第170回タスクフォース21
2025.10月例会

講演録

第170回例会ダイジェスト

空き家再生賃貸事業について

講師:株式会社ヤモリ 代表取締役 藤澤 正太郎

動画ダイジェスト版

はじめに

 本日は貴重な機会をありがとうございます。株式会社ヤモリの藤澤と申します。最近、弊社が事業提携を始めた日本海ガス様、九州ガス様などのガス会社と、どのような空き家再生事業をやっているのかということについて、ご説明させていただこうと思います。

 最初に会社概要です。株式会社ヤモリは2019年に私自身が前職を辞めて創業してから6期目の会社になります。直近の2024年に10億円という大きな資金調達をして、空き家を取得して再生するという事業を拡大しています。もともとは不動産取得からリフォーム管理・運営まですべて一括でできるクラウドのソフトウェアを開発し、不動産オーナーさん向けに提供していたことが始まりです。

 このシステムが我々の基盤を支えているわけですけども、そういったものの開発から、ここに集めたデータやオーナー情報を活用し、AIも組み合わせて、不動産の再生事業につなげています。

 代表を務めている私・藤澤のバックグラウンドを簡単にご紹介します。新卒で三菱商事に入り、9年間ほど、再生可能エネルギーや日本初の海水淡水化プラントの立ち上げなど水道・電気といったインフラ事業に関わっていました。キャリアのほとんどを中南米で過ごし、4年間はチリにおりました。

 帰国後、住宅の設備修理サービスをインフラ会社と共同で立ち上げる事業に関わりました。そのとき、日本の市場を見て、既存のインフラや不動産をどう維持管理していくべきなのかが課題であると同時に、一番チャンスがある部分でもあると思ったのです。

 アメリカや中国で成功しているサービスや企業について、幅広く市場調査をしていたのですが、とくに面白いと思ったのが日本の住宅不動産の市場です。ご存知のとおり民間市場であり、かなり小粒の不動産宅建業者に分散しています。アナログというか、ある意味手付かずの市場が中古の不動産市場なのではないかと思ったのです。

 それまで新築を建てるという流れが一般的でしたが、今後は中古の不動産をどう活用していくのかというところにチャンスがあると思い起業しました。

ヤモリが解決する空き家問題

課題に対する3つの事業

 空き家問題というのは、大きな社会課題です。その空き家をはじめとする未活用の不動産をどう活性化するべきかということに取り組んでいます。空き家数は右肩上がりで、なかなか解決される問題ではありません。なぜ空き家や中古不動産が流通しないのかには、大きな理由が………本文の続きを読む>>>

ガス会社だからできる『地域密着生活支援サービス』

講師:株式会社サンコーライフサポート 代表取締役 橋本 一郎

動画ダイジェスト版

はじめに

 本日はよろしくお願いいたします。私は熊本生まれですが、東京の百貨店に勤務した後、西部ガスの営業会社である西部ガスリビングに13年ほど勤めました。やはり1件でも多く都市ガスのお客様を獲得することが課題で、営業会社をスピンアウトした形でできた会社でした。都市ガス工事は当然有料ですが、LPガスは無償配管だったため、顧客を獲得するには、躯体さえ建ててもらったら、その後の給排水や電気、建具など丸ごと工事を請けてしまおうという内装ゼネコンとして始まりました。

 そういう事業のなかで、それなりに実績を上げていきました。そして新規プロジェクトとして、不動産管理会社との付き合いをスタートしました。賃貸市場は、不動産管理会社も、家主も、ガス会社も、入居者がいないと収益が上がらないという、同じベクトルで働ける市場です。賃貸住宅開発プロジェクトをつくり、そこの責任者として全国の不動産管理会社とお付き合いをしてきました。

 西部ガスリビングを退職した翌日から、福岡に本社がある三好不動産グループの従業員6名の会社を引き受けました。しかし、私はそこでリフォームだけをやるつもりはまったくなく、高齢者ビジネスをやろうと決めていたため、“介護や福祉のことがわかる建築屋さん”というイメージでサンコーライフサポートをスタートしたのです。

 その後、障がい者雇用を目的とした三好不動産の特例子会社ぞうさんのはなを設立、そして2021年9月には合志市から社会福祉法人三幸の認可を受け、そちらの理事長も兼任しています。

さまざまに広がる法人事業

めざしたのは介護ができる不動産関連会社

 では、なぜ西部ガスリビングを辞めてこういったことをスタートしたかというところです。西部ガスリビング時代の賃貸住宅開発プロジェクトでは、とにかくガスの販売量を上げなければなりませんから、古い物件をリノベーションして、地域の不動産管理会社に借り上げてもらう提案をしていました。つまり西部ガスリビングが家主さんを開拓し、その物件をリノベーションし、大体10年スパンの収支を組み、管理会社が借り上げをするというしくみです。結果として、利回りが最低でも20%。10年スパンでも、家主さんも十分に収益が取れます。なおかつ管理会社も、いままで他者の管理物件だった管理収入が入ってきますし、西部ガスリビングとしてもLPガスだったり、空室だった物件を都市ガスにすることで販売量を上げることができます。この“三方よし”の形で、………本文の続きを読む>>>