第147回タスクフォース21
2021.10月例会

講演録

カーボンニュートラル前夜のLPガス事業者のビジネスチャンス

講師:環境エネルギージャーナリスト Energy Shift 編集マネージャー 本橋 恵一

動画ダイジェスト版

はじめに

 「EnergyShift(エナジーシフト)」の編集マネージャーや、ほかにもいろいろなことをやっている本橋と申します。エナジーシフトは、太陽光発電をつくったり、売ったり、メンテナンスをしたり、最近流行りのPPA(電力供給契約)をやっているafterFIT(アフターフィット)という会社のメディア事業です。

 本日は、「カーボンニュートラル前夜のLPガス事業者のビジネスチャンス」というタイトルでお話をさせていただきます。昨年10月、菅前首相が「2050年カーボンニュートラル宣言」をしました。あと29年、LPガスが今のように売れるかというと、私は正直売れないと思っています。

 では、どうすればいいのか。実は、カーボンニュートラルだからこそたくさんのビジネスチャンスがあります。先に結論を言ってしまうと、今目の前の事業をどれだけきちんと成功させていけるかというところです。それを土台にして、2050年に向けたステップを加速させていくことが重要なのではないかと思っています。

2030年、2050年のLPガスは?

LPガスはすぐになくならない

 2050年はかなり先の話になりますが、2030年はまだカーボンニュートラルにはなっていません。ですから、LPガスはすぐにはなくなりません。もちろんLPガス事業そのものが伸びることはなく、むしろ下がってきていることは事実です。とはいえ、我が国における石油や天然ガスなどの一次エネルギーの中で、LPガスの割合は高いわけではありません。目の前ですぐに取り組まなければいけないのは電源の脱炭素化、省エネ化であり、そちらに力が入っています。その次に、おそらく自動車です。EV化が進み、ガソリンは減っていくでしょう。それらに比べ、現在非常に使い勝手のいいLPガスをすぐになくそうということにはならないと見ています。

 第6次エネルギー基本計画(案)で出された予測を見ると、2030年にはエネルギー需要は下がっていきます。熱需要もそれなりに減っていますが、ここは電化が進んでいくと思います。供給は、2030年の時点で石油が30%ほど残っています。LPガスはもともと石油ですから、この中の一部を占めていくのではないかなと思います。

 第6次エネルギー基本計画はパブリックコメントが締め切られた段階で、これから閣議決定されていくと思いますが、どうやら岸田政権も方向性を変えないだろうと見られています。

 電源構成を見ると、第5次エネルギー基本計画に比べて、2050年カーボンニュートラル化よりも、2030年温室効果ガス削減についてのほうが、26%から46%へと深堀りされています。このかなりの部分が電気を担うということで、………本文の続きを読む>>>

脱炭素とLPガス業界

対談:本橋 恵一 氏(環境エネルギージャーナリスト) × 角田 憲司 氏(エネルギー事業コンサルタント)

動画ダイジェスト版

将来的には業界再編が進む?

角田氏:本日はありがとうございました。まずは、旬のお話をさせていただきたいと思います。岸田政権が始まり、エネルギー関係の閣僚も変わりました。エネルギー基本計画はこのまま閣議決定されるでしょうか?

本橋氏:おそらく、このまま閣議決定されると思っています。ついでに言っておくと、エネルギー基本計画を重く見過ぎている方が多いと思っています。これはエネルギー業界における中期経営計画であって、長期ビジョンではありません。

角田氏:パブリックコメントにもとづく若干の修正はあるかと思いますが、そのまま通るであろうということですね。本日は多岐にわたってお話をいただきましたが、「電化とカーボンニュートラルLPガス」のところのお話では、ぎょっとされた方もおられるのではないでしょうか。世界、とくにイギリスではヒートポンプが普及していくだろうということ。何が起こるかわからない中で、単純に「ガスはもうダメ」という方向にいくのでしょうか?

本橋氏:イギリスの場合、電力会社とガス会社はほぼ一体になっています。一緒に売るのが当たり前なのですね。電気とガスがお客様を奪い合うということはありません。そこで大きい問題は、天然ガスの高騰です。電気料金も上がるし、ガス料金も上がる。ですから、電気がいいとか、ガスがいいといった話にはならないのかなと。短期的に、すぐ電気にできるのか、ガスをやめられるのかといった話でもないので、目の前の部分では、ガスを大事に使っていくという流れなのかなと思います。

角田氏:イギリスのエネルギー事業者は電気もガスも扱っているということですね。また、エネルギー先進州であるカリフォルニアでも、自治体の中には「新築はガス禁止」というところが多くあります。それに対し、エネルギー事業者は何も言っていない。なぜなら、電気もガスも両方売っているから。とくにカリフォルニアの電気は再エネ比率が高くなっているため、どちらでもよいのだということです。日本でも、自由化で「電気とガス両方扱う」事業者も出ていますが、基本的には電気は電気事業者、ガスはガス事業者となっています。たとえば今後、東京ガスや大阪ガスが、イギリスのようになっていくのでしょうか。

本橋氏:長期的に見ると、業界再編があると思っています。電力会社は東京電力エナジーパートナーを筆頭に数多くありますが、これらの会社は、それほど小売能力はありません。イギリスもかつて6大電力会社がありましたが、その一つであるSSE(スコティッシュ・アンド・サザン・エナジー)は、………本文の続きを読む>>>

顧客接点強化のために、ガス基幹システムができること&カナデンブレインシステム製品ご紹介

講師:株式会社カナデンブレイン 経営戦略部 兼 開発部 部長 叶 俊信 氏 本社システム営業部 部長 秋吉 勇一

動画ダイジェスト版

はじめに

 本日は「顧客接点強化のために、ガス基幹システムができること&カナデンブレインシステム製品のご紹介」ということでお話させていただきます。まず、コロナ禍に負けず、エッセンシャルワーカーとして生活インフラを支えてくださっているLPガス事業者の皆様に感謝と尊敬の念を捧げます。本日の内容が、少しでも皆様のお役に立てればと思っています。

 本日は、まずガス事業者様におけるDXについて、続いてガス事業者様における顧客接点強化の重要性、そして顧客接点強化のためにガス基幹システムができること、そして最後に弊社カナデンブレインのシステム製品をご紹介します。

 最初に弊社のご紹介を、営業部長の秋吉からお話させていただきます。

秋吉氏:弊社の簡単な事業紹介をさせていただきます。弊社はこの業界で40年にわたってお世話になっております。昨年10月に「SuperX03」という製品を出しました。「より快適に、より便利に」「もっと近づく、もっとつながる」「さらに安心、ずっと安全に」をキーワードに開発をしています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

叶氏:引き続き、私の自己紹介をさせていただきます。カナデンブレインの経営戦略部および開発部の部長をしております。通常、LPガス事業者様がシステムを導入する際の経営面、システム面における導入コンサルティング、また経営改革成功事例の社内外における共有等を担当しています。

 秋吉は営業部門ですが、私は営業ではありませんので、本日は製品の売り込みというわけではなく、システムと経営のプロとして、できるだけ客観的にお役に立てる情報をお届けしたいと思っています。

 このタスクフォース21において、皆様は日々勉強されており、顧客接点については我々よりもお詳しいかもしれません。もしかすると物足りない内容になってしまうかもしれませんが、ぜひ皆様のご意見やお話をうかがい、ともに学んでいければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

ガス事業者におけるDX

 では、最初にDXについてお話します。そもそもDXとは、経済産業省が定めた定義になります。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」としています。少し長くて、すっと頭に入ってくるかというと、難しいですよね。  図解すると、ビジネス環境の激しい変化や顧客や社会のニーズといった外部環境に対し、製品やサービス、ビジネスモデル、あるいは業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土といった内部環境を変革していく。その変革をする際に、………本文の続きを読む>>>

SMS活用による業務効率化/お客様満足度向上

講師:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 ビジネスメッセージ・サービス部 下島 優太

はじめに

 本日は、ショートメッセージサービスをはじめお客様対応業務においてご活用いただけるいくつかのサービスについてご紹介させていただきます。まずは、弊社NTTコムオンラインの事業内容についてご案内します。

 弊社は名前にもある通り、オンラインのマーケティング分野でサービスを展開しています。弊社の使命はお客様に信頼される「伴走者」として、データ活用、そして企業のデジタライゼーションを支えていくことです。その中で3つのビジネスの柱があります。1つ目はデジタルマーケティング事業、2つ目はデータ&アナリティクス事業、3つ目は私が所属しているビジネスメッセージサービス事業です。

 デジタルマーケティング事業については、弊社が創成期から取り組んでいる領域です。マーケティングのテクノロジーの導入、またデータドリブンマーケティングなど、お客様満足度の向上を図り、企業とお客様の絆の創出を目玉にご提案させていただいております。

 最近よく耳にするマーケティングオートメーションや、お客様の行動分析といったデジタルマーケティングに必要なデータの収集をするためのツールをご紹介しています。

 それから、収集いただいたデータをどう活用していくのか、どう統合していくのかといったことも見据え、データ&アナリティクスの事業もご提供しています。

 私が本日皆様にご紹介させていただくのは、ビジネスメッセージサービスになりますが、少々耳馴染みのない言葉かもしれません。企業とお客様との間のコミュニケーションツールが多種多様になっている時代の中で、SMSを中心としたメッセージサービスが見直されています。そのため弊社ではビジネスメッセージという言葉で定義させていただいております。本日はこのSMSをはじめ、ビデオ通話、ウェブ構築・アンケート構築のサービスについてお話しさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

SMS送信サービス「空電プッシュ」

まずはショートメッセージの領域です。「空電(からでん)プッシュ」というサービス名でご提供しています。「空電プッシュ」とは、ショートメッセージを一斉に、そして個別に送信していただくための企業向けサービスです。ご注意いただきたいのは、皆様のお手元のスマホでご家族、ご友人と連絡するショートメールとはまったく別物にだということです。  ショートメール自体が古いサービスなので、「この時代にショートメールなの?」というお声もいただくのですが、あらゆる通信手段の中で、ショートメールほど誰にでも届き、かつ着眼率が高いツールはそうそうないと思っています。それが実際に数字にも出ており、国内のSMS送信サービスは………本文の続きを読む>>>