第158回タスクフォース21
2023.8月例会
講演録
20代若者の就職観と企業が採用広報で注意すべきこと
~新卒採用を対象としたマイナビ調査データから読み解く~
講師:マイナビキャリアリサーチラボ 主任研究員 東郷 こずえ 氏
動画ダイジェスト版
はじめに
こんにちは、マイナビの東郷です。本日は貴重なお時間をありがとうございます。私はいつも就活生や企業の皆様にアンケート調査をさせていただいておりますので、弊社で実施したデータを用いて、若者の就活観や、企業の皆様が採用広報で注意すべきことなどをお伝えすることで、何か皆様のヒントになればと思い、お話させていただきます。
本日は、まず学生の就活観についてご紹介します。その後、皆様はエネルギー業界だと聞いておりますので、業界別のプラスイメージとマイナスイメージから採用広報のヒントになるようなお話ができればと思います。
最後に、新卒で入社した若手社員が感じる焦りについてお話します。就活生に対する調査ではありますが、なぜ20代の若者が躓いたり、せっかく入社した会社を早期離職してしまうのか、その行動の裏側についてご紹介したいと思います。
まずマイナビという会社をご存知ない方もいらっしゃるかもしれないので、簡単にご説明させていただきます。
当社は8月15日に創立50周年を迎えます。新卒採用をされている方であれば、就職情報サイト“マイナビ”をご利用いただいたことがあるかもしれません。そういった求人広告や出版などを手掛けている会社です。
私が所属しているのはマイナビキャリアリサーチラボというところです。主に人材領域の調査や研究をしている部署です。
「マイナビキャリアリサーチラボ」というサイトを運営しており、調査結果も掲載しておりますので、ぜひご覧ください。
学生の就活観
半数が「安定している会社」を選択
まずは学生の就活観についてご紹介します。「企業選択のポイント」というグラフを見てみますと、昨今、「安定している会社」という項目がぐんと伸びて半数近くになってきています。こちらは自由に複数選択をするものではなく、20個ほど項目を出して、そのうち当てはまるものを2つ選んでもらっています。Aを選んだらBを選ばないということもありますので、どちらを優先するのかというように捉えていただくといいかと思います。
当然ながら安定している会社がいいし、自分のやりたい仕事がいいし、給料のよい会社がいいと思っているわけですが、そのうち2つ重要なものを選ぶということになると、「安定している会社」という項目が伸びているということです。
安定している会社とは何でしょうか? おそらく、社会人の皆様からすれば「経済基盤が安定している」と捉えられるかと思います。ただ学生の皆様に聞いてみると、上位は「福利厚生が充実しているか」、そして………本文の続きを読む>>>
最近の学生の就職観と大学の就活支援について
講師:学校法人中央大学 副部長 池田 浩二 氏
動画ダイジェスト版
はじめに
皆様、こんにちは。中央大学の池田と申します。本日はタスクフォース21例会にお招きいただき、ありがとうございます。最近の学生の就職観と、大学の就活支援についてお話させていただきます。
実は、このお話をいただいたときはキャリアセンターにいたのですが、7月の人事異動により、総合戦略推進室の所属となりました。しかしキャリアセンターで8年間、しっかり学生と向き合ってきましたので、そのあたりを皆様にお伝えしたいと思っています。
少し宣伝をさせていただきますと、「interfm」というラジオ番組で、毎週土曜日朝5時から9時まで、「Green Jacket」というゴルフの番組に出演しております。先日も、800回記念の放送に出演させていただきました。
本日は、主に4つのことについてお話します。まず就職活動に対する悩みです。これは、学生たちにはどのような悩みがあるのかというところです。これを企業の方々が知ることで、採用活動につなげていくヒントになればと思います。そして、2つ目に変化の激しい就職活動を企業目線で、3つ目に学生目線の企業選びについてお話します。最後には、これからの就職活動についてご説明いたします。
私の話は、マイナビ様と違って、しっかりとデータをとったものではありません。ひたすら学生と話し、本音を聞いてきたところから感じたものになっています。データは大切ですが、私はそれが苦手であるため、日ごろ話し合ったり、相談するなかでわかる、学生が考えていることなどをご紹介します。そのため、中央大学のキャリアセンターではなく、私の責任の範疇の話であることをご承知おきください。
学生の就活の悩みとは?
就活生は不安でいっぱい
私たちキャリアセンターが、2023年度第1回就職ガイダンスを行った際に出てきた、学生たちが抱えている不安についてです。具体的に見てみると、「就活が解禁してから1人でがんばっているが、急な不安に襲われることが多くてしんどい。これがずっと続くと思うとつらい」。就職活動は現在、早期化しており、長期化しています。従来の就職活動と違い、長い期間、就職活動をしなければならないわけです。「私は耐えられるのだろうか」という不安だと思います。
またコロナ禍で始まったのがオンライン面接です。これが中心になってきたことによって、対面での面接に非常に不安を感じています。とにかく学生たちは何をやるにしても不安な気持ちでいっぱいなのです。
なので、企業の皆様が学生を呼んだり、オンライン面接をしたときは、こういうことを少し理解し、優しい言葉をかけてあげると、「この会社はわかってくれる」と思ってもらえるのではないでしょうか。
続いて、「就職活動は正解がなく、自分と向き合ったり、自分が動かないと始まらないため、精神的に追い込まれそう」という意見。………本文の続きを読む>>>
LPガス事業者の“採用”を考える
進行役:エネルギー事業コンサルタント 角田 憲司 氏
動画ダイジェスト版
長年、就活生や採用側の企業を見てきた東郷氏、池田氏の講演を踏まえ、“LPガス事業者の現場の声”として三愛オブリ ガス事業部 栗林慶太氏を交え、エネルギー事業コンサルタントの角田憲司氏を進行役に、就活生の本音やLPガス事業者の採用について意見交換会を行いました。
売り手市場のいま、見えてきた課題
角田氏:今日は「採用」をテーマに、プロの目線から2つの講演をしていただきました。「自分のときはこうだった」「昔はこうだった」ではなく、「これからはこうなんだ」というフレッシュな気持ちで聴いていただければと思います。まず、いまは売り手市場でしょうか、買い手市場でしょうか?
東郷氏:どちらかというと売り手市場で、「採用できない」という企業側の声が多いです。就職氷河期なら100社応募は当たり前でしたが、いま学生はその数を絞り込んで活動している印象があります。
池田氏:企業の皆様からすると、切実な悩みですよね。「何をやっても我が社にエントリーしてくれない」という状況が続いています。
角田氏:都心と地方の違いやギャップはありますか?
東郷氏:待遇や初任給については、やはり都心の大手企業中心の話題だろうなという感覚があります。そのため、地方では初任給以外、たとえば福利厚生や育成制度といったところを配慮されているのかなと。
池田氏:地方の企業には「初任給を上げる? 福利厚生? いままでそんなことしたことない」「家賃補助? 家から通うのが当たり前だ」といった意見もまだまだあります。なので、地元で働くメリットをアピールできればいいですよね。たとえば「家族的な感覚で仕事ができる」「休みを取りやすい」といったようなことです。子供の行事や、家族の介護によるお休みなどに理解があることを示して、若い人材を獲得するのもいいのではないでしょうか。
角田氏:栗林さんはさまざまなLPガスの販売店を見てきたと思いますが、どんな印象がありますか?
栗林氏:私の経験の話になりますが、地方はとにかく応募がありません。そもそも人がいないのですね。私は2年半ほど熊本におりましたが、海外の有名な半導体の企業の工場ができてから、初任給のベースが上がりました。そこに追随していくのはなかなか難しいという現実があります。
角田氏:九州の都市ガス会社も、それが理由で大学からの応募がないと嘆いていました。実際に困っているという声はありましたか?………本文の続きを読む>>>