第163回タスクフォース21
2024.6月例会

講演録

第162回例会ダイジェスト

女性事務員の戦力化

講師:株式会社学宣 キャリアコンサルタント 中田 暁子

動画ダイジェスト版

はじめに

 本日の講師を務める中田です。よろしくお願いいたします。私はこれまでに人材の開発支援の取り組みを20年ほど続けてきました。主に、企業の中での人事として研修や開発、転職支援のエージェントとして1万人以上の方のキャリア支援に取り組んできました。

 現在は独立し、企業や自治体の研修などを行っています。厚生労働省の企業の中での組織開発の取り組みにも参画するなど、幅広くキャリア支援活動を行っております。

 女性事務員の戦力化について、次のようなことに困っていないでしょうか? 結婚、出産、介護等を理由にした離職が不安で仕事を任せづらい。プライベートが大事なので企画・営業・マネジメント等の業務につくことは難しいといわれる。仕事をもっと任せたいけれど、どう任せたらよいかわからない……。私もさまざまな企業の相談に乗るなかで、よく聞かれることです。

 多くの企業が人材不足の問題を抱えるなかで、現在の社員の活躍がとても重要です。女性事務員においても、会社の補助業務だけでなく、主力社員として活躍してもらうことが非常に重要な経営課題となっています。

 今回の講座では、女性事務員が企画・営業・マネジメント業務など、新しい業務に転換するときの取り組み方や、円滑に異動・転換を進める方法について解説してまいります。

女性事務員の戦力化の必要性

中小企業の厳しい経営環境

 現在、中小企業は厳しい経営環境にあることは申し上げるまでもありません。光熱費や物価の上昇、輸出入の価格の上昇、企業の競争激化、人材不足が重なり、人材コストが上昇していることが、皆様を日々悩ませているのではないでしょうか。

 ここで、労働者不足の現状をご紹介します。パーソル総合研究所の「労働市場の未来推計2030」によると、6年後の2030年には人手は644万人不足するといわれています。現在ですら500万人ほど不足しているといわれていますが、さらに増えていきます。

 また産業別に見た人手不足を見てみると、サービス業、医療・福祉業、卸売・小売業、製造業と続き、全体的に不足していることがわかります。

人材不足が経営に与える影響と対策

 人材不足になると、従業員の日々の業務の負担が増えていきます。そのことによって生産性やサービス品質が低下し、経費が増大してしまうというしわ寄せが出てきてしまいます。

 こういった人手不足をどう解消するのか。それには、働く女性、シニア、外国人を増やす、また生産性を上げるといったことがあります。いずれにしても、いまあるリソースの最大化が大事になってきます。

 厚生労働省「労働力調査(2022年)」によると、働く女性はどんどん増えていることがわかります。なぜかというと、これまでは結婚・出産で仕事を続けることが難しいという人が多かったのですが、………本文の続きを読む>>>

組織文化と変革課題

株式会社MA企画 代表取締役 松井 常芳

動画ダイジェスト版

PART1 50年の活動を踏まえた体験的理解

 皆様、こんにちは。MA企画の松井と申します。私はこれまでにさまざまな企業の課題に取り組んできましたが、その課題内容やビジネスモデルもさることながら、実際に推進する組織風土や組織文化によって大きな影響を受けると感じています。本日は、その組織文化と変革課題についてご説明したいと思います。

 本日のアジェンダとして、まず目的やプロフィールをご紹介した後、東邦ガス、東邦ガスリビング、スタメンという3つの組織での取り組みをご紹介すると同時に、そこでの留意した点等をご紹介します。

 今回の講演では、組織文化の違いに応じた変革課題遂行上の留意点についてご理解いただきたいと思います。

 私のプロフィールですが、現在はMA企画でマーケティングやマネジメントを中心に、幅広い分野で経営者の皆様の問題解決のお手伝いをしています。1974年に名古屋大学を卒業後、東邦ガス、その子会社の東邦ガスリビング、そしてベンチャー企業であるスタメンで業務を経験しております。非常に安定的な組織である東邦ガスには32年、いろいろな意味で動的な組織である東邦ガスリビングで10年、生まれたての激動組織のスタメンで4年と大きく異なる組織文化の中で勤務してきました。

東邦ガスでの取り組み

組織文化

 それでは、まず東邦ガスでの取り組みについてご紹介します。組織文化というのは、その企業の事業特性や歴史によって形成されます。東邦ガスの事業内容はまさに都市ガスの販売そのものですし、その特性としては、地域独占や供給義務が課せられていることです。現在では自由化が進みましたので、必ずしも地域独占という言い方が適切ではなくなりましたが、当時はそういうことが言えたと思います。

 そのなかでの支配的価値観としては、なんといっても供給第一、保安の確保です。お客様に対しては一律・平等を重視していますし、安定供給を続けるという意味では保守的で規則遵守が価値観としてありました。

 保守的というとネガティブに聞こえますが、事業を安定的に進めるにあたって、こういった価値観は非常に大切です。

取り組み事例:「訪問集金の廃止」

 取り組んだ事例としては、ガス料金の訪問集金の廃止です。非常に大きな変更であり、さまざまなリスクの指摘がありましたし、私自身も進めるうえでいろいろと考えました。まずは、訪問しなくなると未収金が増えるのではないかという声がありました。そして100名ほどいる委託集金員の方たちの生活はどうなるのかと心配する声もありました。外部から「そんなことをしていいのか」という圧力がかかることも考えられました。

 こういったさまざまなリスクが想定されるか中で、………本文の続きを読む>>>