信と申しまして、東証一部に上場させていただいております。従業員はグループ合計で1万2,000名ほど(※2015年3月末現在 アルバイト含む)で、コピー機や移動体通信事業、固定回線、保険代理店事業、ビジネスソリューション事業などをやらせていただいております。前期のIRを見ていただければと思いますが、売上は約5,600億円、営業利益は大体320億円くらいの会社になります。

 光通信の主な事業体についてご説明します。まず光通信グループが事業展開する3つのビジネスフィールドについて。1番目がショップ事業です。こちらは主に携帯電話ショップを展開しており、全国2,000店舗以上でキャリア様のショップを運営しております。

 次が法人事業です。こちらはコピー機事業をメインにやらせていただいており、あとは法人様のインターネット回線だったり、今であればタブレット等の展開をしております。

 3番目は保険事業です。こちらは各生命保険会社の代理店をやらせていただいております。コールセンターや来店型のショップですね。最近ですと、“みつばちほけん”や“ほけんの窓口”といった来店型ショップを運営しているほか、コールセンターを活用してお客様を獲得する事業体になります。

 また、主な取り次ぎの商材についてお話します。大きく分けて、個人向けの商品と、法人向けの商品、あとは業種別の3つの分野に分かれています。個人向けですと、携帯電話や固定回線のインフラ、保険商材、データカードなどがあります。法人向けですと、コピー機やビジネスフォン、法人携帯、パソコンのハードウェアなどがあります。また業種別には、飲食関連企業向けに予約システムの販売もしています。スマートフォンを活用して予約をすることで、待たずに飲食店に入れるようなファストパスのサービス等を展開しています。

 光通信の100%連結子会社であるホワイトサポートでは、個人向けインターネットを商品としています。「CLOUD LINE」という商品名でやらせていただいておりますが、こちらは、NTT東西が提供している光回線を利用し、光ファイバー回線とプロバイダーをホワイトサポートがワンストップで提供する新しいインターネットサービスです。

通信とは

 ここでいう“通信”とは、基本的に電気通信サービスのことを指しています。総務省が発表している平成27年版情報通信白書によれば、2014年末時点で、日本国内のインターネットの人口普及率は、約82%になっております。インターネットも昔に比べ、インフラ化しているということを汲み取っていただければと思います。

今回は、電気通信サービスの中でも、移動体通信と固定回線についてご説明します。まず移動体通信とは、………本文の続きを読む>>>

地域密着型小売電気事業への低コスト参入・運営を支援~バランシンググループの活用

パワーシェアリング株式会社 取締役営業部長 八木 敏之

初めに

当社のサービスについて

 皆様、こんにちは。本日は当社のサービスについてご説明いたします。当社のサービスは小売電気事業者様の事業運営をサポートしています。立ち上げ支援の大きな特徴といたしまして、小売電気事業登録申請のお手伝いから、電力供給までを支援します。こちらのほうは、完全成功報酬制でサービス提供をさせていただいております。電力の供給が始まって、初めて立ち上げ支援報酬をいただく形態です。

 電力供給開始後は需給管理業務を代行させていただきます。通常、需給管理業務代行には基本料金がかかるのですが、当社の場合は一切いただきません。報酬に関しては、契約電力×単価(円/kW)です。たとえば1,000kWの契約を需要家とした場合、1,000kW×80円=80,000円が毎月発生するという計算です。

 TEMSというのは顧客管理システムです。今後4月1日から低圧の自由化が始まりますが、基本的な機能としては広域のスイッチング支援システムと連携しており、当社の顧客管理システムで需要家のスイッチングから料金請求までを、一元的に管理できるクラウドシステムです。こちらの使用料金は契約電力×10円/kWです。先ほどの需給管理と、このTEMSを足して90円の受託報酬ということになります。

 当社の需給管理代行受託業務報酬および顧客管理システムは、売上が立って初めて弊社への報酬が発生しますので、固定費ではなく、変動費になっています。

 低コストで小売電気事業に参入いただける大きな特徴として、当初のシステム投資が一切かからないというところです。当社へビジネスオペレーションの委託をしていただきますので、バックオフィスまわりはすべて当社がサポートさせていただきます。

4つの業務支援サービス

シミュレーションから電源調達、顧客管理まで

 具体的なサービスの内容に関しては、販売支援、顧客管理、需給管理、あとはシステムです。販売支援というのは、お客様からいただいた電力使用データ、たとえば12カ月分の東京電力からの請求書の明細を当社のシミュレーターに入力して、提案書を作成します。顧客毎に収支試算までをすることができるシステムをご提供します。顧客電力データの解析支援と、提案書の作成をサポートさせていただくサービスをご提供しています。

 次に、実際の需給管理についてです。各小売電気事業者様が電力供給する翌日の需要想定を当社が行い、………本文の続きを読む>>>

25万部突破の『ガス屋さんのリフォームにはウラがある』が売れるのにはウラがある

株式会社日曜日 岩崎 薫

初めに

 株式会社日曜日の岩崎と申します。よろしくお願いします。1年半前に、一度こちらでお話をさせていただきました。そのときも緊張していましたが、今回もしています。

 “代表”とございますが、3年前に事業を始め、それから今もまだ1人で企画・営業・制作をすべてやっていますから、代表というのもおこがましいという感じです。都市ガスのクライアント様が多いですが、ガスに関する知識については端末から供給まで。ガバナに関しては分解・組み立てができるくらいまで知識を詰め込んでやっています。妻や義理の父や母からも「ガスマニア」と呼ばれています。  まずは簡単に弊社がどんな会社なのかを説明します。一言で言えば、弊社は広告をつくる会社です。特徴として、ガス会社に特化した制作会社としてやっています。

 業務として主に2つあります。一つはクライアントからご依頼を受けてつくる仕事。もう一つは、そこで得たノウハウを活かしてつくる仕事です。  先に、クライアントから受ける仕事を簡単に紹介しますと、ガスコンロやエコジョーズのパンフレット。リフォーム提案事例集は全国のガス事業者のリフォーム営業マン86人に取材して、成功談・ノウハウをまとめたものです。今回紹介させていただく「リフォームには“ウラ”があります」も、こちらで取材してノウハウを蓄積したものを出しています。他にもエネファームなど、端末に関してはすべてパンフレットでつくったかなという感じです。キッチン・バス(KB)業界とガス(都市ガス・LPガス)で構成するKB&Gコラボのロゴもつくりました。

 紙だけではなく、小学生が東京ガスに見学をするときに観て学んでいただくビデオ。ガバナに関しては社外秘なのでお見せできませんが、ディスプレイのうえにガバナが浮き上がり、ペンでつまんで組み立てて分解ができるシステムを構築しています。つくった映像が出てきて、それを観ながらプラモデルのように分解していくというようなものです。4Dといった感じでしょうか。ガスに関わるいろいろなお仕事をさせていただいています。

 これらのノウハウを活かしたものでは、先ほど紹介したお仕事で得た知識により、全国のガス事業者様のお役に立てるようなツールを作成しています。まずは『もしもに強いプロパンガス』。これはプロパンガスの安全を促進するための冊子です。そしてエコジョーズの販売促進で』皆さんは多くのお金をお湯代に使っています』。そして去年9月くらいにハイブリッドの販売促進で『ハイブリッドは電気とガスの先のステージへ』というタイトルのものがあります。そして『ガス屋さんのリフォームには“ウラ”があります』という冊子が今回テーマとさせていただくものです。これらを不定期で発行して、全国のガス事業者様に販売させていただいています。

 冊子『ガス屋さんのリフォームには“ウラ”があります』は25万部突破と書いてありますが、7年前くらいに私がいた会社でつくった『私のガスなし生活』という冊子は150万部売れました。同様に、IHとガスコンロを比較した冊子や、エコジョーズとエコキュートを比較した冊子も40万部弱出ました。

 なぜそんなに売れたのか、………本文の続きを読む>>>

ライフラインコンシェルジュ

株式会社カナジュウ・コーポレーション 代表取締役社長 牧野 修三

はじめに

 皆さん、こんにちは。カナジュウ・コーポレーションの牧野です。私からは、私どもカナジュウがこれまで取り組んできた振り返りと最近のできごとについて少しお話をさせていただきます。

 ライフラインコンシェルジュということでやってきたのですが、最近は似たような名称があちこちで使われるようになり、これから本家争いをしなければいけないかなとも思っています。これは冗談ですが…。

中長期ビジョンの策定に向けて

 1999年(平成11年)ですが、自社の中長期ビジョンを策定しようということで、戦略シナリオプロジェクトが立ち上がりました。LPガス事業は今後どのようになるのか、いろいろ心配しながら検討を進めたのですが、まずその資料の一部の抜粋、SWOT分析です。「情報インフラが整備されている」がSです。Oが「分散型エネルギーの時代が到来する」などと、ああでもない、こうでもないと意見を出し合いました。

 今から見れば、当たっているものもあれば、外れているものもあります。「顧客指導型のサービスニーズ時代がますます強まる」などといった意見もあり、それを踏まえてカナジュウの戦略オプションをまとめたわけです。

 こうした中で進めてきたドメインの検討案を見ると、サービスコンビニ業だとか、エネルギーサービスプロバイダーとか、またホームエネルギーコンサルタントだとか、いろんな案がありました。最近はよく総合エネルギーショップと言われますが、当時から言われていたのかもしれません。

 そして、環境シナリオからみたLPガス事業展開の要件として掲げたのは、第1番が、競合エネルギーとの価格水準において、現状の差以下に抑えること。つまり、これ以上差を広げられないようにするということです。………本文の続きを読む>>>

東京電力管内における東京電力と主な新電力との電気料金の比較について ~電気料金比較シミュレーションの説明~

有限会社エーエムアイ 代表取締役 鈴木 隆明

各社の電気料金比較シミュレーションを作成

 最近、電気料金の問い合わせが増えています。料金表を見ていても、なかなか理解が進まないので、エクセルで電気料金の比較シミュレーションをつくってみました。

 それで、どのように比較するかですが、それにはどういうお客様の場合に1年間の料金がどうなるか。それをある程度我々がつかんでおく必要があります。

 ただし、全てのお客様を比較しても仕方がありません。特に電力販売への参入を考えておられる方々は、どういうお客様をつかまえるかが非常に大事になりますので、この比較シミュレーションを活用していただければと思います

お客様の使用パターンを見極めよう

 お客様が1年間のレシートを持っていることは、ごくまれです。ほとんどの方は、当月か、前月ぐらいまでのレシートしか持っていません。その結果、1カ月分のレシートで1年間を予測しないといけなくなります。そうなると、お客様がどのようなパターンで電力を使用しているのか、それを把握しないといけません。

 そこで、私がやったのは、………本文の続きを読む>>>