第138回タスクフォース21
2019.12月例会

講演録

自由化の中で ROAD TO ORIGIN-原点への道

講師:イーレックス株式会社 営業部 次長 境野 春彦

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はじめに

 皆様、こんにちは。このタスクフォース21での講演は以前からオファーをいただいておりましたが、LPガスの元売会社に勤めていたときは系列の壁が高く、お話できることの制約がございました。その後転職し、弊社社長からも「利害関係を超えて、人の輪が広がるのであればどんどんやってくれ」と勇気づけられる言葉をもらい、今回お話させていただくこととなりました。それでは、ご要望にお応えして“境野劇場”をスタートさせていただきます。

電力小売自由化から3年が経過

1,400万世帯が新電力に

 今から8年前、2011年3月11日の東日本大震災。明治時代からこの国を2つに分けた周波数の違いが首都圏への電力供給に支障をきたらしめ、この日から東京は2週間にわたる輪番制の計画停電に見舞われます。

 奇しくも、この大震災により、日本の電力系統の脆弱性が浮き彫りになりました。そこで急きょ、政府が打ち出したのが、電力システム改革です。2年後には電力広域的運営推進機関が設立され、そして2016年4月1日、ついに電力小売参入の全面自由化の幕が切って落とされることになりました。

 さて、それから3年の月日が経過しました。電力の自由化は、一体どのような推移を経てきたのか、簡単に振り返ってみたいと思います。

 2016年4月に始まったそれは低調なスタートでした。切り替えはわずか1.2%。それから半年経っても、3%弱に留まるという状況。このころ、日経新聞を筆頭とした日本のマスコミの論調の多くが、「日本の電力自由化は失敗だったのではないか」「諸外国と比べてずいぶんと見劣りがする」……そんな辛口のコメントが主流でした。

 ところが、このころから東京ガス、大阪ガスといった超大手新電力が、………本文の続きを読む>>>

賃貸オーナーへのアプローチ策~困りごとと解決提案例~

講演:GIC不動産管理株式会社 代表取締役 渡邊 宏

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はじめに

 本日はどうぞよろしくお願いいたします。私は不動産業界の人間ですが、皆様と同じく賃貸オーナー様をメインターゲットとしてお仕事をさせていただいていますから、いわば一心同体なのかなと思っています。本日は、私たちの業界から見た賃貸オーナーの現状をお話させていただきたいと思います。

 私は不動産業界に入って20年ほどになりますが、その前は飲食業界にいました。そのときにまんまと不動産会社に騙され、いくつか投資用不動産を購入してしまいました。買った瞬間、大赤字の物件だったのです。

 その後ご縁があり、飲食業界を離れて不動産業界に呼び入れられました。自分の物件も含めて、賃貸不動産経営というものをしっかりやっていかなければならないと感じ始めていました。親が所有する土地にアパートを建てたり、相続を受けたりといったことを経験しながら、「自分の物件なら失敗してもよいだろう」と、数多くのチャレンジと失敗をしてきました。その中でも「これはよかったな」という成功事例がいくつかありますから、そういったことをお取引先のオーナー様に伝えたり、業界に対して伝えたりしているのが、ここ数年のことです。ですから「苦飯を食った奴がしゃべるんだな」と思っていただければと思います。

 私が所属しているIREM JAPANとはアメリカに本部がある団体で、CPM(米国不動産経営管理士)という資格があります。この勉強をしているとき、日本の不動産業界の在り方はおかしいと感じるようになりました。どんな業界でもアメリカのほうが進んでいると思いますが、不動産の賃貸経営に限っては、15年くらい進んでいると思います。私が不動産を勉強していたころ、アメリカの情報を見て「すごい!」と思っていたことを、ちょうど今、日本がやっているような感じです。お客様に対するサービスや、何をしなければならないのかといったことに関して、アメリカはかなり進んでいます。

 本日、私がお伝えするお話の中には、不動産業界のあまりよろしくないところも露呈します。皆様の業界とも少し似ているところがあるかもしれないので、ぜひトレースいただき、今後に生かしていただければと思います。

“地主さん”と“資産家”

マインドを変えていこう

 今、私が難儀しているのは、オーナー様のマインドについてです。私は生まれ育ちが埼玉なので、お客様にも埼玉の方が多いですが、そのほとんどがいわゆる“地主さん”。自分たちの土地に、相続対策という名のもとにアパート・マンションを建てて相続を迎えるという流れが、昭和の終わりくらいから続いています。おそらく、皆様のお客様であるオーナー様も、そういった年代の方が多いのではないでしょうか。

 私が不動産業界に入ったとき、オーナー様といえばほとんどがこの地主さんタイプでした。土地は持っているけれどお金はない、不動産経営のことはほとんど理解していない、自分の我を通そうとする……。

 つい先週の話なのですが、あるオーナー様の物件に空室が出ました。現在は国交省の原状回復のガイドラインがしっかりとありますから、長く住んでもらったならばオーナー様の負担で工事しなくてはなりません。ところがこのオーナー様は、「退去者から全部取ってくれ。全部取るのが、管理会社の仕事だろう」とおっしゃったのです。………本文の続きを読む>>>

外国人雇用の手続きと留意点~異業種の状況も踏まえて~

講師:PAL総合行政書士法人 代表 櫻井 泰紀

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はじめに

 本日はタスクフォース21にお招きいただきありがとうございます。皆様もニュースで見聞きされていると思いますが、今年(2019年)4月1日から「特定技能」という新しい在留資格ができました。100時間にも満たない国会の審議時間で改正法ができあがりましたが、5年間で34万5,000人の外国人を受け入れるという話になっておりました。

 では、現状はどうでしょうか。2019年10月29日現在で、申請数が2,438人、許可が下りているのが732人です。許可率30%、つまり7割は不許可なのです。しかも、当初の予定だと、2019年3月末までに4万5,550人を想定していたのですが、実際に申請を出しているのは2,438人のみ。申請件数が5%しかないというのは、制度自体が複雑であること、諸外国との協定ができていないこと、制度が整っていないことなどの理由があります。

 私は業歴23年で、今まで約2,000件の外国人の入国手続きにかかわってきました。申請に至らなかったこともありますが、申請に至った件数は1,000件以上です。その内、許可率は99%。それなのに、先ほどのデータではたったの30%。なぜなのでしょうか?

 ニュースベースではよく「単純労働の受け入れが始まった」と言っていますが、実は入管法の構造上、単純労働の受け入れはしておりません。単純労働ではなく、単純技能者の受け入れを認めているのですね。ここのミスマッチングが、許可率30%という数字になっているのです。人材不足の中、外国人にどういう期待をして、どういう業務を担当させるのかというスキームについて、産業界と法律制度でズレがあることが、許可率が低い原因の一つではないかと考えています。

 本日は外国人を雇う上で、全体像をお話しながら、皆様のガス業界はどう動いていくのかという私の予想を含めてお話していきます。

 『改正入管法対応2019 フローチャートでわかる新在留資格にもとづく外国人材の受入れと活用』という本を出版させていただいておりますので、その内容にも絡めてご説明いたします。

在留資格カテゴリ

外国人は限定した業務しかできない

 まず、外国人を雇うときに知っておいておかなければならないことがあります。基本的なことなのですが、外国人はどんな仕事もできるわけではありません。ここが日本人と違うところです。日本人の場合、たとえば工場などの現場がある事業の会社が大卒の新入社員を雇えば、入社してすぐは現場を見に行く研修をさせたり、現場に配属させたりすることがあります。ところが外国人は、そのように何でもやらせていいということにはなっていません。

 外国人には在留資格というものがあり、………本文の続きを読む>>>