第159回タスクフォース21
2023.10月例会

講演録

第159回例会ダイジェスト

「液化石油ガス流通WG」の動向について

講師:エネルギー事業コンサルタント 角田 憲司

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はじめに

 いつもお世話になっております、角田です。本日は液化石油ガス流通WG(以下WG)の動向がテーマになっておりますので、そのさきがけとしてお話させていただきます。

 まずWGの全体を把握するための情報提供、そして後半は野﨑先生を交えた意見交換をしていく予定です。このWGは今年3月あたりから飛び飛びで行われていますが、タスクフォース21ではその前から取り上げてきました。商慣行の是正について、昨年まで遡って整理したいと思います。

これまでの経緯の整理

テーマは「商慣行是正」

 2022年、朝日新聞の報道があり、そこではとくに戸建てについての裁判が取り上げられていました。その後、「無償配管・無償貸与問題懇談会」が開かれ、弁護士の方々を中心として、この裁判をどう見るかといった議論がなされました。2回目には事業者や有識者も交え、ポイントについてお話されました。

 このときは、戸建ての無償配管が大きな問題だということで焦点となりました。ですが、それは首都圏の一部が中心となって起きたことではないかと、とくに地方の事業者の方は思われたのではないでしょうか。

 そして、昨年秋から今年にかけて、石油流通課から「省令改正をめざして取り組む」と説明があったときは、かなり大胆にやっていく意思が示されたように見えました。設備費とガス料金の完全分離をめざすという意気込みがあったと思います。

 そして3月には第4回のWGが開かれました。第3回目までは何だったのかというと、これは2016年に開かれたものです。2017年には省令が改正され、ガイドラインがつくられ、標準的な料金の公表などがありました。WGはその流れで、第4回目として再開されたものです。

 第4回WGの論点は、実は結構、理想的なものでした。簡単にいえば、「賃貸も集合も、都市ガスと同じような契約方式に」ということです。都市ガスには無償貸与・無償配管という概念はありませんから、そういう契約のあり方に変えていきましょうという提案でした。

 ところが、その次、5月に行われた第5回WGでは、その論点はどこかにいってしまいました。新たに賃貸4つ、戸建て2つの論点が示されました。このあたりから、大手事業者もプレゼンをしながら、さまざまな議論が交わされました。

 さらに2カ月後の7月、第6回WGでは論点が集約され、「過大な営業行為の制限」「三部料金制の徹底」「LPガス料金等の情報提供」といった3つの論点になりました。WGをやるたびに論点が変わってしまっていますが、それだけ難しい問題だということでしょう。………本文の続きを読む>>>

商慣行是正に向けた対応方針と実効性確保の方策

講師:半蔵門総合法律事務所 弁護士 野﨑 修

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過大な営業行為の制限

改正方針

 本日は、テーマについて要点を簡潔にお話させていただきたいと思います。角田さんからもお話があったように、まず「過大な営業行為の制限」というものがありました。

 これはどう改正していくのかというと、まず「正常な商慣習を超えた利益供与の禁止」。これは集合も戸建ても同様ですが、実際に問題になるのは集合です。エアコンやインターフォン等を貸与している実態について、それはやってはいけませんよといったことですね。

 私の話は「こういうものが今後やばくなるのか」くらいの感覚で聞いていただきたいのですが、これを見たときのイメージとしては、給湯器やガスコンロ等の無償貸与はあると思いますが、ガスと関係ないものについての設備貸与は、「正常な商慣習を超えた利益供与」になるのではないかなということです。

 これには「定量的記載はできない」とコメントもついています。ちょっと意味がわかりづらいのですが、要は数字で示せないということです。たとえば、ガスの売上の何割といったような記載はできませんということになります。規則でどう定めていくのかは、今後検討するという話です。

 2つ目は、「切替を制限する条件付貸与契約等の禁止」。これは戸建てでも集合でもやっているところだと思います。10年や15年の貸与期間付きのガス供給契約を定めて、「○年以内に解約したら、残存を精算してください」といったもの。ということは、今後そういうことをするのはやばいのかなと思って解説を見ると「高額な違約金、高額買取り条項など」とあります。それならば、「減価償却はそこまで高額ではないよな」と思いますよね。結論からいうと、減価償却などをせずに、設置費用をそのまま数年後に「買い取りしろ」というようなことが禁止されていくのかなと思うわけです。減価償却、つまり減らしていかないような貸与契約はちょっとまずいのかなという印象です。

取り締まり

 これらを取り締まる、要は実効性を確保するためにどのような方策があるのかについては、詳細は角田さんからお話があったとおりで、「過大な営業行為制限の規則制定」「不当な利益による営業行為には罰則」とあります。では改正方針の「切替を制限する条件付貸与契約等の禁止」は「過大な営業行為制限の規則制定」に当たるのでしょうか。よくわからないですよね。ひょっとしたら、規則制定は「正常な商慣習を超えた利益供与の禁止」だけで、あとはガイドラインになるのかな、というようにも見えます。

 そして「不当な利益による営業行為には罰則」とありますが、「不当な利益による営業行為」というのは、改正方針には出てこない言葉です。ですから、どちらかというと「正常な商慣習を超えた利益供与」なのだろうなと思います。行政はこういう文書作成に非常に気を遣うため、ここは不思議に思うところです。

 いずれにしても、集合住宅にガス設備・器具をフルラインナップで設置するとやばいかな、という感じです。やばいとは、罰則までいくということです。………本文の続きを読む>>>

第6回液化石油ガス流通WGを受けて

進行役:タスクフォース21 事務局 中川 順一

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 2023年7月24日に開催された「第6回液化石油ガス流通ワーキンググループ(以下WG)」では、LPガスの商慣行是正に向けた省令改正の方針として、「過大な営業行為の制限」「三部料金制の徹底」「LPガス料金等の情報提供」の3点に集約されました。これらを踏まえ、10月例会で講演を行ったエネルギー事業コンサルタントの角田憲司氏、半蔵門総合法律事務所 弁護士・野﨑修氏による対談形式の意見交換会を行いました。進行役は当会事務局・中川順一が務めました。

現状の契約書は変更の必要はない!?

中川:今回の法令改正が事業者にどのような影響を及ぼすのか、意見交換の形で進めさせていただきます。前提として、第7回WGがいつ開催になるかわからない、そうはいっても第6回で示された方針で法令改正が行われるだろうということがあります。第7回の内容で法令改正が行われた場合、いまの設備貸与契約や販売契約は見直す必要があるのでしょうか?

角田氏:制度設計次第では、皆様への影響がかなり変わるだろうと思っています。予測はいくらでもいえるのですが、それが本当にどうなるのか、大元がグラグラして生煮えのような状態です。それによって食あたりを起こすのは事業者だし、とばっちりを受けるのは消費者です。ですから、制度設計自体に対して業界がワンボイスを図り、もっと言っていかなければいけないのではないかなと思います。事業者の声の反映が、制度設計に足りていないと思うので、まずはそこをがんばって、自分たちが受ける影響を少しでも改善していくことが必要なのかなと。

中川:それは事業者の多くが思っているところですよね。日置室長にも講演依頼をしていますから、できるだけ声が届くようにしたいと思っています。現場では「うちの契約書はどうなるんだ」と声が上がっていますが、野﨑先生はどうお考えになりますか?

野﨑氏:いくつかの改正点があり、契約書に影響するのは、「過大な営業行為の制限」の「切替を制限する条件付貸与契約等の禁止」です。そういう契約をしているのであれば、直していかなければなりません。ただ本当に規則で改正されるのか、ガイドラインだけになっていくのかは正直わかりません。あとは集合で三部料金制をとっており、貸付料金を定めているというところは、いずれ消えていくだろうということです。二部料金制をとっているところが三部料金制にしていかなければいけないのかどうかについては、総括原価主義はだめだよ、設備料金はオーナーからしか取れないよとなると、基本料金と従量料金を下げなければなりません。いまは二部料金制の14条書面が一般的ですが、それを変える必要があるかといったら、ないのだろうなと思います。貸与契約を結んでいたとしても、償却買取していれば、「高額な違約金」や「高額買取り条項」ではないのだから、そのままでいいのではないかというように見えます。

中川:たとえば償却しているはずなのに、初期の投資額を払えといった契約書は危ないと思いますが、それ以外はあまりいじる必要がないのかなと。集合に関しても、設備貸与契約はオーナーと結び、費用は消費者から償却している実態がある。前回の改正時以降、ほとんどの事業者が「基本料金が戸建てと異なるのは設備を貸しているからではない」ということにしているのですよね。………本文の続きを読む>>>

債権管理と請求業務、フルアウトソースで実現できるデジタル化とは

講師:株式会社ネットプロテクションズ 文野 雄太

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はじめに

 本日はよろしくお願いいたします。債権管理と請求業務のデジタル化についてお話させていただきます。

 私は2017年にネットプロテクションズに入社し、大手通販事業者向けのコンサルティング営業を5年ほど担当していました。健康食品や化粧品といったEC・通販事業者様の債権管理業務の効率化を支援させていただいており、その後BtoCビジネスの集金DXを支援する「NP後払いair」のセールス責任者として、製造業やガス・電気等のインフラ、新聞など、多様な業界の集金や請求業務の効率化・DXを支援してきました。現在は「NP後払いair」の事業責任者として、事業と組織のマネジメントを推進しているところです。

 本日はガス業界向けにお話させていただきますが、複数の事例がありますので、そのあたりも交えながらご紹介できればと思っています。

 本日のテーマを詳しくお話しますと、やはり業務のデジタル化を進めるということです。ガス業界に限らず、どの業界においても主要命題ではないでしょうか。ただ業務をデジタル化するためのサービスが多過ぎて、何から始めればいいのかわからないというお悩みがあるのではないでしょうか。

 弊社からのご提案は、デジタル化を決済から始めませんかというところです。債権管理や請求業務を効率化するツールは世の中にたくさんあるのですが、弊社はここをフルアウトソースすることのメリットについてお話したいと思っています。

会社概要/サービス内容

 ネットプロテクションズは、国内で初めて後払い決済サービスをスタートさせた後払い決済のリーディングカンパニーです。創業は2000年で、この二十数年間、後払い決済をという事業だけで展開しており、現在の実績ですと、年間の取扱高は4,900億円近く 、累計取扱件数は4.4億件超となっており、非常に多くの企業様にご利用いただいている決済サービスです。

 とくに我々の主幹サービスである「NP後払い」というサービスに関しては、ネットショッピングや通販の事業者様向けにご提供しており、30~50代の女性を中心に多く使われている手段です。日本人の7人に1人の方がご利用いただいている形になります。馴染みがないかもしれませんが、コアなところでは認知度の高い決済方法です。

 私どもが提供しているサービス内容は、BtoB、BtoC、国内、国外で5つの後払いサービスを展開しています。基本的にすべてに共通しているのは、未回収はすべて保証するというところです。売り手と買い手の間に入って、さまざまな請求業務を代行させていただき、抜本的にすべての業務をアウトソースすることで業務効率化を支援しますという形です。

 今回はBtoCである一般個人からの債権回収業務を効率化する「NP後払いair」と、BtoBである企業間の決済で業務を効率する「NP掛け払い」についてご紹介ができればと思っています。

 導入実績としては、BtoC、BtoBともに、ベンチャー企業から大手企業まで業界もさまざまで、57.9万店舗近く にご利用いただいています。ガス業界をはじめとしたインフラ領域でのご支援については、東京ガスグループであるライフバル加盟店やパーパスエコテック様など、都市圏から地方までさまざまなインフラ会社の請求業務効率化を支援させていただいております。………本文の続きを読む>>>

複数業界の事例から学ぶ! 債権管理/督促回収業務の効率化方法

講師:Lecto株式会社 事業開発マネージャー 木村 拓也

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はじめに

 本日はどうぞよろしくお願いいたします。Lectoで事業開発マネージャーを担当している木村拓也と申します。Lectoでは営業やサービス導入の運用支援、事業提携といったようなことを行っていますが、それまでは法人営業を経験したり、前職ではSlerでエンジニアをしながら、経営企画部に異動後は経営計画策定やM&A等を担当していました。そして2021年にLectoに参画しています。

 Lectoは、事業として“督促回収テック”SaaS事業というものを営んでいます。具体的には、クラウド型の債権管理システム「Lecto」をSaaS型のサービスとして開発・運営・提供しています。

 「Lecto」は債権管理・督促回収の効率化を実現し、業務オペレーションを一括構築し、自社サービスの成長を支えるクラウド型債権管理システムです。この後、いろいろと事例をご紹介させていただきますが、債権管理や督促業務に特化した専用の機能を多数搭載しています。代表的なものとしては債権管理と自動督促機能、そしてこれらによって溜まったデータを分析する機能などがあります。

 Lectoでは、保有債権の規模にかかわらず、多くの事業者様の債権管理業務を効率化しています。タスクフォース21会員の三愛オブリグループ様でのご利用実績もありますし、金融事業者様や一般事業者様にも広くご利用いただいています。

LPガス業界が抱える課題

 LPガス業界の課題については皆様のほうが詳しいところかとは思いますが、認識を合わせるということでご確認いただければと思います。

 1つ目は配送や点検などの人材不足です。とくに冬場に需要が増加したり、そもそもが重労働だったり、資格が必要だったりすることがあり、容器配送のドライバーが不足しているとうかがっています。

 2つ目は、市場規模の縮小です。こちらは少子高齢化による世帯数の減少があげられると思います。またオール電化の導入といったようなこともあります。

 3つ目は、エネルギー間の競争激化です。電気や都市ガスといったエネルギー間の競争が生じることで、料金の見直しが必要になってくるといったようなことがあるとうかがっています。

 人材不足は、さまざまなところで生じています。営業、配送、事業開発……あらゆるところで貴重な人材をどう活用できるのかといったことが課題となります。有限の人材をどこに投入するのか。できることなら事業を強くするポジションや、必要不可欠で代替が不可能なところがよいですよね。人力作業なのか、効率作業なのかというと、やはり後者を延ばしていくことが目標になるのではないでしょうか。DXについては、皆様もすでに考えていらっしゃると思います。デジタル技術を活用することで人・金・時間の余力を生み出すことは、本業を極めるためにも必要な手法です。

 DXといってもさまざまな領域があるため、私たちからは、債権管理・督促回収こそDXと相性がよいということをご紹介させていただきます。………本文の続きを読む>>>