第142回タスクフォース21
2020.12月例会

講演録

中堅企業の「働き方改革への考え方」

講師:社会保険労務士 朝比奈 広志

動画ダイジェスト版

はじめに

 本日お話させていただくのは「中堅企業の『働き方改革』への考え方」ですが、この1年はコロナ対応に追われ、働き方改革が忘れられている様子も見られます。実際にはどうなのか、皆様と一緒に考えていきたいと思います。

 燃料関連企業の経営者のお悩みには、どういったものがあるでしょうか。もちろん売上など、さまざまなことがあると思います。労働力不足というのも、よく聞く悩みでした。今はコロナのため、休業せざるを得ないところもありますから、そうではない場合もあるかもしれませんが、基本的には労働力不足が続いています。

 とくに、優秀な人材が確保できない。また育児や介護の問題で、今まで働いていた社員が来られなくなってしまった。うつ病やがんなど、病気療養の社員が増えたり、退職せざるを得ないといったことも多くなっています。また、転職によって優秀な社員を失ってしまうこともあります。こういったことが、多くの企業の悩みとなっています。

 要は、労働力が足りていないわけです。そして我々は、一昨年1月から、政府より働き方改革を進めるように言われ、取り組んでいるわけです。

 働き方改革の何が難しいのかを考えてみましょう。スタートして1年以上が経っていますが、国が企業にやらせようとしていることは、理解していない人間が考えたのではないかと思うほど、現状にそぐわないのですね。

 もしくは、対応すべき範囲が非常に広く、どこまで対応すればいいかわからない。国の資料や広報誌を見ても、抽象的な表現が多く、理解できないことが多いし、例外規定も多い。そもそも求められていることが難しいということがあります。

 働き方改革とは、もともとどういう流れで始まったのか。国は、どのようなことを考えているのか。そして、中堅企業が頭を悩ませている問題が、今後どう推移していくのか。今となっては大きな問題ですが、このコロナ禍の中で、国は働き方改革の手綱を緩めてくるのか。そして、この働き方改革を無視していたらどうなってしまうのか。1人でも多くの方に、自分自身の関連先企業の背中を押していただければと思い、本日のお話をさせていただきます。

働き方改革の流れ

アベノミクス第1ステージ

 前安倍晋三首相が病気で退陣し、その後2012年12月に第二次安倍内閣が発足しました。そしてアベノミクス第1ステージが始まり、2015年に第2ステージ。その後、働き方改革というものを打ち上げています。

 この流れを見ていると、国がコロナ禍の中で働き方改革の手綱を緩めるか、それともこのまま推し進めていくのかがわかってきます。本題から逸れているように思えますが、この流れをつかむことが大事だと思っています。………本文の続きを読む>>>

女性・暮し・洗濯「ガス屋さんの洗濯ビジネス」を考える

講師:マーケティングプランナー 本間 理恵子

動画ダイジェスト版

はじめに

 本日は女性、暮し、洗濯というテーマでお話をしたいと思います。この3つを踏まえつつ、ガス屋さんのこれからの洗濯ビジネスについても考えていきたいと思っています。

 私がLPガス業界にお世話になるようになって早15年となりますが、15年前、「ガスは空気のようなもの」と言われました。あって当然のものであり、安全に粛々とガスを供給し続けることが我々の仕事だと教えられました。

 ですが、今は「この会社がいい」「この会社のサービスを買いたい」と思う人に選んでいただく時代になっています。生き残るためには、LPガスの供給者であるだけではなく、ガスを通じて、家庭の主婦たちの家事をサポートしているという意識が必要なのではないかと思います。そのためには、もっと女性の暮しを知り、積極的に関与していくことが大切です。ガスを供給するだけではなく、私たちが提供するサービスの質を向上させ、選ばれるガス屋さんになることが大切です。

女性の就労状況

女性の就労者数は増え続けている

 まず、女性の就労状況について、厚生労働省の調査から見てみます。昭和60年から平成29年にかけて、労働力人口がどのように推移し、そのうち女性がどの程度占めるのかを示したグラフを見てみましょう。労働力人口は大体6,700万人くらいで維持されています。その中で女性が占める割合は着々と上昇しており、平成29年には43.7%になりました。

 それでは、女性がどの程度働きたいと思っているのか、または働いているのかを示したグラフです。結婚していない女性と、結婚している女性の就労希望を示したグラフを見てみます。結婚していない女性の場合、25歳の91.4%をピークにどんどんと減っていますが、40歳まで大体80%を維持しているのが平成29年です。10年前と比べた場合、40歳までは同じなのですが、45歳以上はがくっと落ちています。ですが平成29年は減ることはなく、80%を維持している特徴があります。結婚している女性を見ても、いずれの年代層においても就業希望者の数が増えています。

 次に雇用者を見てみます。どれくらい会社に雇われているかという率です。こちらも同様にどんどんと上がっていて、雇用者に占める女性の割合は、平成29年で44.5%です。

 非正規職員の割合に関しても、女性の割合が一番高かったのは平成26年の56.6%です。そこから微妙に下がり始めて、今は55.5%です。男性は平成28年の22.1%が一番高かったのですが、そこから微妙に落ちてきています。

 これらのことをまとめると、………本文の続きを読む>>>

「女性・暮し」からガス事業者のビジネスを考える

対談:マーケティングプランナー 本間 理恵子 氏 × エネルギー事業コンサルタント 角田 憲司

動画ダイジェスト版

はじめに

角田氏: 本間先生の講演を聞き、一つひとつはわかっていたはずなのですが、改めてデータとストーリーでお聞きすると、大変説得力があり、なるほどなと思いました。特に、職を持つ女性が家事に割ける時間が足りておらず、“ パツパツ ” であるということ。言われてみないと気づかないことだと思います。そういう立場を理解することから、さまざまな新しい提案やコミュニケーションが生まれるということですが、できている業界はあるのでしょうか?

本間氏: 私も探してみましたが、そのことにしっかりと気づいて、ピンポイントで提案している企業は少ないと思います。今、さまざまな家事代行サービスがあります。また料理をつくるための材料がそろったミールキットなんかの提供もあります。そういうところは、少しは女性の大変さを理解しているかなとは思いますが、ほとんどの企業は理解していませんよね。

角田氏: 我が業界も、それを会社の中で議論してみたり、お客様とのやり取りの中で気づきを増やしていけば、ひょっとしたら働く女性にさまざまな提案ができるということですよね。

本間氏: はい。気づいてあげることがスタートだと思います。

角田氏:「俺は家ではちゃんと家事をやっている」と思っている方もいるかもしれません。そういう方たちが自信をもってプランニングしていければいいですね。

本間氏: そうですね。でも、自分では家事をしっかりやっていると思っても、女性からすると、違うこともあります。やっている自負があるなら、その自信をプロモーションに役立てていただきたいと思いますし、逆に「家事をあまりやっていないから、プロモーションができない」ということではなく、働いている女性が置かれている状況を把握して共感してあげる。そこができれば、誰でもプロモーションできる立場にあると思います。

角田氏: なるほど、理解をするということですね。自分自身、あまり自信がないので、そこにはこれ以上突っ込めませんが……(笑)。「夫はそれを家事と思っていない」という言葉に、私はかなりグサッときました。家のことってたくさんあるのだな、と。単純に調理、洗濯という大きなくくりで考えないほうがよいということですね。

本間氏: そうです。

広がりのある提案をするには

角田氏: 次にご提案いただいたのが、洗濯。女性にとって気の重い家事であるとか、工程が多いということでした。そこで私たちが思うのは、やはり「我が業界には乾太くんがある。またはガスを供給しているコインランドリーがある」ということ。でも、モノを提案することと、家事をラクにしてあげることって、広がりの大きさが違うような気もします。

本間氏: もちろん乾太くん推しでいきたいところですが、お客様としては、特別それだけに注目しているわけではありません。女性が家事に割く時間がないというところから理解を示し、………本文の続きを読む>>>

オンラインを交えた意見交換・会員発表

動画ダイジェスト版

当日の例会内容についての感想や時事的な情報提供

 12月2日(水)のタスクフォース 21例会(第 142回)では、講演後、「Zoom」を利用し、会場とオンラインを交えた意見交換を行いました。 その中から、いくつかの感想やご意見をご紹介します。

司会:矢部 視聴されている会員の皆様に、本日の感想やご意見をうかがっていきたいと思います。まず牧野会長、いかがでしょうか。

牧野会長 角田さんと本間さんの対談は、“化学反応”が楽しみだなと思っていました。幸いなことに毒ガスは発生せずによかったです(笑)。私が共感したのは、やはり「たたまない収納」というところ。うちの社内でも同じようなことをやっていまして、ランドリースペース提案を強化しようとしています。その中で、ガス乾燥機も含めたリフォーム提案ができたら、いつかタスクで成功事例の発表ができればと思います。

矢部 牧野会長のところでは洗濯談義をしますか?

牧野会長  うちは乾太くんというよりも、ランドリースペースの提案をし、その中に乾太くんもあるという位置づけでやっています。

矢部 では、鈴木先生はいかがでしょうか?

エーエムアイ:鈴木氏 最近の若い人たちの話を聞いてみると、共働きだと、女性の負担がとても大きいのですね。そこで夫婦喧嘩してしまう。夫が仕事に一生懸命でも、女性が家のことを全部やらなければいけないから、負担が増えているのは明らかです。お客様に時間の節約をうまく提案していく中で、料理でも便利なものが増えてきている。洗濯にしても、女性からすると、もっとラクに時短したいという希望があると思います。業界としては、そこに応えていかなければならないのではないかと思います。  特に難しいのは、LPガスは都市部ではないわけですよね。また高齢のお客様も多い。そこに、ただ乾太くんを勧めてもなかなかうまくいかないでしょうから、総当たりするというのも、効率が悪い。お客様の選別をすることも重要です。  また料理にしても、洗濯にしても、お客様の生活面の情報をもっと集めるやり方をしていかないと、なかなかうまくいかないと思います。省力化は、どの家庭もウェルカムのはずですから、方法として乾太くんがいいのか、浴室乾燥暖房機がいいのか、コインランドリーがいいのか、3つくらい提案して、………本文の続きを読む>>>