第133回タスクフォース21
2019.2月例会
講演録
切替対策・消費者向け広報での法律的な留意点
講師:半蔵門総合法律事務所 弁護士 野﨑 修 氏
動画ダイジェスト版
不正競争防止法
違反行為の要件
皆様、こんにちは。今日お話するきっかけとなった判例があります。ニチガスが広報の形で出している文書がありますが、概要は、ニチガスに対して、同業者であるジェステック及びエルピオが誹謗中傷し、その差止め及び損害賠償、日経新聞への謝罪広 告を求めたというものです。
この差止めの根拠になったのは、不正競争防止法にある「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知又は流布する行為」です。
違反行為の効果
不正競争行為として、営業上の利益を害するおそれのあるものは、差止め請求ができ、かつ誹謗中傷した者に、故意過失がある場合は損害賠償、さらに必要性がある場合は、営業上の信用を回復するのに必要な措置(謝罪広告など)を求めることができるとされています。
判例(平成30年8月31日東京地裁判決)の解説
原告は日本瓦斯、被告はジェステックとエルピオなわけですが、裁判では、「虚偽の事実と言えるかどうか」というところに時間を要します。本件でも2年弱くらいかかっています。被告側が、虚偽の事実ではなく真実だという場合は、真実だと証明できる確実な資料を準備しなければなりません。
虚偽の事実と言えるか
「告知内容目録」というものがありますが、こちらはニチガスが訴状に添付した資料です。ニチガスから見て、何が虚偽の事実なのかということが書かれています。
「日本瓦斯株式会社が、仲介業者に手数料を支払う必要があるから、ガス料金を頻繁に、または定期的に値上げを行っているとの事実。及び、それを理由とした消費者との訴訟が頻繁に提起されているとの事実」。ここを真実だと証明できる資料があるかどうかが、裁判の8~9割を占めています。
まずジェステックですが、ニチガスから切り替えの委任状がきたとき、お客様のところに行って「ニチガスはこういう会社ですよ」という以下のような文書を出したわけですね。
「仲介手数料を支払う必要があるから値上げを行う、仲介手数料を支払う必要があるから頻繁に定期的に値上げをする、消費者との訴訟が頻繁に提起されている」。これらが本当かどうかです。
「仲介手数料を支払う必要があるから、料金を必ず上げる」。「必ず」なんていうのは証明できませんが、これが本当かどうかです。
「一覧表(告知内容目録)に掲げられているように値上げされた顧客が、現に存在する。あなたも頻繁に値上げが繰り返される」。おそらく、あちらこちらの料金票を集めたとしても、それが同じお客様かどうかが問題になります。つまり、1人のお客様で値上げをされたお客様がいるのかどうか。
「輸入価格とは無関係にすさまじい勢いで値上げする。他社よりも大幅に高い料金を設定する」「2014年10月に従量料金の値上げをし、翌日その顧客の基本料金の値上げをした」。ニチガスの主張は「こんな事実はない」ということで、「今後、こういった嘘の事実はしないように」という差止めを求めました。
エルピオもジェステックとほぼ同じですが、特色があるとすれば、「一覧表(告知内容目録)のような顧客が現に存在する。切替工事をしてから約1年半で少なくとも200円の値上げをし、………本文の続きを読む>>>
LPガス販売管理システムクラウド利用の現況
講師:パーパス株式会社 営業本部 IT営業部日長 俊昭 氏
動画ダイジェスト版
はじめに
会社紹介
皆様、こんにちは。日ごろからパーパスのガス機器をはじめ、住設機器関係、また今回ご紹介させていただくIT商品をふくめてご利用いただき、誠にありがとうございます。
今回は「LPガス販売管理システムクラウド利用の現況」と大それた題名をいただいておりますが、その中でも、クラウドシステムだから実現できるサービスについてお話いたします。また最近は、働き方改革についての報道を目にすることが多いですが、それについてサポートするシステムを中心にご紹介させていただきたいと思います。
本社は静岡県富士市です。富士宮にある工場からは、富士山がきれいに見え、とてもロケーションのよい場所です。創業は1946年で、今年73年目を迎えました。従業員は970名の小さな会社ですが、社長の髙木をはじめ、全社一丸となり、「100年続く企業を目指そう」と元気にがんばっています。
事業内容は、日ごろお世話になっているガス給湯器をはじめ、私がやらせていただいているIT部門関係、ほかにも生ごみ処理機やエンジンを使った非常用ガス発電機などがあります。LPガスを使った非常用ガス発電機については、皆様もよくご承知のとおりですが、燃料が腐ることがありませんから、いま非常に脚光を浴びており、出荷台数が伸びております。
またテレビコマーシャルもやらせていただいております。時代劇風にしておりますが、今年からは坂本龍馬編になっています。機会がございましたら、ぜひご覧ください。
ITソリューション部門
私どもITソリューション部門のスタートは1982年(昭和57年)で、今年で37年になります。当時はNECのハードウェア「PTOS(ピートス)」というOSを使ったり、オフコンにソフトをセットして出荷していました。
ご存知のとおり、1995年にマイクロソフトから「Windows95」が発売され、爆発的に普及しました。そのとき、私どももWindows95版のLPガス管理システムを開発し、サービスをスタートしました。
ほかにも消費税が導入されたり、2000年問題があったりとバタバタしましたが、中大手企業様にサービスが提供できるよう、パソコンとサーバをつなげたクライアントサーバシステムをつくりました。水を扱われる企業様も出てきたので、「アクアウイング」という水宅配システムを開発させていただいたりもしています。
そして2008年、今回ご紹介させていただく「クラウドAZタワー」が始動しました。当時は、クラウドという言葉も世の中で聞くことがあまりありませんでしたが、当社社長の髙木が先頭に立ち、「これからはクラウドの時代だ」とスタートしたのです。2018年で、丸10年を迎えさせていただきました。………本文の続きを読む>>>
電力自由化後の現況とエネルギーサービスの提案
講師:イーレックス株式会社 営業2課 西村 伸太郎氏
動画ダイジェスト版
はじめに
皆様、こんにちは。本日はどうぞよろしくお願いします。まずイーレックスの紹介をしたいと思います。私どもには、大きく分けて3つの特徴があります。1つ目は、発電所を所有しているので、発電から小売りまでを行う新電力会社であることです。現在、小売電気事業者登録自体を行っている会社は全国で590社にまでふくれあがっています。2016年の段階では500社弱でしたが、100社ほど増えたことになります。しかしそのうち、発電設備を所有している小売電気事業者は、全国で数十社しかございません。
2つ目に、新電力業界では老舗の東証一部上場企業です。小売電気事業者登録自体もF-POWERさんに続いて2番手です。本日お越しいただいている皆様の中には、初めてイーレックスという会社の名前を聞く方もたくさんおられるのではないでしょうか。でも新電力業界では、ある程度知名度が高い会社ではあります。たとえば資源エネルギー庁が行う会合によく呼ばれて、意見出しを行っております。
3つ目に、我々はどこの元売とも資本関係は一切ございません。イーレックスはよく「どの元売と資本関係にあるのですか?」と聞かれますが、非常に独立性の高い新電力企業です。シンプルに電力事業だけの協業ができることが、我々イーレックスの特徴の一つでもあります。
自社保有発電所
計画中も合わせ75万世帯の発電量
続いて、弊社が所有している発電所についてです。すべてPKSと呼ばれるパームヤシ殻を再利用し燃料とするバイオマス発電所になっています。本日はPKSの現物をお持ちしていますので、ぜひお手に取ってご覧ください。当然、人体にまったく影響がないものです。これを使った火力発電所を稼働しています。
発電量ですが、現在稼働しているイーレックスニューエナジー佐伯発電所とイーレックスニューエナジー土佐発電所を合わせると、家庭用電力に換算して16.3万世帯分の供給量があります。今後の発電所計画も着々と進んでいます。建設中なのは九州の豊前、そして岩手の大船渡です。建設まではいっておりませんが、沖縄のうるま、四国の坂出にも計画中です。
これを全部合わせると、75万世帯分の発電量になります。そうはいってもピンときませんので、調べてきました。関東でいうと、群馬県が73万世帯くらいなので、群馬県全体をイーレックスだけで供給できるくらいの発電量があるということになります。ただ、建設中や計画中のものができあがるのはまだ先になります。沖縄で2年後くらい、計画中のものも5~6年後くらいと、長いスパンで計画をしております。
バイオマス燃料のパームヤシとは
PKSを使用している理由は、カーボンニュートラルという言葉にあります。バイオマス燃料を調達してきて、火力で蒸気を出してタービンをまわします。そのとき、当然CO2を排出してしまいます。ですが、植物が光合成でCO2を吸収し、これが成長する。成長した植物をまた燃料としてバイオマス発電に使うというサイクルになります。つまり、CO2に関してプラスマイナスゼロという考え方から、カーボンニュートラルという言い方をしているわけです。
このパームヤシはもともと何に使うものかご存知でしょうか。化粧品や食品に、パームヤシの油を使っています。それをぎゅっと絞った残りの種の殻を使っています。
PKSはイーレックスだけが利用しているわけではなく、日本各地にあるバイオマス発電事業者様が使っています。当然、日本だけではなく世界中にPKSを用いた発電所が建設されています。PKS自体は、もともと捨てるものです。………本文の続きを読む>>>