第141回タスクフォース21
2020.10月例会

講演録

中小企業者の事業承継と税金~上手な継ぎ方、継がせ方~

講師:田尻会計 副所長 田尻 重暁

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はじめに

本日は、「中小企業の事業承継と税金~上手な継ぎ方、継がせ方~」ということでお話させていただきたいと思います。

 ここ数年、事業承継は中小企業を取り巻く一番大きな問題、テーマです。さまざまな制度ができ、新聞やニュースで取り上げられることも非常に多かったのですが、この半年はやはりコロナの問題がありました。このため、事業承継の話題が取り上げられることもやや少なくなりましたが、やはり引き続き重要な問題として取り組まなければならないことですので、本日のテーマとしてお話させていただきます。

 それでは、自己紹介をさせていただきながら、本日の本題に入りたいと思います。私の事務所は東京スカイツリーのある墨田区にございます。父親が現役で所長を務める、今年で43年目の事務所です。ですから、私自身も事業承継の当事者でもあります。「自分もできているかな」と考えながら、お話させていただいております。

 少し前に放送していた『下町ロケット』というドラマがありました。あれは大田区が舞台だったかと思いますが、大田区、そして墨田区は東京の中でも町工場の多い地域です。中小企業、零細企業が非常にたくさんあるところになっています。ただ1970年あたりが一番のピークだと言われており、だんだんと承継する方がいなくなり、廃業するという会社も多く、今ではピーク時に比べて3分の1ほどになってしまっているということです。

 墨田区は行政をあげて、地域の経済団体、商工会議所をはじめ、いろいろなところが後継者の育成や事業承継に関するサポートを行っています。そのため、さまざまな自治体が墨田区の取り組みを視察しにきたり、交流をしており、先進的な取り組みをしている地域でもあります。私が墨田区で事業をやっている関係で、いま、商工会議所の東京地域、城東地域、いわゆる下町の足立区、墨田区、葛飾区、江戸川区あたりの事業承継の相談員をさせていただいておりますが、そういった中で、さまざまな企業様にお伺いしまして、実際に私が見てきたこと、感じたことを、少しでもお伝えできればと思っております。

 お話したいことは、大きく3つございます。まずは事業承継を考えるときの5つのポイントです。 事業承継のアドバイザーとしてさまざまな企業様に伺っていますが、いろいろなステージの方がいらっしゃいます。事業承継のことをまったく考えていない、これから取り組むという企業様もいらっしゃいます。ですから、まずは事業承継を考えるときのポイントを5つに絞って考えていただいたり、計画を立てていただくとうまくいくのではないかなと思います。

  逆に、この5つのポイントを逃すと、なかなかうまく進まないかもしれません。  次に、自社株式の贈与、贈与税のしくみについてです。先代の社長さんが亡くなって会社を継ぐということもあるかと思いますが、やはり事業承継が突然訪れると、会社の運営がうまくいきません。段階的に時間をかけて、会社をバトンタッチしていくという意味では、やはり生前贈与をしていくことになり、贈与税が関係してきます。この税負担、税コストをいかに少なくして事業承継を進めていけるかという課税上のポイントをお話したいと思います。

 そして最後は、株価対策です。いま申し上げたとおり、贈与をして、株を移していきますから、できるだけ贈与税の負担を軽くするために株価を引き下げ、圧縮してバトンタッチします。それにより、贈与税が少額で済むようになります。株価対策についてお話したいと思いますが、いろいろなスキームがあります。見ていると、一番多いのはやはり先代の社長さんに役員退職金を支給し、株価を下げるやり方。後々の調査で、役員退職金を否認されないよう、課税上のポイントを最後にお話したいと思います。

事業承継を考えるときの5つのポイント

後継者の選択

 さっそくですが、事業承継を考えるときのポイントは後継者の選択、経営権対策、株価・税金対策、納税資金対策、争族対策の5つになります。争族は「争う」方の争族です。

 それでは、まず後継者の選択。子供など親族へ承継するか? 従業員に承継するか? あるいは第三者へM&Aするのか? というところです。

 最近はそうでもないですが、4~5年くらい前、まだ事業承継がこれだけトピックとならないころに、私がいろいろな企業にお伺いしますと、まったく事業承継を考えていない、何も手をつけていない、………本文の続きを読む>>>

集合賃貸住宅切替に関する判決の解説

講師:半蔵門総合法律事務所 弁護士 野﨑 修

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事案の概要

 「集合賃貸住宅切替に関する判決の解説」ということで、お話しします。まず事案の概要ですが、2015年(平成27年)10月16日に大手販売業者が、地元販売業者に切替通知を送ってきて、10日後の同26日が工事日ということでした。

 同19日、地元販売業者が大手販売業者に対してファクスをします。その内容は、「ガス供給契約は、地元販売業者と入居者の契約であって、大家ではない。大家は一般消費者ではない。だからこの切替は認められない」というものです。

 それを受け、同22日、大手販売業者が、このアパートの入居者11名を訪問しました。7名からは業者変更の承諾書を受け取りましたが、4名が不在だったため受け取れませんでした。そこでその4名対しては、業者変更の告知のみを行いました。つまりポスティングをしたということだと思います。

 翌日、大手販売事業者が入居者全員に、切替工事日が26日であることを通知します。それとともに、大手販売事業者は地元販売事業者に対して、11名中7名の入居者の承諾を得たこと、残り4名に切替を告知したことを知らせます。

 その後、同26日に当初の予定どおり、大手販売事業者は切替工事を実施。同日には6名、11月4日までにはすべての入居者に14条書面の交付を完了したということです。

 すなわち入居者11名のうち4名からは切替の承諾がないまま切替を強行したという案件になります。

判決の内容(大家による解除の有効性)

現販売業者に対する解除の方法

 判決の内容は、大家による解除は有効だったのかというところです。  地元販売業者に対する解除の方法ですが、まずは当事者が誰かということ。解除できるのは、契約の当事者だけです。第三者が、他人の契約を解除することはできません。これが民法による解釈です。

 ガス供給契約とは、ガス販売会社がガスを売ります、供給を受ける消費者が料金を払いますというものなので、契約の当事者は地元販売業者と入居者になります。大家はガス供給を受けてガス料金を支払うという関係ではないので、当事者ではないということですね。

 契約の解除については、液石法通達の16条関係3項に「解除の申し出は、一般消費者等(契約の当事者)から、液化石油ガスの販売事業者に対してなされる契約を解除する旨の明確な伝達」と………本文の続きを読む>>>

コロナ禍でのガス機器ご提案

講師:株式会社パロマ 上席執行役員 首都圏営業部長 星 憲二

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市場環境の変化

 日頃はタスクフォース21会員の皆様には、大変お世話になっております。「コロナ禍でのガス機器ご提案」ということで、昨年とは違う状況の中、ガス機器メーカーとして皆様にお伝えしたいこと、ご提案したいことをお話したいと思います。

 まず、市場背景についてご説明申し上げます。今年の春先から、コロナウイルス感染拡大により、さまざまな環境変化がございました。国内のガス機器全体といたしましては、3月までは昨年並みで推移していました。4~5月は、ガス機器総数が約1割のダウン。6月より盛り返し、8月までは前年並みで推移してまいりましたが、先月9月は、昨年の増税需要の反動もあり、約1割減となっています。

 4月以降で、「自宅でストレスを感じていること」の調査結果を見てみると、40代既婚女性の1位は「料理頻度が増えたこと」となっています。ご自宅で増えた時間に関しては、料理、掃除が6割以上増加しています。在宅時間が増えるということは、料理時間が増え、その分コンロの跡片付け時間も増えています。

 別の見方をすると、コンロを使う時間が増えた分、コンロへの意識も以前より高まっているという調査結果も出ています。特別定額給付金でコンロを買い替えたというお客様が多かったのも、そういった意識変化が後押しをしたのではないかと言われています。

その背景のもう一つには、女性の社会進出による共働きの増加があると言われています。1980年は7:3の割合で専業主婦の世帯が多かったのですが、1996年を境に逆転し、現在では7割が共働き世帯になっています。このような変化は、メーカーとして注目すべきことだと捉えています。

 共働きが増えるということは、週末のまとめ買いが増えるということ。よって、大容量の冷蔵庫や洗濯機が売れるというニーズ変化が表れます。実際に家電店では、今なお大型家電品の売上が好調です。

 ワーキングマザーの時間に関する意識調査では、今の生活の中でもっと短くしたいこと第1位が「料理」となっています。約半数の方が時短、そして“家事ラク”を求めており、コロナ禍の中、このニーズは一層高まると予想しております。

 過去10年間の国内ガス市場推移を見ますと、売上金額は3,000億円から少しずつ減少してきておりますが、底堅い市場になっています。製品別では、ガステーブルがピーク時の約半分以下となり、その分ビルトインコンロが増えているかといえばそうではなく、買替サイクルの長期化も我々メーカーにとっても課題の1つになっています。

 新築需要は、これから毎年約3%前後の減少が予想されています。取替需要においては、ビルトインコンロは平均使用年数が17年。ガステーブルの取替サイクルの7年に対して、2.5倍の長期化です。給湯器は、エコジョーズの普及拡大に伴い14年と、年々長期化しています。付加価値商材提案とともに、壊れる前の経年提案がより一層カギになってきています。

ウェブ講習会

 こういった市場環境の中、本日は皆様方に3つのご提案を申し上げます。1つ目は、ウェブを活用した取り組みです。ウェブ講習とは、インターネット環境があれば、どこでも視聴可能であることにより、現在の3密を避ける取り組みとして、幅広く活用されています。

 私どもメーカーも現状に合わせ、さまざまなウェブの取り組みを行って………本文の続きを読む>>>