第120回タスクフォース21
2016.12月例会

講演録

都市ガス事業の将来のあり方と今後の検討について/エネルギー自由化への対応について

講師:日本LPガス団体協議会 事務局長 土橋 一夫

はじめに

 タスクフォース21では以前、災害バルクの補助金やLPガス関連の予算のお話をさせていただいた記憶があります。日団協に異動してから早8年になりました。販売事業者の皆様のこと、現場のことについてはなかなか疎くなってきてしまい、お役に立てる話ができるか心配です。「都市ガス事業の将来のあり方と今後の検討について」と、偉そうな題名をつけましたが、私たちLPガス事業者が、今般の都市ガスの制度改革をどう考えていけばいいのかということを業界人として考えてみました。

 2015年の年末ごろ、日本ガス協会と日団協で、都市ガスと各地方のLPガス事業者がコラボレーションできないか、ということを検討していました。新たなコラボでは販促活動以外にも、もっと経営合理化的なことも含め、一緒に事業活動ができないかということでした。当時の日本ガス協会の専務理事よりお話をいただき、4~5回ほどガス協会とワーキングを開き、いろいろと議論をしました。

 その中身は原則非公開になっていますが、改めて考えてみると、今回お話する都市ガス事業が抱えている問題点です。それについては、彼らも危機意識を持っています。いわゆるこれからの小売全面自由化によってどのような問題が起こるのかということです。そして、ガスシステム改革小委員会で区分けした、都市ガス会社を4つのグループに分けたとき、第3・4グループの都市ガス事業者の皆様が、これからも都市ガスという事業体でやっていけるのかどうか。そこを真剣に考えていました。

 地方のLPガスの有力事業者の皆様方と、提携なり、M&Aなり、コラボレーションなり、何らかの形で協調、組み合わせてやっていけないだろうかという検討です。経営的なところまでは議論が入れませんでしたが、そのような内容も話題になりました。都市ガス事業にも今、大きな問題があります。LPガス事業と協調して、本当の意味で競合する電力セクターと戦っていけるかどうか。いかにしてガス体エネルギーとしての地域でのシェアを守っていけるかどうか検討をしたわけです。

 その後もしばらく検討を続ける予定だったのですが、ガスシステム改革論議が終わり、現在は電力・ガス取引監視等委員会で詳細なガス制度設計に入り、それが当初予想していた以上に、大手3社と日本ガス協会に大きな負荷がかかり、結局、対外的な会合や話し合いに手がまわらなくなりました。ただし、問題点指摘された点は今でもまったく解消されておらず、小売自由化論議が一段落したならば、いずれはこれらの問題も表出してくるのかなと思い、少しお話をさせていただきます。

平成29年に向けた主なスケジュール

都市ガス事業者の動き

 2016年12月現在、大手3社の託送約款の審査が行われています。料金審査専門会合がその舞台です。7月から取引監視等委員会で揉まれに揉まれて、学識者・消費者代表からかなり厳しいご指摘を受けながら、月1回くらいずつ開かれています。直近では12月1日の段階で、補正申請ということで、最終的な修正をしてくださいという段階です。その修正の提出日が12月16日になっており、最終的に託送約款審査許可がおりるのは12月26日と言われており、年末までにはMETI、各社よりプレスリリースするということになっています。

 一応、大手3社と、いわゆる経済産業局レベルでも地方都市ガス会社の託送審査も同時進行しています。託送約款の許可申請が出された174社も、12月26日に一緒に許可されると聞いています。ですから、都市ガス会社の料金関係の事業部門は、必死に年末にかけて最終調整を行っている………本文の続きを読む>>>

ホームページでのLPガス料金公開の検討

講師:株式会社カナジュウ・コーポレーション 経営管理部 藤村 佳輝

はじめに

 「ホームページでのLPガス料金公開の検討」というテーマをいただいたのですが、あまり難しいことはお話できませんので、当社でどういう考え方で検討を進め、いま実際どうやっているかについて、お話させていただきたいと思います。

LPガス料金の公表

誰に見せるためか

 “そもそも論”はこのタスクフォース21でも話題になり取り上げられていることと思いますが、資源エネルギー庁が大手50社の事業者様に対して、LPガス料金の公開・公表に関する取り組みについてアンケートを行ったことが発端になっています。当社はこの50社には入っていません。でも、そのうちにくるだろう、検討しておく必要があるだろうとして始めました。

 こと料金に関して、一販売事業者としてどういうことを考えるかと言うと、まずは需要家さんの反応がどうであるかです。なかには、料金が1種類しかないという会社さんもあるかと思いますが、全体としてはそうしたケースは少なくて、最低でも10種とか100種とかお持ちのケースも多々あるかと思います。

 ですから、そこを公表すると、どういう人たちが、どう反応するかが一番気になります。そして、それがどのくらい起きるのかと気になって、なかなか前に進めないという実態があるかと思います。

 当社もそうしたことを考えるわけですが、そのときまず、需要家さんを見て考えるのは、高い価格を出しておけば、何らか問い合わせがきても大丈夫だろうという思い。そうした安易な考え方になっていくわけです。

 一方で、当社が販売している神奈川県というエリアは、非常に競争が激しくて、特に同業他社との競争環境は厳しい。そうした中で、需要家さんの方を見て高い料金を出すと、それをもとに競り込まれるということが考えられます。だから、同業者さんの方を見れば、少しでも安い単価でオープンにしたほうが、商売がやりやすいと考えるわけです。

 これは相反する考え方になりますので、どのあたりで落ち着けるか。それが一番、議論が難しく定まらないところです。

 そうした中で当社が考えたのは、管轄官庁の資源エネルギー庁、需要家様、そして同業他社様といったファクターがあるものの、結局料金は誰に見せるためのものかということ。それを決めておかないと、今後どう進めるにしてもぶれてしまうのではないか。私としてはそう思っています。

 ですから、料金は誰に見せるためのものかということを想定しなから考えて進めていくのが、一番やりやすいのではないのかなと思います。

会社方針(5つの命題)

 そうは言っても、会社方針というものがあります。当社も社長のほうから出された命題が、5項目あります。

 1つ目はわかりやすいこと。そして、2つ目は………本文の続きを読む>>>

お客様との繋がりを深める 元気なシニアの「学びの場」「憩いの場」 生涯学習教室“カルチャーレストラン”開校のご提案

講師:株式会社日本コスモトピア 濱地 康弘

はじめに

 LPガス事業者さんの集まりで、「元気なシニアの学びの場」「生涯学習教室」と言われても、「なんのこと?」と思われるかもしれません。どういったものかと言いますと、お客様との繋がりを深めるためのご提案でございます。

 皆様は、LPガスの配達やお客様とのやりとり、料理教室などを通じて、LPガスを継続してご購入いただくための活動をされているかと思いますが、その一つとして、生涯学習教室をやってはいかがでしょうかということです。

 シニアといっても、皆さんは現役の方ばかりなので、あまり想像がつかないと思います。しかし20年、30年すると、我々も会社を退職して、シニアと呼ばれる日々を過ごしていくわけです。私自身もあと20年ほどするとシニアになってしまうのですが、そのときに自分がどうなっちゃうんだろうと考えます。

 妻は今、いろいろな活動をしており、平日はほとんどいません。私が定年になったら、一緒に旅行でもしようかな、なんて思っているのですが、実際には「いや、そんなヒマない」と言われて、私自身は一気にヒマになってしまうかもしれません。

 そんなとき、余暇を過ごすためにこういった教室があればいいのではないかということをテーマとしてご提案させていただきます。

会社紹介

昼間の時間を活用したパソコン教室

 まず我々の会社について紹介させていただきます。弊社は1982年に学習塾としてスタートしました。学習塾ではよくある話ですが、「使っている教材が合わないな、どうしようかな。じゃあ自分たちでつくってしまおう」ということで、教材制作を始めました。

 当時、すでにさまざまな教材が出回っていましたので、パソコンを利用して生徒一人ひとりに合うプリントを出せば、学習進度に合わせていろいろとやっていけるのではないかと考えたのです。生徒さんが自ら進められるように、動画やプリントを組み合わせた「自立学習形式」の教材を使い、結果的に全国で5,000教室に導入されました。ただ、いわゆる学習塾は、夕方から始まるので、昼間の時間が空いてしまっていました。

 そこで、2001年にパソコンを教える教材「パソコンくらぶ」を始めたのです。昼間の時間帯はパソコン教室、夜は学習塾。自ら学べる形式なので、先生がパソコンにあまり詳しくなくても、教材があればできるのではないかということです。当時はITバブルで、パソコンを教えるという需要が非常に多く、本当に一気に伸びました。2005年がパソコン教室のピークで、10,000以上の教室がありました。しかし、パソコン自体は習うのに6カ月くらい。結果、パソコンができる人たちがどんどん増えて、パソコン教室の需要自体が減っていきました。

シニアの“居場所づくり”へシフト

 2014年には2,000教室まで減りましたが、その中でも元気よくやっている教室もあったのです。当初は皆さん、手に職をつけるためにパソコンを習っていたのですが、2010年くらいになるとシニアの方が居場所としてパソコン教室に行くようになりました。

 しかし、ずっとやっていてもなかなか覚えない。ただ、その後に教室の中で皆さんとお茶しながらコミュニケーションを楽しんでおられる。教室がいわゆる“教える場”というよりも、………本文の続きを読む>>>