エネルギー業界ニュース
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ニュースダイジェスト音声版 2022年12月
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9月新設住宅着工、貸家は30,555戸で19カ月連続増加
国土交通省が10月31日に公表した2022年9月の新設住宅着工戸数は、持家は減少したものの貸家と分譲住宅が増加したため、全体では73,920戸となり、前年同月比より1.0%増えました。貸家は30,555戸で8.1%増え、増加は19カ月連続となりました。
総戸数は73,920戸で2カ月連続の増加
総戸数
- 新設住宅着工戸数は73,920戸で、前年同月比1.0%増、2カ月連続の増加。
利用関係別戸数
- 持家:22,248戸(前年同月比13.3%減、10カ月連続の減少)
- 貸家:30,555戸(同8.1%増、19カ月連続の増加)
- 分譲住宅:20,766戸(同10.1%増、2カ月連続の増加)
- マンション:8,386戸(同15.7%増、2カ月連続の増加)
- 一戸建住宅:12,290戸(同6.8%増、17カ月連続の増加)
全L協、食品工場・業務用のCO中毒事故防止を呼びかけ
(一社)全国LPガス協会は10月28日、地方LPガス県協会等に、会員事業者が食品工場と業務用厨房施設等の使用者と管理者に向け、業務用換気警報器の設置を含めたCO中毒事故の防止を呼びかけるよう要請しました。経済産業省からあった要請(10月21日)を受けて行ったもの。
業務用換気警報器の設置を促進
食品工場や業務用厨房施設でのCO中毒事故は、多くの人を巻き込み、甚大な被害を及ぼす可能性があります。
全L協では、事故防止対策の一環として、業務用換気警報器の設置促進を自主保安運動の重点取組事項に掲げていることから、さらなる設置促進を図るよう呼びかけています。
こどもみらい住宅支援事業、9月末累計で申請15.5万戸・562億円
国土交通省が10月25日に公表した2022年9月時点の「こどもみらい住宅支援事業の実施状況」によれば、予約を含めた申請数は累計で155,224戸となりました。これにともない、申請金額は561億6,974万円となっています。予算額は1,142億円(2021年度補正542億円と2022年度予備費等600億円)で、予算に達ししだい終了します。
総予算1,142億円、予算に達ししだい終了
こどもみらい住宅支援事業は、子育て世帯や若者夫婦世帯が住宅を取得するときの負担を軽減するとともに、省エネ性能を有する住宅ストックを形成する狙いで設けられている支援措置です。
累計申請数の内訳は、リフォームが93,757戸(60.4%)、新築が61,467戸(39.6%)で、新築はZEH住宅が18,781戸、認定長期優良住宅など高い省エネ性能等を有する住宅が18,781戸、一定の省エネ性能を有する住宅(省エネ基準に適合する住宅)が26,557戸となっています。
【続報】国土交通省は11月18日、「こどもみらい住宅支援事業」について、予算上限に対する交付申請受付(予約を含む)の申請額の割合が、11月17日時点で75%を超えたと公表しました。
リンナイとトヨタ、CO2を排出しない水素調理の共同開発を開始
リンナイとトヨタ自動車は10月4日、先進技術・ソフトの開発を進めるウーブン・プラネット・ホールディングスとともに、新たな水素の用途の一つとして、水素を燃焼させて行う調理(水素調理)の共同開発を開始したと公表しました。
安全で効率的な燃焼技術に加え、食材への味や風味も検証
静岡県裾野市でトヨタが建設を進めるWoven City(ウーブン・シティ)などで行う実証を通じ、CO2を排出しない水素調理の安全で効率的な燃焼方法を検討。また、水素調理が食材に与える味や風味などへの効果を科学的に検証します。
これにより「水素調理によるカーボンニュートラルへの貢献と水素による新たな食の体験の提供を目指していく」としています。
全L協、地方協会理事への「貸付配管実態調査」を依頼
(一社)全国LPガス協会は10月4日、地方LPガス協会などに、「取引適正化に伴う『貸付配管・設備等』の商慣行」について実態調査を行うよう依頼しました。協会理事が対象で、提出期限は11月7日。
調査事項は負担を求めた者等と製品、費用回収方法
商慣行問題を検討した9月2日開催の流通委員会で、資源エネルギー庁石油流通課が「LPガス販売事業者が不動産会社(建築業者)や賃貸集合住宅のオーナーから、ガス機器や家電設備などさまざまな製品の費用負担を要求されていると聞いている。実態を把握して、公正取引委員会や国土交通省に関わる案件があるか調査してほしい」と依頼。
全L協としても実態を把握する必要があると判断し、実施することになりました。
調査票のポイント(概要)
- 調査内容は、過去1年間(2021年度)における、①ガス機器や家電設備などの製品を要求した不動産会社(建築業者)または賃貸集合住宅のオーナー等の名称(書ける範囲内で記入)、②対象物件(建売住宅、賃貸集合住宅)、③要求された製品、④その費用の回収方法。
- ほか、⑤自由記載覧で、要求の提示方法、断る際の不利益事例など、具体的内容があれば詳細に記入する。
- 「要求された製品」の選択肢は①配管、②給湯器、③コンロ、④エアコン、⑤その他、「費用回収 は①ガス料金に転嫁して回収、②LPガス契約とは別の契約を締結し回収、③販売奨励費として計上、④回収(転嫁)していない、⑤その他、となっている。「その他」については、製品名、回収方法を具体的に記入する。
全国消団連、「賃貸入居前の料金確認」など呼びかけ
(一社)全国消費者団体連絡会は10月31日、資源エネルギー庁石油流通課の永井岳彦課長や国際大学副学長の橘川武郎教授を交えた「LPガスの取引適正化問題に関するweb学習会」(9月2日開催)の開催報告を公表し、この学習会で問題解決に向けて消費者に呼びかけたポイントとして、「賃貸住宅は契約前にLPガス料金を確認する」ことなどをアピールしました。
消費者が心がけること(全国消団連)
料金透明化問題
- 賃貸住宅は、契約前にLPガス料金を確認する。
- LPガス契約の際には、14条書面の内容をと疑問点を確認する。
- 石油情報センターが公表している月別・地域別の価格を確認し、契約中のガス料金との乖離が大きいときには事業者に理由を問い合わせる。
ガス関連設備の無償貸与問題
- 設備貸与の有無を確認し、「有り」の場合には貸借契約を交わす。
無償配管問題
- 戸建て購入の際は、14条書面や重要事項説明書を確認し、疑問点はガス事業者あるいは建設会社に確認する。
総合経済対策、LPガスは「配送合理化等」推進
政府は10月28日、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を閣議決定しました。この中で、電気、都市ガス料金について「思い切った負担増軽減措置を講じる」ほか、LPガスについては「価格上昇抑制に資する配送合理化等」を打ち出しました。配送合理化等に向けては、2022年度第2次補正予算案(11月8日閣議決定)で配送合理化補助金138億円、設備導入促進補助金16億円、計154億円を計上しました。
一方、電気料金、都市ガス料金、燃料油価格高騰の激変緩和措置(来年1月~来年度前半)は、標準的世帯では総額45,000円の負担軽減になるとしています。
第2章経済再生に向けた具体的施策>Ⅰ物価高騰・賃上げへの取り組み>1.エネルギー・食料品等の価格高騰により厳しい状況にある生活者・事業者への支援(ポイント)
電気料金
- 来春以降の急激な上昇で影響を受ける家計や価格転嫁の困難な企業の負担を直接的に軽減するため、来年度前半にかけ、小売電気事業者等を通じ、毎月の請求書に直接反映するよう前例のない思い切った負担緩和対策を講ずる。
- 家庭には、来年度初頭にも想定される電気料金の上昇による平均的な料金引上げ額を実質的に肩代わりする額を支援し、企業より手厚い支援とする(低圧契約の家庭用等=1kWhあたり7円<現行家庭用電気料金の2割程度に相当>)。
- 脱炭素の流れに逆行しないよう、来年9月は激変緩和の幅を縮小する。並行して、省エネ、再エネ、原子力の推進等と併せて電力の構造改革をセットで進め、GXを加速する。
都市ガス料金
- 値上がりの動向、事業構造などを踏まえ、電気とのバランスを勘案した適切な措置を講ずる。
- 具体的には、家庭及び企業に対して、都市ガス料金の上昇による負担の増加に対応する額を支援する(家庭用と年間契約量1,000万㎥あたり30円の支援)。
LPガス 価格上昇抑制に資する配送合理化等の措置を講ずる
2022年度第2次補正予算案(エネルギー価格高騰への対応と安定供給確保<LPガス関係>)
小売価格低減に資する石油ガス配送合理化補助金(138億円)
遠隔検針等が可能なスマートメーターや配送車両等の導入、充てん所の自動化等に資する設備導入により、LPガス事業者のコスト低減及び経営体質の強化を図る。
小売価格低減に資する石油ガス設備導入促進補助金(16億円)
LPガスの小売価格低減に資するため、需要家側のLPガスタンクの大型化等による燃料備蓄を推進し、需要家とLPガス事業者のコスト低減を図る観点から、LPガスタンク等の導入支援を行う。
詳しくはこちら
PDF「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」
PDF「2022年度第2次補正予算案」
全L協、「不適切なガス小型湯沸器工事の防止」で周知依頼
(一社)全国LPガス協会は10月27日、地方LPガス協会等に、会員事業者が「資格を持たない者による不適切なガス接続工事(ガス小型湯沸器)を発見」した場合は、有資格者による設置を促すよう依頼しました。(一社)日本ガス石油機器工業会から10月11日にあった依頼を受けて行ったもの。
資格を持たない者による不適切なガス接続工事を防ごう
ガス小型湯沸器の資格を持たない者が不適切なガス接続工事を行ったことによるガス漏れや、引火、火災に至る事故が発生しているためで、同工業会と経産省は、有資格者による設置を消費者へ促す啓発掲示物を作成。工業会ではすでに、大手家電流通協会と(一社)日本DIY・ホームセンター協会に、店頭での啓発依頼を行っています。
今冬、7年ぶりに「無理のない節電・省エネ」要請
政府は11月1日、今冬の電力需給について、「東北・東京エリアにおける1月の電力予備率は4.1%となるなど依然として厳しい見通しにある」(電力需給に関する検討会合<11月1日開催>)として、「無理のない範囲で節電・省エネ」に努めるよう、広く協力を要請していくことにしました。無理のない範囲での節電・省エネを要請するのは2015年以来、7年ぶりです。
2022年度冬季の電力需給見通し
- 本年6月の会合開催時以降、追加供給力対策の実施や、3月の福島沖地震で停止していた火力発電所の復旧見通しがついたこと、電源の補修計画の変更、原子力発電所の特重施設の設置工事完了時期の前倒しにより、マイナスだった今冬の予備率は、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通し。
- ただし、2023年1月の東北・東京エリアでは4.1%となるなど、依然として厳しい見通しであり、大規模な電源脱落や想定外の気温の低下による需要増に伴う供給力不足のリスクへの対策が不可欠。
2022年度冬季の電力需給対策
供給対策(略)
需要対策
- 無理のない範囲での節電の協力の呼びかけ
- 省エネ対策の強化
- 対価支払型ディマンド・リスポンス(DR)の普及拡大
- 産業界、自治体等と連携した節電体制の構築
- 需給ひっ迫警報等の国からの節電要請の高度化
- セーフティネットとしての計画停電の準備
構造的対策(略)
省エネ対策の強化(うち「家庭向け」をピックアップ)
新たな住宅省エネリフォーム支援(3省庁連携によるワンストップ対応)
- 家庭で最大のエネルギー消費源である給湯器の高効率化や、省エネ効果の高い断熱窓改修に、経産省・環境省事業で手厚く支援。国交省のリフォーム支援と併せて、3省庁連携でワンストップ対応を予定。
- 高効率給湯器の導入と断熱窓への改修により、家庭の電気代・ガス代を年間最大で約14万円削減可能(約3割の削減、寒冷地のモデル家庭)。
※全国各地の自治体で実施されている「省エネ家電買い換え支援」を拡大するため、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」(6,000億円)でメニューの一つとして措置。
&LPGプロジェクト、第1弾企画「EXPO2022」開催
“有志連合”を組み、LPガスの可能性を探り拡げよう
&LPGプロジェクト実行委員会(事務局長・津田維一富士瓦斯社長)は11月22日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「&LPG EXPO2022」を開催しました。エネルギー産業がカーボンニュートラル(CN)化に向かうなか、18氏が登壇する「ショート・セミナーセミナー」と、LPガス発電機やパラソルヒーター、屋外用暖房機DANなどの「実機展示」、LPガスの今を知り未来を考える「パネル展示」を通じて、LPガスの可能性を探り拡げるさまざまな取り組みと課題を提示。「有志連合を組んで、乗り越えていこう」と発信しました。
18氏が講演し、さまざまな取り組みと課題を提示
&LPGプロジェクト実行委員会は、LPガスの新たな可能性を探り、サステナブルな未来に向けたイノベーションを生み出すプラットフォームづくりを目指し、2020年9月に発足しました。
今回の「&LPG EXPO2022」はその第1弾として、LPガス業界の流通・販売・機器関係者に向けて企画。200人強が聴講・来場したほか、開催模様はアーカイブ配信をしました。
津田事務局長、「新しい枠組みつくり、新しい試み始めたい」
津田事務局長は「主催者あいさつ」で、プロジェクトの狙いについて、「2050年CN化に向かうなか、我々が今後ともLPガス事業を続けていくには、このすう勢を踏まえた新しい枠組みをつくらなければいけない。こうした強い問題意識から、同業の方々にも相談し、新しい試みを始めようと立ち上げました」と説明。
そのうえで、「我々はCN化から人手不足、料金透明化までいろんな問題を突きつけられています。北海道から沖縄までの各地域、また元売から小売までの各流通が直面している問題を広く議論し、そのうえで有志連合を組み、乗り越えていきましょう」とアピールしました。
今後、さまざまな課題を議論する場として、来年3月をメドに「&LPGカンファレンス」(宮崎)を立ち上げ、夏には業界内に向けたセミナー「&LPGフォーラム2023」(札幌)を開いて問題点を共有したい考え。さらに、秋にはパワーアップした「&LPG EXPO2023」(東京)を開催する予定です。
国際大学副学長・橘川氏、ニチガス社長・粕谷氏も登壇
各講師の持ち時間が15分程度のショート・セミナーでは、まず国際大学副学長の橘川武郎氏が「&LPGに期待する」をテーマに講演。
「このプロジェクトの『&LPG』のバー(空白)に入るのは、USではないか。CNを進めていく道の一つは地域によるボトムアップである。分散型で、地域に密着していることが大きなポイントになるはずだ。すると、その担い手はLPガス事業者かSS事業者しかいない。皆さんは自分の理解に基づいて動くが、共通のテーマには力を合わせる。そういう場としてのUS & LPGに大きく期待しています」と激励しました。
また、最後に登壇し、「成長のための共創」をテーマに講演した日本瓦斯(ニチガス)社長の柏谷邦彦氏は、「今後のLPG市場は、小規模事業者の集約化が進み、合併・買収と事業効率化を急ぐ大手と、事業効率化とともに大手との協業に取り組む中堅との二極化がさらに進行するはず」としたうえで、「今後ともLPガス事業を維持継続していくには、市場競争は活発にやるが、充填や配送などの過剰・輻輳しているインフラは協業化し、さらなるコスト低減を図るべき」とアピール。「弊社は広くそう呼びかけており、賛同企業は増えている」と述べました。
講演テーマと講師
- 「&LPGに期待する」(国際大学副学長・橘川武郎氏)
- 「LPガスを使った防災減災対策について」(I・T・O専務取締役・高野克己氏)
- 「災害に強い社会を創る~北良が目指す次世代の災害支援~」(北良代表取締役・笠井健氏)
- 「宮古島&LPG〜台風災害に負けない宮古島へ〜」(宮古ガス代表取締役社長・富山忠彦氏)
- 「レジリエンス認証の活用法」(エネジン代表取締役社長・藤田源右衛門)
- 「発電機&LPG」(富士瓦斯広域営業本部広域営業部チームリーダー・小林孝一氏)
- 「家庭用蓄電池の市場について」(東洋計器環境システム事業本部営業推進副部長・林英雅氏)
- 「リンナイ カーボンニュートラルへの取り組み」(リンナイ経営企画本部環境部部長・藤垣善昭氏)
- 「フジガス・カーボンニュートラルLPガス(FCN-LPG)で広がる新たなビジネス機会」(富士瓦斯取締役広域営業本部本部長・萩尾幸之氏)
- 「質量販売による新たな需要の開拓」(同都心営業本部営業部第一グループチームリーダー・酒井朋充氏)
- 「水素社会実現に向けて~グローバルサプライチェーンの構築~」(岩谷産業首都圏支社首都圏支店エネルギー部西東京駐在副主任・矢野篤氏)
- 「関電工が取り組む地域マイクログリッド~新開発LPガス発電機(50kVA)~」(関電工専務執行役員戦略事業ユニット長・野本健司氏)
- 「LPガス事業における共助によるBCP構築」(NPO法人LPガス災害対応コンソーシアム・岩間康太氏)
- 「足元から考えるサイバーセキュリティ向上の施策」(アクト営業本部新事業企画室・石田謙太郎氏)
- 「“脱炭素”の社会実装における役割」(三ツ輪ホールディングス代表取締役社長・尾日向竹信氏)
- 「カーボンニュートラルに向けてのLPG業界動向と弊社の取り組み」(アストモスエネルギーグリーン戦略室長・浜口達弥氏)
- 「8年後に向けてのインナーブランディング」(北信ガス代表取締役・市川博信氏)
- 「成長のための共創」(日本瓦斯代表取締役社長・柏谷邦彦氏
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8月新設住宅着工、持家9カ月連続減少、貸家18カ月連続増加
国土交通省が9月30日に公表した2022年8月の新設住宅着工戸数によれば、持家99カ月連続で減少しましたが、貸家と分譲住宅が増加したため、全体では前年同月比4.6%増の77,712戸となりました。うち、貸家は8.9%増の31,295戸で、増加は18カ月連続。
総戸数は77,712戸で、4カ月ぶりの増加
総戸数
- 新設住宅着工戸数は77,712戸で、前年同月比4.6%増、4カ月ぶりの増加。
利用関係別戸数
- 持家:22,291戸(同11.2%減、9カ月連続の減少)
- 貸家:貸家は 31,295戸(同8.9%増、18カ月連続の増加)
- 分譲住宅:23,172戸(同16.2%増、先月の減少から再びの増加)
- マンション:10,727戸(同34.6%増、先月の減少から再びの増加)
- 一戸建住宅:12,341戸(同4.7%増、16カ月連続の増加)
オール電化世帯、2021年度に1,000万世帯を突破
総世帯数からLPガス、都市ガス利用世帯数を除いた差数でオール電化世帯を推計すると、2021年度中に1,000万世帯を超え、普及率は16.8%に達しました。総世帯数が増加する中、都市ガス世帯は46%台で推移しているものの、LPガス利用世帯の減少が目立っており、2021年度は36.8%へと後退しました。
初回後のバルク貯槽告示検査、一定の条件満たせば非破壊検査、内面目視検査省略
経済産業省(ガス安全室)は9月16日、「バルク供給及び充てん設備に関する技術上の基準等の細目を定める告示」の一部改正案をパブリックコメントに付し、10月16日に意見受付を終了しました。この改正により、製造後20年が経過する前に行う告示検査(初回検査)の後、40年目までに行う告示検査が合理化され、検査負担が軽減されます。
改正案のポイント
バルク貯槽の告示検査は、初回検査の後、5年ごとに同様の検査を行う必要があることから、初回検査を迎えると、これまでは事実上、廃棄やリプレイスされていました。今回の改正により、バルク貯槽の長期使用が進むと期待されています。
改正案(2回目から40年目までの告示検査<一定の条件を満たした場合>)
- 非破壊検査や内面の目視検査を省略できるよう改める。
- 気密試験は「運転状態の圧力により試験できるよう改める。
- ほか、地盤面上に設置し自然乾燥するときの防食措置は、有害金属の削減に向けて見直す。
容器落下火災事故受け、愛知県、経産省が安全確保要請
愛知県は、東名高速道路の豊田ジャンクション(豊田市)で9月28日に発生したLPガス容器の落下・火災による死亡事故を受け、愛知県高圧ガス安全協会に10月4日、(一社)愛知県LPガス協会に同6日、関係事業者に移動に係る基準を順守し、安全確保を徹底するよう要請しました。また、経済産業省は同14日、充塡容器等を荷台の前方に寄せ、ロープ等を使用して確実に緊縛するなど、移動中の事故防止を要請しました。
東名高速豊田JCTで発生、3人が死傷
報道によれば、この事故ではLPガス容器120本を積載して容器再検査所に向かっていた大型トラックから複数の容器が落下・散乱して火災が発生。この大型トラックなど3台が炎上するとともに、別のトラックの運転手1人が死亡、2人がケガをしました。
警察は、急ブレーキをかけたことで容器が荷崩れしたとみて、大型トラックの運転手を過失運転致死傷の疑いで逮捕。積み荷の管理が適切だったかどうかなど、県、経済産業省とともに運転手の勤務先を立ち入り調査しました。
要請概要(愛知県→愛知県高圧ガス安全協会、愛知県LPガス協会)
高圧ガス充填容器等を移動する場合、第三者を巻き込む重大事故に発展する可能性がある。高圧ガス保安法第23条の移動に係る基準を順守し、安全確保を徹底していただくよう、関係事業者に改めて周知していただきたい。
参考
- 高圧法第23条:車両により高圧ガスを移動するには、その積載方法及び移動方法について経済産業省令で定める技術上の基準に従ってしなければならない。
- 一般則第50条第1項第5号及び液石則第49条第1項第4号:充填容器等は、転落、転倒等による衝撃及びバルブの損傷を防止する措置を講じ、かつ、粗暴な取扱をしないこと。
- 一般則例示基準76及び液石則例示基準55:充填容器等の連絡、転倒等を防止する措置(移動)<抜粋>
・容器の固定・・・容器は車両の荷台の前方に積む。ロープ等で確実に緊縛する。
・水平距離の確保・・・容器後面と車両の後バンパの後面の間は、約30cm以上の水平距離を保持するように積載すること。
公立学校施設の空調設備、体育館等は15.3%へ
文部科学省が9月28日に公表した「公立学校施設の空調(冷房)設備の設置状況」によれば、同1日現在で、普通教室が95.7%で前年調査より2.7ポイント(P)増、特別教室が63.3%で5.8P増、体育館等が15.3%で6.3P増となり、遅れている体育館等、特別教室への設置が進みました。
災害時の調達協定等分を含めると24.7%
体育館等は、東京都は82.1%に達していますが、次いで多いのは大阪府の27.4%で、0.0%の大分県を含め40道府県が一桁台という状況にあります。
なお、災害時の調達協定等で外部から確保できる室数を含めると、全国平均で24.7%が対応できています。
詳しくはこちら
振興センター、「災害バルク」の追加公募を開始
(一財)エルピーガス振興センターは9月30日、2021年度補正・2022年度「災害バルク」の追加公募を開始しました。締切日は設定されていませんが、予算に達ししだい終了となります。また、交付決定の時期に限らず、事業完了期限は2023年2月15日、実績報告書の提出は同月28日となるので、目安として1月末までに導入予定機器の設置工事・試運転が完了するよう勧めています。
2021年度補正・2022年度交付状況(9月末現在)
- 5月25日:112件(2021年度補正)
- 7月28日:39件(同)
- 同日:57件(2022年度)
- 8月9日:7件(同)
- 9月28日:8件(同)
*計223件。設置先で多いのは福祉施設、病院、会社事務所・工場(BCP対応)など。
日本船舶の警備、LPガスも追加
ソマリア沖・アデン湾など海賊多発海域での日本船舶の航行の安全を確保するため、民間武装警備員が乗船して警備を実施できる船舶の対象を拡大する「日本船舶の警備に関する特別措置法」の施行令の一部を改正する政令が9月30日に閣議決定されました。政令で定める物資として、新たに小麦、大豆、塩、鉄鉱石、石炭、ナフサ、メタノールとともに、LPガスが追加されました。施行は2022年12月1日。
ソマリア沖・アデン湾は依然海賊・強盗が散発
ソマリア沖・アデン湾は、インド洋の北西側にあり、北はアラビア半島、南はアフリカ大陸のソマリア半島に挟まれた東西に細長い湾。海賊・海上武装強盗が世界的に大きく減少する中、依然散発しています。
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2023年度概算要求、災害バルク推進で24億円へ倍増
国(経済産業省、資源エネルギー庁)の、LPガス関係の2023年度概算要求が9月1日に明らかにされました。それによれば、エネ庁関連ではバルク供給による災害対応能力等の強化に向けて前年度の倍額にあたる24.0億円を計上するなど、備蓄関係226.5億円を含めて総額260.5億円を要求。一方、経産省関連では石油精製、産業保安(高圧ガス、都市ガス、LPガス)一体の石油・ガス等供給に係る保安対策調査等委託費として、前年度より1.1億円少ない4.5億円を要求しています。
エネ庁関連(流通・取引適正化):総額260.5億円(前年度286.6億円)
災害対応能力等の強化:24.0億円(12.0億円)
- 自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(LPガスタンク分)
取引適正化・流通合理化の推進:10.0億円(7.1億円)
- 構造改善推進事業:7.9億円(5.1億円)
- 災害対応能力の強化:1.3億円(1.3億円)
- 取引適正化の推進:0.7億円(0.7億円)
備蓄体制の強化:226.5億円(267.5億円)
経産省関連(保安):4.5億円(5.6億円)
- 石油・ガス等供給に係る保安対策調査等委託費
LNG需給ひっ迫時の都市ガス節約、エリア全需要家に
経済産業省の総合資源エネルギー調査会電力・ガス基本政策小委員会ガス事業制度検討ワーキンググループの第24回会合が9月5日に開かれ、ロシアのウクライナ侵攻によるLNG供給のひっ迫を踏まえた「都市ガスの需給対策」案が大筋で了承されました。
LPガス需要家は節約の必要なし
それによれば、現状は「需給ひっ迫は生じていない」が、「今後のLNG需給の変化に対応できるよう需給両面から準備を進めておくべきである」としたうえで、都市ガス使用の節約を要請するときは、「同一エリア内の全都市ガス需要家に要請する」「LPガス等の(都市ガス)需要家は節約の必要がないことが伝わるようにする」、ほか「全体的なひっ迫の程度、節約アイディアなどの情報提供も行う」よう求めています。
また、LPガスについては「石油等に比べ、CO2の排出が相対的に少なく、国内に備蓄もあり、カントリーリスクがLNGと異なるので、需要家側だけでなく、供給側である事業者側でも利用可能性を検討することが重要である」ともしています。
パナマ運河、通航料を9割もの大幅値上げへ
パナマ運河庁(ACP)が、日本・韓国・中国のLPガス輸入元が反対する中、7月に通航料の値上げと予約期間の短縮を決めたことが明らかになりました。値上げ幅、予約期間ともにLPガスにより大きな負担を強いる改定で、日本LPガス協会では「通航料は2023年からの段階的な引き上げで2025年には現在より9割も値上がりする。滞船コストも大きく嵩んでくる」と見ています。
予約期間も「1年間」を「2週間」に大幅短縮
我が国は、輸入量約1,000万トンの66.7%を米国から調達しています(2021年度)。
ACPは今年4月に料金システムと規定の改定を表明。これに対し、日本の輸入元などは韓国、中国との連名で5月に意見書を出し、「米国からの輸入量が多くを占め、パナマ運河のスムーズで安定した通過は我々にとって必須の条件である」として再考を求めていました。
- 通航料:2023年から2025年まで段階的に引き上げる。現在の米国輸入量はタンカー150隻分ほど。日協試算では、2025年のコスト負担は9割増、年100億円増になる。
- 予約期間:これまで通航日の1年前から予約できたが、LPガスは2週間前へと変更(LNGは80日)。これにより、滞船コストが増える。
賃貸への情報提供1.2万事業所、流出防止69%対応
集中監視普及は31.6%に、機器販売は軒並み不振
(一社)全国LPガス協会はこのほど、2021年度(2022年3月31日時点)における需要開発、料金公表、安全・保安対策、消費者相談の概要をまとめました。それによれば、コロナ禍による人流抑制や品不足・供給遅延で給湯器、コンロ、GHPなどの機器販売は軒並み不振でした。ガス料金の公表は95%、賃貸集合への情報提供は1.2万事業所、軒先容器の流出防止措置は69%が対応。また、バルク20年検査では37%がシリンダーに移行しました。こうした中、集中監視システムはLPWA本格化にともない618万戸、普及率31.6%に上昇しました。
需要開発推進運動・料金公表等調査(対象19,927事業所→回収18,498事業所<回収率92.8%>)
ガス料金の公表(未回答は公表なし)…「HP&店頭掲示」増える
- 公表:公表率=94.7%
- 方法:HPのみ=2,533/店頭掲示のみ=13,090/HP&店頭掲示=1,892
- 自社HP:あり=6,516/なし=11,805
賃貸集合住宅入居者への情報提供…「行っている」は6割強
- 措置:実施=11,793/12月までに実施=2,671/(賃貸集合に)供給していない=3,561/未回答=473
ガス機器販売台数…軒並み不振
- ハイブリッド給湯器=前年度比12.5%減/エコジョーズ=22.0%減/エネファーム=15.1%減/GHP=27.7%減/Siコンロ=20.3%減/浴室暖房乾燥機=24.2%減
燃焼器具交換・安全機器普及状況等調査(同)
軒先容器の流出防止措置…7割が対応(中)
- 対象数:把握=4,893/把握中=5,844/対象地域外も含め全施設に措置予定=858/これから把握=5,180
- 措置内容:対象施設二重掛け=11,992(72.8%)/対象施設外も二重掛け=4,479(27.2%)
SB・EBメーター設置業務用施設…連動率70.8%へややアップ
- 対象数=383,203施設
- 対応:連動(屋外設備除く)=228,149(連動率70.8%)/屋外設備(連動不要)=60,737
バルク貯槽20年検査…37.4%がシリンダーへ交換
- 対象数=16,997基
- 検査状況:受検・合格=2,081/新品交換=8,558/新品シリンダー交換=6,358
集中監視システム…設置率31.6%へとアップ
- 設置数=6,180,247戸(設置率31.6%、前年度23.8%)
2021年度「消費者相談件数」(全L協+47地方協会)
- 合計:3,156件(2020年度3,302件、参考:2012年度5,548件)
- 内訳:価格782、販売店移動379、設備関係192、保安1,082、その他721
全国消団連、LPガスweb学習会を開催
全国消費者団体連絡会(全国消団連)が9月2日に行ったweb活用による「LPガスの取引適正化問題に関する学習会2022」で、全国消団連のアピールや北海道生活協同組合連合会の調査・活動報告に続き、資源エネルギー庁石油流通課長の永井岳彦氏と国際大学副学長の橘川武郎氏が取引適正化の課題や解決の方向性について述べました。
永井課長、橘川副学長が登場
この中で永井氏は、「賃貸集合住宅への事前の情報提供などはまだ徹底できていない」「戸建て消費配管訴訟では圧倒的に事業者が敗訴している」「無償配管・無償貸与の背景には不動産事業者、オーナーからの強い要望などがある」と指摘。国土交通省など関係省庁と連携した取り組みや業界団体を通じた改善、またモデルケースの全国展開などで問題解決を図っていく考えを示しました。
橘川氏は、「ガス料金に非ガス関連の設備費を含めるのは禁止すべきである」「設備費が明確になる3部料金制にすべきである」と述べ、そのための法改正を提唱しました。
富士瓦斯、災害・CN対応テーマに「&LPG EXPO 2022」開催へ
富士瓦斯(本社・東京、津田維一社長)は11月22日、東京・東京国際フォーラムで、同社が9月に公表した「あなたとLPGをつなぐプロジェクト『&LPG』」の狙いや取り組みを紹介するイベント「&LPG EXPO 2022」を開催します。会場ではプロジェクトを紹介するパネル展示、発電機・パラソルヒーターなどの実機展示、ほか同社のFCN-LPGへの取り組みなどを紹介・提唱するセミナーを併催します。
事業者・メーカー・消費者の3者による「&LPG」実現目指す
「&LPG」は、“LPガスの今”を知ることで、その可能性を探り、災害対応やカーボンニュートラル化といった課題解決に向けたイノベーションを生み出す、同社提唱のプラットフォームです。 同社はこのイベントで、LPガス事業者や供給機器メーカーに加え、LPガスを活用して災害対応を進めている需要家が一堂に会し、「&LPG」のコンセプトを体現できるようなイベントを目指すことにしています。
開催概要
- 開催日:2022年11月22日(火)10:00~16:00
- 場所:東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)
- 参加費:展示見学=無料、セミナー参加=12,000円(税込)
- 申し込み:https://forms.gle/YQwDdkLJHhQCVz496
展示内容
ロビーギャラリー(&LPG展示会場)
- パネル展示 ~LPガスの今を知り、未来を考える~
- 発電機・屋外用暖房機DAN・ボンベ等の実機展示
ガラス棟7階G701(セミナー)
- &LPG基調講演
- FCN-LPGへの取り組み
- LPガス発電機
- パラソルヒーターをはじめとする質量販売によるLPガス新規需要開拓
*午前=10:00~12:00/午後=13:00~16:00の2部制
*セミナーテーマは両部共通で、1コマ15~20分程度のショートセミナー。終日聴講可能
*上記以外にも、カーボンニュートラル、地域マイクログリッドといった最先端のテーマや、&LPGに賛同するLPガス販売事業者の登壇を予定。
ガラス棟7階ラウンジ(展示・商談スペース)
- セミナー登壇者との交流、や出展企業との商談等の打ち合わせスペース
2022年9月 動画で見る「ニュースダイジェスト音声版 2022年09月」はこちらから>>>
質量販売での「30分ルール」除外、7月15日から施行
質量販売されたLPガスを遠方で使うキャンピングカーなどに、液石法「30分ルール」の代替措置を設けた「保安業務に係る技術的能力の基準等の細目を定める告示」等の一部改正は、7月15日に公布・施行されました。これにより、一般消費者等が緊急時対応に関する講習を修了し、緊急時の措置を自ら行うと当該販売事業者から確認を受けた場合は、「30分ルール」から除外されます。屋外で使用される消費設備としては「屋台、キャンピングカー、キッチンカーなど」が想定されています。
遠方で消費する屋台、キャンピングカー、キッチンカーなど想定
液石法では、LPガス販売事業者等に、一般消費者等の供給設備・消費設備に原則として30分以内に到着し、バルブの閉止などの「緊急時対応」が行える保安体制を義務付けています(30分ルール)。しかし、このルールにより、30分以内に駆けつけられない遠方に向かうキャンピングカーなどへは充塡できないため、利用者から見直しを求める声が挙っていました。
一部改正で設けられた代替措置は、「屋台、キャンピングカー、キッチンカーなど屋外で移動して使用される消費設備」については、質量販売を受けた一般消費者等が「緊急時対応に関する講習(質量販売緊急時対応講習、4時間以上)を修了し、緊急時に必要な措置を自ら行うと当該販売事業者から確認を受けた場合」に限り、「30分ルール」から除外するもの。
経産省は一部改正にあたり、「30分以内で使用する場合に、新たに講習の修了等を義務付けたものではない」と注記しています。
「30分ルール」除外への対応
質量販売を受ける一般消費者等
- 一般消費者等は「質量販売緊急時対応講習」を修了し、受講修了証を受ける。
- 質量販売を扱う販売事業者からLPガスを購入するとき、受講修了証を提示する。
- 緊急時に所要の措置を自ら行うことについて、販売事業者の確認を受ける。
質量販売を扱う販売事業者の対応(販売契約、留意事項)
- 書面の交付:緊急時連絡先等の情報も含まれる。。
- 帳簿への記載・保存:緊急時における措置を自ら行うことの確認書類や受講修了証の控えを含む。。
- 周知・消費設備調査・緊急時連絡等:周知では、災害防止に必要な事項等を一般消費者等に徹底する。
*緊急時対応以外の保安業務は従来通り(例えば、緊急時連絡に関し、保安業務を行う保安機関が、一般消費者等に対し適切な指示・助言をすることは変わりない)。
*質量販売では、LPガス容器~調整器~燃焼器まで消費設備であり、消費者が管理する。
エネ庁・経営実態調査、“環境変化への立ち遅れ”浮き彫り
資源エネルギー庁はこのほど、2021年度「石油ガス流通・販売経営実態調査」の報告書を公表しました。それによれば、調査結果を「廃業検討事業者が少なからず見られ、新規事業などへの投資意欲を持っている事業者は一部にとどまる」「大手の料金集約化は進んでおらず、消費設備費用の事業者負担の問題はなお根深い」「需要促進・競合エネ対応など、戦略性のある料金メニューを持つ事業者は限定的である」などと総括。調査方法にも「回答率が頭打ちで、回答内容にも大きな変化がない」として、「面談によるヒアリング」の導入などへの改善を求めています。
報告書の概要 web+faxで調査も、回収率26.9%
報告書は、「流通・販売経営実態調査事業」(石油ガス流通・販売業経営実態調査報告、LPガス懇談会報告)と、「施策情報普及事業(LPガスガイド、LPガスのある暮らし)の2部構成。実態調査は、①販売事業者の経営実態、②料金透明化・取引適正化、③今後の事業方針を、webとファクスによりアンケート方式で実施しました。回答数は4,629件で、回収率は26.9%。
実態調査報告「まとめ」(調査結果へのコメント)…「面談によるヒアリング」求める
- 取り巻く経営環境は依然厳しく、過疎・高齢化といったデモグラフィック要因と、競合エネや同業者間の競争要因により、得意先戸数が減少している事業者もあると推測され、事業の縮小傾向や後継者不足を理由に廃業を検討している事業者も少なからず見られる。
- 今後は、自店顧客のために、得意先減少を前提に永続性を保つことも必要になるが、新規事業やサービス等への積極的な投資意向を持つ事業者は一部にとどまっている。
- 料金透明化については、大規模事業者での料金表集約化が進んでおらず、標準的な料金メニューに対する同業他社からの疑義も散見される。消費設備費用の事業者負担の問題は根深く、消費者不利益にも繋がりかねないため、業界一体となって取り組む必要がある。
- 需要促進や競合エネ対応の料金メニューを持つ事業者は限定的であり、料金の透明性とともに、戦略性も両立させていくよう求められる。
- 小売価格の開示や改定の周知、供給開始時における契約内容の周知はガイドラインに沿っておおむね実施されているが、未実施の事業者への実施徹底を図る必要がある。
- 諸般の働きかけがなされたものの、本アンケートへの回答率は頭打ちで、回答者が限定的なのか回答内容にも大きな変化が見られない。業界の状況把握や課題抽出を深堀するには面談によるヒアリングなど工夫が必要ではないか。
主な調査結果
経営実態調査の概要(報告書の「まとめ」より)
販売事業者の経営実態…デモグラフィック要因で厳しさ増す
- 得意先の増加要因に、得意先からの指名や営業努力など、自助努力によるものが挙げられている(将来的な期待が感じられる)。
- 一方で、減少要因には、競争環境より、得意先の高齢化や住宅取壊しなど、事業者個々では対応し難いデモグラフィック要因が上回っている(事業維持の厳しさがうかがわれる)。
料金透明化・取引適正化…賃借オーナーへの料金情報は「提供予定なし4割弱」
- 大規模事業者での料金表集約化は進んでおらず、自由回答では、依然として大規模事業者の「標準的な料金表」の曖昧さに疑義も挙がっている(計画的な集約化が望まれる)。
- 小売価格の公表は大部分の事業者で実施されているが、HP上での公表は小模事業者を中心にHP自体を持っていないケースが多いため2割弱にとどまる。
- 小売価格改定の周知や14条書面交付時の説明を未実施の事業者はごくわずかである。だが、口頭周知にとどまる、あるいは契約解約時説明が不十分なケースが一定数見られる。
- 賃貸集合の設備費用では、ガス機器以外の設備を負担する事業者が一定数存在し、極めて少数だが1軒あたり50万円以上許容する事業者も見られる。
- 7割弱は当該設備費用を「ガス料金に転嫁していない」と回答。一方で、賃貸集合オーナーや不動産管理会社から費用負担を強いられることへの不満が数多く挙がっている。
- 行政からの協力要請にもかかわらず、賃貸型集合住宅のオーナーへのLPガス料金の情報提供は、「行う予定なし」とする事業者が4割弱に達している。
今後の事業方針…小売価格の低減は6割が「今後の検討課題」
- 小売価格の低減には、6割程度が「今後の検討課題」と回答。足下での競争環境や将来の不透明感から、かじ取りの困難さが浮き彫りになっている。
- 過去5年間での経営環境の変化については、「消費者戸数の減少」が最上位。これと後継者不在などを理由に、1割近くが廃業意向を持っている。
「グリーンLPガス推進官民検討会」が初会合
日協・全L協・JGKAが課題と取り組みプレゼン
グリーンLPガスの社会実装に向けたロードマップづくりや品質基準の統一化、あるいはトランジション期間における燃焼機器の省エネ化といった課題を、官民で共有化し協議するプラットフォーム、「グリーンLPガス推進官民検討会」が動き出しました。日本LPガス協会は7月29日、第1回会合が同26日にライブ(都内)+オンラインで開催され、橘川武郎座長(国際大学副学長)と定光裕樹委員(資源エネルギー庁資源・燃料部長)が冒頭あいさつを行い、委員・オブザーバー紹介のあと、日本LPガス協会、(一社)全国LPガス協会、(一社)日本ガス石油機器工業会(IGKA)によるプレゼンと、同検討会の今後の方向性について自由討議が行われた、と公表しました。次回は11月に開催される予定。
橘川座長、「さまざま課題・困難乗り越え前進させたい」
第1回会合には橘川座長や、定光委員、関根泰委員(早稲田大学教授)、ほか委員10名、オブザーバー15名などが出席。
冒頭あいさつで、橘川座長は「CN(カーボンニュートラル)対応に手を打たない限り、LPガス業界の存続は困難な時代になった。技術開発の難しさのみならず、グリーン化を進めていくうえでの資金調達やプレーヤーの確保などさまざま課題や困難を乗り越え前に進めて行きたい」と述べ、定光委員は「経済産業省としてもしっかりとバックアップするので、将来の展望が拓けるような姿を提示してもらいたい」と述べました。
プレゼンの概要
日協「検討会設置の経緯や今後の取り組み課題等」
官民検討会の立ち上げに至る日協主催「グリーンLPガス研究会」の開催や、同研究会の最終報告を踏まえた「日本グリーンLPガス推進協議会」の設立による北九大、NEDO事業による技術開発プロジェクトの開始、日協として考える官民検討会での今後の検討課題、現行の品質基準や保安法規などを説明。
全L協「CNに向けたLPガス流通事業者の取り組み」
全L協が本年1月にまとめた「CNに向けた中間報告」をもとに、省エネ機器の普及促進と流通合理化(交錯配送の改善)、ハイブリッドLPガス車の普及促進を含めたオートガススタンドの適正配置などを説明。
JGKA「高効率給湯器普及促進」
エコジョーズのデファクト化、ハイブリッド給湯器の普及促進で燃焼機器からのCO2削減を進めていくうえで、機器メーカーだけでは解決できない諸課題として潜熱回収で発生するドレン排水の雨水処理に向けた地方行政への周知、賃貸オーナーへの動機付けなどを説明。
自由討議の概要(主な発言)
- LPガスの合成技術開発を進めて行くうえで、製造方法によってC3/C4の製造比率が変わってくることに留意すべき。技術的には開発途上ながら、外部水素を使わないでLPガス合成が行えるオプションもある。
- 石炭火力などの工場から排出されるCO2は将来的に減少していくと考えられる中、オンサイトでのLPガス合成で原料となるCO2の回収技術を高めていくことが重要。
- CO2とマッチングさせる水素の調達を、コスト面から海外調達にするなら、LPガスそのものを他の合成燃料開発動向を見つつ海外で製造すると考え方もある。
- LPガスのグリーン化を進めて行くうえで、今後縮小が予想される国内だけに目を向けるのではなく、エネルギートランジションで日本同様に苦労しているアジア諸国など、海外市場への展開へ視野を広げる必要がある。
- 2050年に向けたロードマップづくりを考えるうえで、最終的に全量のグリーン化を目指すのか、一部は既存の化石燃料部分を残していくのかどうか。後者の場合、果たして消費者からの理解が得られるのか、当検討会で議論する必要がある。
経産省「こどもデー」で「LPガス検定」
(一社)全国LPガス協会は、文部省など東京・霞が関にある各府省庁などが連携して8月3日と4日に行った2022年度「こども霞が関見学デー」に参加し、経済産業省「こどもデー」にリンクして、子どもたちに「LPガス検定」を楽しんでもらいました。
前年度に続き参加、「初級」「上級」出題
この企画は夏休み中の子どもたちに、楽しみながら学び、広く社会を知ってもらう体験活動の機会として、毎年度設営されています。全L協が参加したのは2021年度に続き2回目。「LPガスは全国の半分の家庭で使われているエネルギー。楽しみながら学んでかわいい認定証をGETしよう」と呼びかけ、前年度同様に、LPガスの性状から流通、用途、保安まで、「初級編」と「上級編」とに分けて用意。5問を出題し、5分以内に3問正解したときを合格とし、認定証を手にしてもらいました。
ベターリビング、記念誌「ガスとお湯の50年」刊行
住宅・建築に関する基準認証・試験研究機関、(一財)ベターリビングは、1973年に建設省(現国土交通省)から認可を受け「財団法人住宅部品開発センター」として設立されて以来50年を経たことから、このほど、記念誌「ガスとお湯の50年~時代とともに、暮らしを豊かに~」(A4判・カラー、260ページ)と、「マンガでわかる暮らしを変えたガスとお湯の物語」(A4判・カラー、22ページ)を刊行しました。
まんがでわかる「暮らしを変えたガスとお湯の物語」も発行
「記念誌」は、この50年の暮らしの中で大きな変化を遂げた住まいと、それに貢献したお湯文化の歴史を、開発・普及・品質向上にあたった当事者は学識者によるレポートや対談、座談会などでたどる内容となっています。
1:ガスとお湯を語る、2:ガスとお湯=50年の歩みとこれから、3:1970年代=工業化住宅と内風呂の普及、4:1980年代=住宅性能の向上とお湯利用の拡大、5:1990年代=生活価値の多様化とより安全で快適な機能展開、6:2000年代=省エネ化の推進と新しい時代の生活提案、7:2010年代=エネルギーミックスと住生活のスマート化、8:2020年代=豊かで持続可能な住生活を目指して、9:資料編で構成。イラスト・図表を多用した、見やすく理解しやすい誌面になっています。
「マンガ版」は、みらい君一家の「お湯の」現在(いま)、過去(むかし)、未来(これから)を、現在開発が進められているメタネーションまで、わかりやすく紹介しています。
記念誌は電子ブックでも閲覧できます
→https://www.cbl.or.jp/gastooyu/ebook/
2022年8月 動画で見る「ニュースダイジェスト音声版 2022年08月」はこちらから>>>
A級・B級事故定義から「社会的影響・関心度」を削除
経済産業省は6月1日、「液化石油ガス事故対応要領」を一部改正し、A級事故とB級事故の分類定義から“社会的影響・関心度”を削除しました。また、事故発生直後の事故情報の公表基準を見直し、死亡や重傷、CO中毒といった生命・身体に被害が及んだ重大事故だけ発信することとしました。
事故対応要領の改正概要
A級事故 LPガス事故のうち、次のいずれかに該当するものをいう。
- ①~⑤(略) ⑥を削除
*⑥その発生形態、影響の程度、被害の態様(第三者が多数含まれている場合、テロによるもの等)等について、テレビ・新聞等の取扱い等により著しく社会的影響・関心が大きいと認められるもの(NHK全国放送/民間全国放送/全国紙等で10社以上の報道がなされている場合を目安とする)。
B級事故 A級事故以外であって、LPガス事故のうち、次のいずれかに該当するものをいう。
- ①~④(略) ⑤を削除
*⑤<上記下線部分と同じ>(NHK全国放送/民間全国放送/全国紙等で3社以上の報道がなされている場合を目安とする)。
LPガス事故発生直後の緊急措置
平成19年2月16日に経済産業省が定めた事故情報の公表基準及び大臣官房政策評価広報課広報室が定めるところに従いプレス発表を行う。
LPガス担当企画官職を廃止、石油流通課長が兼務
経済産業省は7月1日付で、資源エネルギー庁石油流通課の液化石油ガス産業担当企画官職を廃止し、LPガス産業振興、取引適正化調査・事務は石油流通課長(永井岳彦課長)が兼務し、LPガス備蓄事務は石油精製備蓄課に新設した石油・液化石油ガス備蓄政策担当企画官職が担当する組織変更を行いました。
石油・液化石油ガス備蓄政策担当企画官職を新設
同企画官には古幡哲也氏(石油天然ガス・金属鉱物資源機構<JOGMEC>)が就き、橋爪優文・前液化石油ガス産業担当企画官は製造産業局車両室長に異動しました。
グリーンLPガス実装に向け「推進官民検討会」立ち上げ
日本LPガス協会は6月22日、グリーンLPガスの社会実装に向けたマイルストーンづくりや水素・CO2の調達方法、トランジション期間中の省エネ機器普及、品質基準づくりなどの重要課題を官民で共有し、一体となって対応を協議する場として、「グリーンLPガス推進官民検討会」を発足させる、と公表しました。同協会と、協会の常任理事会社(5社)で構成する(一社)日本グリーンLPガス推進協議会が中心となって立ち上げ、政府(経済産業省)も参画します。初回会合は7月下旬に開き、座長には国際大学の橘川武郎副学長が就く予定。
主要な協議テーマ
社会実装に向けたLPガス業界としてのマイルストーンづくり/水素・CO2の将来的な調達方法/トランジション期間における省エネ機器の普及促進/新たな品質基準づくり・保安の確保・非化石燃料としての第三者認定
立ち上げの背景
- 2050年CN社会実現に向け、LPガス業界でもCN-LPガス(グリーンLPガス)の製造技術開発に向けたプロジェクトが、公的資金の活用や業界団体独自の動き等により国内各地で相次いで立ち上がりつつある。
- 一方で、グリーンLPガスの社会実装に向けたロードマップづくりや、トランジション期間中における燃焼機器の省エネ化対応、あるいは既存のサプライチェーンを最大限活用して行くうえでのグリーンLPガス品質基準など、重要課題を官民で共有し対応を協議する場は不在である。
- このため、流通団体、燃焼機器団体、公的研究機関などの有識者による「グリーンLPガス推進官民検討会」を、日協と日協の常任理事会社であるアストモスエネルギー、ENEOSグローブ、ジクシス、ジャパンガスエナジー、岩谷産業でつくる(一社)日本グリーンLPガス推進協議会が中心となって立ち上げることになった。
検討会の構成員(*)
座長:国際大学副学長・橘川教授、政府:経済産業省資源・燃料部、学識者:早稲田大学理工学術院・関根教授 業界団体:日本LPガス協会(日本グリーンLPガス推進協議会)、全国LPガス協会、日本ガス石油機器工業会 開発会社:古河電気工業、クボタ、研究機関:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、産業技術総合研究所(AIST)、オブザーバー:日協常任理事会社(5社)、LPガス卸小売会社(サイサン、エア・ウォーターほか)、日本ガス協会、日本コミュニティ-ガス協会、全国ハイヤー・タクシー連合会、三浦工業、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、ほか 事務局:日本LPガス協会
*構成員は発表時点のもので、増員を含め今後変更になる可能性がある。
首都圏でガス料金の架空請求SMS
首都圏を中心に、6月初旬から、「ガス料金等最終請求のお知らせと供給停止」や「ガス供給停止の予告」「ガス料金のお支払い」についてなどといった、ガス会社を装ったSMS(ショートメール)が不特定多数の携帯番号宛てに送られ、お客様から販売店に問い合わせが寄せられています。
全L協、3県協会、不審メールURLにアクセスしないよう注意喚起
(一社)全国LPガス協会、神奈川県、埼玉県、千葉県LPガス協会などではこのため、ホームページ上などで、「フィッシング詐欺の可能性が高いと思われます。十分にご注意ください」「架空請求の可能性があるので、SMS本文に記載のリンクにアクセスをする前に、ご契約のLPガス会社に電話でご確認をお願いします」「心当たりのない不審メールのURLにはアクセスしないようにしましょう」などと呼びかけています。
記載されているリンク先にアクセスすると、支払期限を過ぎた利用料金と支払いを要求する内容が表示されるようです。
都市ガス需給ひっ迫対応、ガス基本政策小委WGで検討
経済産業省・総合資源エネルギー調査会の電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会ガス事業制度検討ワーキンググループの第21回会合で、国際的なLNG調達環境が厳しさを増す中、需給ひっ迫時の節ガス要請と個別需要家への需要抑制のあり方について意見が交わされました。
「LPガス活用を」との発言も
制度設計に向けた議論では、「節ガス要請は大口需要家が主体となるだろうが、LNG需給のひっ迫は同時に、発電(火力)にも大きな影響をもたらす。備蓄があり、ロシア依存がないLPガスこそが有力な代替エネルギーではないか」(橘川武郎委員)との発言がありました。
また、「ガス事業法には電気事業法にはある『使用制限令』の定めがない。設けるなら、液石法も含めて法改正すべきではないか」(同委員)との意見も出されました。
全L協、「エアコンとの離隔距離の確保」チラシ配布を依頼
(一社)全国LPガス協会は、経済産業省(ガス安全室)から要請を受け、5月12日、都道府県LPガス協会などに「エアコン室外機等の設備とLPガス充てん容器との保安離隔の確保」について通知し、経産省が作成した周知用チラシを消費者に配布して徹底するよう依頼しました。
経産省、全日本電気工事業工業組合連合会にも協力依頼
経産省は要請にあたり、全日本電気工事業工業組合連合会に協力依頼を行いました。保安離隔距離は「2m超」となっていますが、都道府県がエアコン室外機等を火気とみなしていない場合は従来どおりの対応を求めています。
詳しくはこちら
第2回無償配管等問題懇、事業者も出席し意見交換
橘川教授、「エネ庁が解決に踏み込むはず」
(一財)エルピーガス振興センターによる第2回「無償配管・無償貸与問題懇談会」が6月27日に開かれ、事業者3者に法曹、学識者を加え、嘉村潤・同センター専務理事の進行で意見交換が行われました。
橘川教授、「まだ“落としどころ”は見えていない」とも
この中で指摘や提言があったのは、「標準料金の定義の明確化」「3部料金制の導入促進」「設備償却顧客への料金対応(引き下げなど)」「液石法と他法との不突合の調整(ガス機器以外の設備貸与)」「切り替えを勧誘する一部大手の姿勢転換(“横綱相撲”への転換)」など。
橘川武郎・国際大学副学長・同大学院教授はまとめにあたり、「エネ庁の橋爪優文企画官が問題を深堀りされた貢献が大きい。本日は石油流通課長も傍聴しており、解決に踏み込んでもらえると期待している。ただ、グリーンLPG同様に、まだ“落としどころ”が見えていない」と述べました。
懇談会は今回で終了し、今秋以降流通行政に反映されてくると見られます。
出席者(敬称略)
- 事業者:澤田栄一(マルエイ、岐阜県協会長)、渡邉政博(仙台アイ・リビング、宮城県協会長)、関口剛(カナエル、神奈川県協会理事)
- 法曹:藤本祐太郎(弁護士)
- 学術:橘川武郎(国際大学副学長・同大学院国際経営学研究科教授)
発言ポイント(敬称略)
藤本
裁判例110件(勝訴等20件、敗訴90件)を分析すると、勝敗の岐路は設備所有権の認否。否定され配管附合が認められると償金請求が認められない限り敗訴(55%)する。附合がなくても、即時取得が認められ所有権が否定されるケースがある。一方、設備所有権が否定されない場合も、消費者契約法が適用されると平均的損害が問われ、多くは認められず敗訴(30%)する。利益調整合意を一部認め、かつ消契法に言及せず勝訴(15%)するものもある。
渡邉
賃貸集合への設備貸与はLPガス事業者の過剰投資となり、それが(転嫁され)料金の不透明感、不適切な取引に繋がっている。顧客に「無償貸与」と説明しても実質的には有償貸与である。料金公表では、その前提となる標準料金の定義を明確にしてほしい。
澤田
当社は設備有償料金と無償料金、賃貸集合用料金を設け、設備償却後は下げる仕組みに改めた。現状の業界は、償却後も料金を据え置いて得た原資が過剰投資を招いている。
関口
当社は統一料金とし、設備貸与料は別途頂戴している。解約時に配管代を徴収できなかったケースは新築全体のわずか2.5%。90数%の顧客とは商慣習が成り立っている。
橘川
私の理解では賃貸入居者が不平等感を持っており、一般紙が報道したのもそこにあると思う。基本・従量・設備利用の3部料金制とするのが問題解決の一つの方法と言える。(設備貸与料、違約金を)払わずとも切り替えられるという事業者がいて、さらにブローカーを使いそれを進めている実態もある。
澤田
それぞれ形態が異なる賃貸集合は、総括原価の中で対応していくしかない。
渡邉
都市ガス料金と大きな乖離がある中、現状のままでは、賃貸集合の入居者が将来戸建住宅を建てるとき、LPガスを選んでくれそうもない。
藤本
配管・機器の所有権が得られるわけでもなく関心も薄いテナント・入居者と、ガス事業者との裁判例は少ない。顧客への説明はいかに尽くし顧客も深く納得しても、消契法にそぐわないものは敗訴となる。
澤田
“いかにも理不尽”なので裁判は意地でやった。現在の料金制でも裁判になったらとことん戦う。
橘川
ガス機器でない設備も液石法(14条)で対応できるのか、液石法と他の法律が“不突合”になっているので調整が必要だろう。
藤本
近時の判例を見る限り、判示で商慣行に触れているものはなかなかない。ただ、敗訴が多いので、(否定的に見る)傾向はあるかもしれない。
橘川
もっとLPガスの大義を考えたい。LPガスは非常時の“最後の砦”とされるが、平時でも重要なエネルギーだ。容積あたりの熱量が各段に高く、導管なしでやれるので、「2050CN実現」でもグリーンLPGが実現すれば今の6割は残り、そこに供給責任もある。この問題に真剣に取り組み乗り越えたい。
関口
大手が安い料金で切り替え、その後値上げしていく。局地的な価格戦争が起き、全体として情報がクローズになっていく状況を変えたい。大手が既存顧客も低価格にする“横綱相撲”に転換すれば、我々中小もそれを乗り越える動きを目指すようになる。
渡邉
橘川先生ご指摘のように、ガス機器以外も含めることが液石法に触れないのかどうか。また、これからも設備貸与を続けていいかすごく疑問だ。
澤田
償却を終わった顧客は選べる料金にすべきである。すると、利益を他に回さなくなり、業界健全化につながる。
橘川
この問題では、エネ庁の橋爪優文企画官が深堀りされた貢献が大きい。本日は石油流通課長も傍聴されており、解決に踏み込んでくれると期待している。問題は、グリーンLPG同様に、まだ“落としどころ”が見えていないことにある。
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全L協、特商法改正受け電子メール対応告知文作成
(一社)全国LPガス協会はクーリング・オフに電子メール(電磁的記録)が利用できるよう特商法が改正されたことを受け、5月24日と25日、契約書面に記載する告知文例を作成し、都道府県LPガス協会に、会員事業者へ周知・徹底するよう依頼しました。
参考例として「電子メール記載版」「問い合わせ対応版」提示
月1日から施行された今回の改正では、消費者が事業者に通知するクーリング・オフが、これまでのハガキなど(書面)に加え、電子メールなどでも行えるようになりました。一方、事業者が交付を義務付けられている契約書面等も、消費者の承諾を得て、電子メールで行えるようになりました。
これにともない、契約書面等に記載する「告知文」は、電子メールでクーリング・オフできることを示す変更が必要となります。
告知文例はタイトルが「(注)クーリング・オフ制度のお知らせについて」となっており、「以下の『クーリング・オフのお知らせ』の規定の対象のお客様は、LPガス販売にあたって、『特定商取引法の訪問販売等に当たる場合のみ」適用させていただいておりますので、ご了承をお願いいたします」と注記してあります。
「クーリング・オフのお知らせ」の第1項で、クーリング・オフが「書面(下図参照)または電磁的記録(電子メールなど)」でできることを記載。そのうえで、電子メール記載の参考例と、問い合わせ対応の参考例を紹介しています。
経産省、「電力・ガス契約の相談が多い」と注意喚起
経済産業省は7月13日、ホームページ上で、「電力・ガスの契約に関する相談が多く寄せられています」として、主な相談事例10例とアドバイスを紹介して注意を喚起しました。この中で、2022年4月1日から18~19歳の若者も親の同意がなくても一人で契約できるようになった一方で、未成年者取消権を行使できなくなったことも紹介しています
主な相談事例
- 訪問を受けた後の確認の電話で断ったのに契約したことになっていた。
- 検針票を見せ、電気料金が安くなると言われて契約を切り替えたが、実際は従前の2倍の金額になった。
- 市場連動型プランとの説明を受けておらず、電気料金が高額になった。
- 電気の勧誘を断っているのにガスの契約先からの電話勧誘が続いた。
- 代理店から勧誘を受けて個人情報を伝えてしまったが、どこの電力会社からの勧誘かわからなくなってしまった。
- 市場連動型の電気料金が突然高額になった。
- 以前契約していた事業者から高額な請求がきた。
- 契約中の事業者から料金改定の通知がきた。
- 電力事業を撤退する事業者から契約解除の通知が届いた。
- 一般送配電事業者から、供給停止の通知が届いた。
2022年7月 動画で見る「ニュースダイジェスト音声版 2022年07月」はこちらから>>>
2021年度販売量、家業用は2.7%増、自動車用は3.6%減
日本LPガス協会がこのほどまとめたLPガス需給「2021年度の概況」によれば、部門別販売量(LPガス元売段階、電力用を除く)は、プロパンが10,521千トン(前年度比102.3%)で微増、ブタンが2,601千トン(97.8%)でやや減少となり、全体では13,122千トン(101.4%)のほぼ横ばいでした。うち、家庭業務用は7,353千トン(102.7%)に増え、自動車用は369千トン(96.4%)へとさらに減少しました。
輸入先はアメリカ66.7%、カナダ12.7%
一方、輸入量は10,138千トン(99.8%)で、うちアメリカが6,757千トン(99.2%)で66.7%を占め、次いでカナダが1,284千トン(125.3%)で12.7%となりました。
- 部門別販売量 家庭業務用:7,253,413トン(前年度比102.7%)、工業用:2,522,839トン(98.4%)、自動車用:368,675トン(96.4%)、都市ガス用:1,436,892トン(118.8%)化学原料用:1,439,978トン(88.3%)、合計:13,121,797トン(101.4%)
- 輸入量 中東:1,051,299トン(83.1%)、アメリカ:6,757,197トン(99.2%)、オーストラリア:854,852トン(97.0%)、東ティモール:189,703トン(019.6%)、インドネシア:506トン、カナダ:1,284,455トン(125.3%)、合計:10,138,012トン(99.8%)
2021年度 部門別販売量(日本LPガス協会まとめ)
今夏(7月)の電力予備率、東北・東京・中部エリアは3.1%
政府は6月7日、足元の電力需給の厳しさを受けて、5年ぶりに電力需給に関する検討会合を開催し、「2022年度電力需給に関する総合対策」を決定しました。それによれば、2022年度夏季は7月に東北・東京・中部エリアで予備率3.1%と非常に厳しく、冬季はさらに1~2月に全7エリアで安定供給に必要な3%を確保できず、特に東京エリアは予備率がマイナスに陥る厳しい見通しにあります。
消費者向けには節電目標を設定しない「節電・省エネキャンペーン」徹底
このため、政府は今後、供給対策、需要対策、そして構造的対策を講じていきます。今夏、消費者向けには特に節電目標を設定しない「節電・省エネキャンペーン」を徹底していく予定です。
2022年度の電力需給の厳しい背景
- 近年、脱炭素の流れの中で、再エネの導入拡大にともなう火力発電所の稼働率低下により休廃止が増加。また、今年3月の福島県沖地震による稼働停止の長期化も懸念される。
- 一方で、これまでに再稼働した原子力発電所は計10基にとどまり、太陽光をはじめとする再エネの導入が進んでいるものの、特に冬季は需給ひっ迫時の供給力が減少している。
今後の総合的な対策
供給対策
電源募集(kW公募)の実施による休止電源の稼働/追加的な燃料調達募集(kWh公募)の実施による予備的な燃料の確保/発電所の計画外停止の未然防止等の要請/再エネ、原子力等の非化石電源の最大限の活用/発電事業者への供給命令による安定供給の確保
需要対策
節電・省エネキャンペーンの推進/産業界、自治体等と連携した節電対策体制の構築/対価支払型のディマンド・リスポンス(DR)の普及拡大/需給ひっ迫警報等の国からの節電要請の高度化/使用制限令の検討、セーフティネットとしての計画停電の準備
構造的対策
容量市場の着実な運用、災害等に備えた予備電源の確保/燃料の調達・管理の強化/脱炭素電源等への新規投資促進策の具体化/揚水発電の維持・強化、蓄電池等の分散型電源の活用、地域間連系線の整備
改正液石法が5月20日公布、2023年4月に権限委譲
都道府県知事の事務・権限を指定都市の長に移譲する液石法の一部改正案は第208回通常国会で可決・成立し、5月20日に公布されました。委譲する権限は、販売事業の登録、保安機関の認定、貯蔵施設の設置許可など。2023年4月1日から施行されます。
全ての新築住宅・非住宅に「省エネ基準」適合を義務付け
2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に向け、建築物の省エネ化や木材利用の促進を図る建築物省エネ法改正案(「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の改正案」)は第208回通常国会で6月13日に可決・成立しました。全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付けるとともに、トップランナー制度を拡充し、ZEH・ZEB水準に誘導。また、太陽光発電の一般化も強力に推し進めるもので、2025年度以降に施行されます。
建築物省エネ法の改正概要
省エネ対策の加速
省エネ性能の底上げ・より高い省エネ性能への誘導
- 全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務付け
*現在は対象が中大規模の非住宅に限られているが、十分な準備期間を設けたうえで「新築住宅」「非住宅」にも、断熱材厚さ85mmの外壁、透明複層ガラスの窓といった省エネ基準を義務付ける。 - トップランナー制度(大手事業者による段階的な性能向上)の拡充
*制度を拡充し、例えば(東京の場合)、断熱材厚さ105mmの外壁、Low-E複層ガラスの窓といったZEH・ZEB水準に誘導する。 - 販売・賃貸時における省エネ性能表示の推進
ストックの省エネ改修や再エネ設備の導入促進
- 住宅の省エネ改修に対する住宅金融支援機構による低利融資制度を創設
- 市町村が定める再エネ利用促進区域内について、建築士から建築主へ再エネ設備の導入効果の説明義務を導入
- 省エネ改修や再エネ設備の導入に支障となる高さ制限等の合理化
木材利用の促進
防火規制の合理化
- 大規模建築物について、大断面材を活用した建築物全体の木造化や、防火区画を活用した部分的な木造化を可能とする
*高い耐火性能の壁・床での区画により延焼を抑制する - 防火規制上、別棟扱いを認め、低層部分の木造化を可能に
構造規制の合理化
- 二級建築士でも行える簡易な構造計算で建築可能な3階建て木造建築物の範囲の拡大等 *高さ13m以下を16m以下へと拡大
その他
省エネ基準等に係る適合性チェックの仕組みを整備 等
リンナイ、家庭用給湯器で世界初の「水素100%燃焼」に成功
リンナイは5月30日、家庭用給湯器で世界初となる「水素100%燃焼」の技術開発に成功した、と公表しました。水素100%を家庭用エネルギーに利用する準備段階に入ったオーストラリアで、今年末ごろから実証実験を開始する予定です。
爆発の危険性」「不安定な燃焼」などクリア
発表によれば、CO2排出ゼロのクリーンな燃料・水素の燃焼で、課題とされていた爆発の危険性や不安定な燃焼などを、ガス機器の開発で蓄積した燃焼技術や流体制御技術を駆使してクリアしました。同社はこれを皮切りに、「世界の水素インフラ普及に合わせた水素給湯器の量産化に向け、さらなる技術確立と信頼性アップを進めていく」としています。
開発の背景と過程 「CO2を排出しない商品の開発」は社会的責務
- リンナイは2021年11月、カーボンニュートラル(CN)への取り組みを「RIM2050」として発表した。全世界で地球温暖化への危機感が高まり、脱炭素社会への動きが加速している中、当社は化石燃料を主とした家庭用機器を取り扱う企業として、CNへの責務を感じている。
- CO2排出削減への取り組みで、商品使用時に排出されるCO2が95%と圧倒的に多く、現在も普及活動をしている高効率給湯器などの省エネ商品の先には、「CO2を排出しない商品の開発」が大きな目標となる。そこで、水素エネルギーを燃焼してお湯を沸かす給湯器の開発を進めてきた。
- 水素を確実に燃焼するには課題も多く、特に「爆発の危険性」や「燃焼の安定性」などもクリアしなければならない。2020年で創業100年を迎える歴史で培った燃焼や、空気・燃料制御技術、長い経験を活かし、使用条件がより厳しい家庭内の用途で、このほど水素100%給湯器の開発に至った。
- 日本をはじめとした世界の家庭用給湯器は、現在ガスや電気が主流であり、水素燃焼給湯器の利用は水素インフラの普及が前提となる。リンナイは、世界の水素インフラ普及に合わせた水素給湯器の量産化に向け、さらなる技術確立と信頼性アップを進めていく。
全L協、2022年度重点事業として保安確保と“三本の矢”推進
新会長に山田耕司氏(大分県協会長)
(一社)全国LPガス協会は6月9日、東京・港区の第一ホテル東京で2022年度定時総会を開き、任期満了にともなう役員改選(理事・幹事)を行い、総会後の理事会で新会長に山田耕司氏(大分県協会長)、副会長に5氏(再任2氏、新任3氏)を選任しました。山田新会長は、就任あいさつで「秋元耕一郎前会長が取り組んできた構造改革を継承し、活動基盤の強化を図る。ご協力をお願いしたい」と述べました。
2022年度の重点事業は、「保安確保の充実」と「“三本の矢”の推進」。うち、カーボンニュートラル(CN)対応では、LPガス機器によるCO2削減効果の見える化(先行事例の調査・分析・情報提供)とJ-クレジットの情報提供・周知にも取り組む方針です。
執行部体制(県協会等、「新」は新任)
会長:山田耕司氏(大分、新)/副会長:葛西信二氏(青森)、菅井裕人氏(新潟、新)、澤田栄一氏(岐阜、新)、坂西学氏(ミツウロコヴェッセル)、廣田博清氏(岩谷産業、新)
2022年度重点事業
- 保安確保の充実:LPガス安心サポート推進事業の継続実施(2年目)
- 【三本の矢:その1】究極のライフラインLPガス:公共施設へのLPガス機器の常設・常用の拡大、災害にも強いLPガスの普及拡大
- 【三本の矢:その2】進化するLPガス:2050年CN移行までにおけるCO2削減可能なガス機器の推奨・普及・情報提供
- 【三本の矢:その3】人を育むLPガス:こどもたちへの火育・食育
「無償配管・無償貸与問題懇談会」で法曹・学術者が意見交換
(一財)LPガス振興センターは5月31日、都内で第1回「無償配管・無償貸与問題懇談会」を開催しました。無償配管・無償貸与の是正に向けた取り組みの経緯と、最近の裁判例の分析結果を紹介のうえ、法曹・学術関係者間で意見交換が行われました。近年の司法判断が消費者重視におかれ、事業者敗訴が相次ぐ中、業界慣行の是正と料金の透明化、消費者説明のあり方(消費者契約法、液石法)について新たな方向性を探るのが狙いで、事業者3氏なども加えた次回(6月27日開催)で取りまとめる予定。資源エネルギー庁流通課はこれを受け、新たな施策を打ち出したい考えです。
エネ庁流通課、次回取りまとめを受け新たな施策へ
第1回会合に出席したのは、弁護士の須藤希祥氏(長島・大野・常松法律事務所<裁判例を分析>)、高山俊吉氏(高山法律事務所)、松山正一氏(松山・野尻法律事務所)、国士館大学教授の渡邉昭成氏で、同センターの嘉村潤専務理事の司会で進められました。
配布資料:裁判例分析の視点(主要な論点ごとの判断の傾向)
事業者の配管・機器等の所有権の有無
- 解約時に配管・機器等を売却する旨の契約に基づく請求を行う場合、その所有権が認められなければ当該売買契約は原始的不能となる。
- 配管等の附合や機器の即時取得等により所有権が否定されることがある。
利益調整合意という解釈の可否
- 所有権を否定された場合でも、上記売買契約が利益調整合意であると解釈された場合には請求が認容され得る。
償金請求(民法第248条)の可否
- 配管等が建物に附合したと認められる場合、民法第248条に基づく償金請求が認められる場合がある。ただし、その相手方は建設会社であり、建物所有者ではないと判示するものがある。
消費者契約法の適用の可否
- 契約の成立が認められても、これが実質的には解約料の定めであるとして消費者契約法第9条1号が適用された場合、契約解除にともない当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効となる。
同:裁判例分析の結果(中間報告)
- チェックできた裁判例110件中、事業者勝訴・一部勝訴は20件で、残り90件は敗訴。
- 判決件数が増えた2018年以降、特に敗訴率が高くなっている。
- 消費者契約法第9条1号(平均的な損害額を超えるもの)が適用された事例は34件で、うち勝訴は2件だけ。一方、消契法が適用されず敗訴した事例も相当数ある。
2022年6月 動画で見る「ニュースダイジェスト音声版 2022年06月」はこちらから>>>
屋外で移動して使用される消費設備への質量販売、「30分ルール」を除外へ
経済産業省(ガス安全対策室)は4月23日、電子政府の総合窓口「e-Gov」で、屋外で移動して使用される消費設備における「30分ルール」の除外について意見を公募しました(5月23日に終了)。液石法では、保安機関に、緊急時には一般消費者等の供給設備・消費設備に原則として30分以内に到着できる保安体制を確保するよう求めています(30分ルール)が、質量販売されたLPガスをキャンピングカーなどで利用するケースが増えていることから、緊急時には一般消費者等が自らが対応するよう見直すもの。
講習修了と事業者確認が条件、消費者自らが緊急対応
改正案では、①LPガスを消費する一般消費者等がガス安全に係る一定の知識や技量に関する講習を修了し、②緊急時に所要の措置を自ら行うことを、販売契約を締結した販売事業者の確認を受けた場合、「30分ルール」から除くとしています。
保安業務に係る技術的能力の基準等の細目を定める告示等の改正案(第2条<資格者の数>、一・二略、下線が改正部分)
三 前二号に定めるもののほか、緊急時対応にあっては次に掲げる要件に適合するものとする。
イ[略]
ロ 保安業務に係る一般消費者等の供給設備及び消費設備には原則として三十分以内に到着し、所要の措置を行うことができる体到制を確保すること。ただし、液化石油ガス販売事業者が規則第十六条第十三号ただし書の規定に基づき質量により販売した液化石油ガスを屋外において移動して使用される消費設備により消費する一般消費者等であって、緊急時対応に関する講習の課程修了し、かつ、緊急時に所要の措置を自ら行うことについて、当該液化石油ガス販売事業者の確認を受けたものの消費設備については、この限りでない。
エネ需要・CO2排出、2020年度はコロナで大幅減少
経済産業省が4月15日にまとめた2020年度の「エネルギー需給実績」(確報)によれば、新型コロナによる人流抑制、生産減少により、最終エネルギー消費は前年度6.7%減となり、うち石炭は14.7%減、都市ガスは8.8%減、石油は7.1%減、電力は1.5%減といずれも減少しました。これにともない、エネルギー起源のCO2排出量も9.7億トンへと5.9%減少。2013年度比では7年連続減少となり、10億トン台を割り込みました。
部門別動向 家庭用だけ消費は4.8%、CO2は4.5%増加
- エネルギー需要 家庭部門は新型コロナで在宅時間が増えたことから+4.8%増加。ほかは企業・事業所他が8.0%減(うち製造業は9.7%減)、運輸が人流抑制・生産活動落ち込みで10.3%減少。
- エネルギー起源CO2排出量 運輸が10.2%減、企業・事業所他が6.9%減。一方で、家庭だけは4.5%増えた。
グリーンLPG、2030年度に年1,000トン
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、合成燃料や持続可能な航空燃料などの社会実装を目指した技術開発「グリーンイノベーション基金事業」で、「グリーンLPG」については実施先を古河電気工業、事業期間を2030年度までの9年間とし、2030年度に年間1,000トン製造する技術を実証・完成させる計画です。革新的プロセスとして「ラムネ触媒」の活用が予定されています。
革新的プロセスに古河電工「ラムネ触媒」
NEDOは4月19日に、グリーンイノベーション基金事業の一環で進める「CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」(予算総額1,145億円)の概要を公表しました。同プロジェクトでは、産業や運輸、家庭などの分野で電化・水素エネルギーへの代替が難しく、ガソリンや航空燃料、メタン、LPGの化石燃料を継続的に利用しなければならないニーズに対応できる技術開発と、その社会実装を推進します。
実施テーマは、液体燃料(輸送用燃料)で合成燃料と持続可能な航空燃料(SAF)、気体燃料(産業用・家庭用)で合成メタンとグリーンLPGです。
グリーンLPGの研究開発「革新的触媒・プロセスによるグリーンLPG合成技術の開発・実証」
目的・概要
- 海外からLPGを調達する業界構造から、国内でグリーンLPGを製造するグリーンLPG製造業を創出するため、生成率50 C-mol%以上となるグリーンLPG合成技術を確立する。
- その後、グリーンLPGを年間1,000トン製造する技術の実証を2030年に完了させる。同技術をライセンスなども含めて広く展開し、CN社会と国内の持続可能なエネルギー供給に貢献していく。
実施体制
古河電気工業
事業期間
2022年度~2030年度(9年間)
事業規模など
事業規模:約53億円、支援規模:約36億円(インセンティブ額を含む)、補助率など:9/10→2/3→1/2(インセンティブ率10%)
2020年度の家庭部門CO2排出、LPガスは5.9%
環境省が明らかにした2020年度の「家庭部門のCO2排出実態統計調査」によれば、世帯当たりの年間エネルギー消費量は新型コロナによる巣ごもりと低気温で32.4GJとなり、前年度より6.9増加しました。これにともない年間CO2排出量は2.88t-CO2となり、5.9%増えました。これらのうち、LPガスのエネルギー消費量は2.8GJで、増加は0.1GJ、CO2排出量は0.17 t-CO2で、増加は0.01 t-CO2とわずかにとどまりました。LPガスのCO2排出量は全体の5.9%。
調査結果のポイント(エネルギー別)
- 世帯あたり年間エネルギー消費量(2019年度→2020年度、GJ) 電気:14.6→15.3(構成比47.2%) 都市ガス:7.8→8.5(26.2%)、LPガス:2.7→2.8(8.6%) 灯油:5.3→5.7(17.6%) 合計30.3→32.4(100.0%)*構成比は四捨五入により数字が合いません。
- 世帯あたり年間CO2排出量(同、t-CO2) 電気:1.80→1.88(構成比65.3%) 都市ガス:0.40→0.44(15.3%)、LPガス:0.16→0.17(5.9%) 灯油:0.36→0.39(13.5%) 合計2.72→2.88(100.0%)
太陽光発電買取価格、2022年度は2円下降し17円へ
経済産業省は3月25日、調達価格等算定委員会の意見を踏まえ、再エネのFIT・FIP制度における2022年度以降の買取価格・賦課金単価等を公表しました。2022年度の住宅用太陽光発電の買取価格は17円で、前年度比2円の下降。賦課金は3.45円となり、月額897円(前年度比24円増)となりました。
太陽光発電
①住宅用太陽光発電(10kW未満、2021年度19円):2022年度17円、2023年度16円
②-1事業用太陽光発電(10kW以上50kW未満、同12円):2022年度12円、2023年度10円
②-2 同(50kW以上・入札対象外、同11円):2022年度11円、2023年度9.5円
賦課金単価(同3.36円/kWh)
2022年度3.45円 *電力使用量が月260kWhの需要家モデルで月額897円(前年度比+24円)、年額10,764円(+288円)
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2022~2026年度需要見通しは年率+0.8%で微増
経済産業省・総合資源エネルギー調査会・石油市場動向調査ワーキンググループが3月30日に開催した第8回会合で、2022~2026年度石油製品需要見通し(液化石油ガス編)が了承されました。それによれば、総需要(電力用除く)は2021年度実績見込み12,608千トンに対し2026年度は13,145千トンになると想定。年率+0.8%の微増で推移しますが、うち家庭業務用は▲1.0%のマイナス成長となる見通しです。
家庭業務用は▲1.0%のマイナス成長、2022年度は微増
2022年度の総需要は13,271千トン(2021年度実績見込み比+5.3%)が見込まれ、うち家庭業務用は平年並みの気温を想定し6,024千トン(+0.8%)の微増、自動車用は台数減少、燃費効率アップで518千トン(▲1.0%)へと減少が続く見込み。
化学原料用はエチレン原料へのLPガス使用割合の増加で+20%超もの増加が見込まれる。
分野別見通し(2021年度→2026年度、(年率))
- 家庭業務用:5,977千トン→5,694千トン(▲1.0%)
- 工業用:2,623千トン→2,810千トン(+1.4%)
- 都市ガス用:1,217千トン→1,521千トン(+4.6%)
- 自動車用:523千トン→499千トン(▲0.9%)
- 化学原料用:2,268千トン→2,821千トン(+2.9%)
- 合計:12,608千トン→13,145千トン(+0.8%)
2022年度見通し(2021年度実績見込み比増減)
- 家庭業務用:6,024千トン(+0.8%)
- 工業用:2,749千トン(+4.8%)
- 都市ガス用:1,244千トン(+2.2%)
- 自動車用:518千トン(▲1.0%)
- 化学原料用:2,736千トン(+20.6%)
- 合計:13,271千トン(+5.3%)
火気距離の測定方法、障壁の設置方法を明文化へ
経済産業省(ガス安全室)は4月12日、電子政府の総合窓口「e-Gov」上で、火気距離の測定方法、不燃性障壁の設置方法を明文化する「液石法・関係政省令の運用及び解釈」「例示基準」の一部改正案について意見公募を開始しました。期間は5月16日まで。
運用及び解釈案等のポイント
- 火気との距離測定を、「容器(附属品及びスカートを含む)を立体的にとらえた外面」とする。バルク容器やバルク貯槽は安全弁の放出管は含まないものとする。
- 距離は、容器の頂部から上方は直線距離、容器の頂部から下方は水平距離により測定する。
- 不燃性の隔壁等で火気を遮る措置が適切に講じられた場合は、迂回水平距離をとる必要はない。
- スチール製等の簡易な容器庫や容器を囲うように設置された不燃性の隔壁は、例示基準「漏えいガス滞留防止のための構造又は措置」を参考に適切な開口部を設ける。
-
【例:LPガス容器】
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【例:バルク貯槽】
詳しくはこちら
「災害対策マニュアル」を改訂、水害・雪害対策充実化
経済産業省(ガス安全室)は4月7日、「LPガス災害対策マニュアル」を改訂したことを公表し、(一社)全国LPガス協会など関係団体に、会員事業者等に周知するよう要請しました。近年の自然災害の激甚化を踏まえ、水害等対策と雪害対策の記述を充実させるとともに、2021年6月18日改正の液化石油ガス法施行規則・例示基準への対応が図られています。最新版は経済産業省「LPガスの安全のサイト」に掲載されています。
雪害関係事故
2022年1月から3月にかけ42件(速報値)発生。前年同期(24件)より大きく増加している。
雪害等事故対策
- ハード対策(販売事業者等(供給設備)):①設備の保護/②損傷しにくい設備の設置/③漏えい防止機能付き設備の設置
- ソフト対策(一般消費者):①雪下ろし/②速やかな排雪/③販売事業者等への連絡
全国消団連、料金透明化で関係省庁等に「抜本的対策」を要望
(一社)全国消費者団体連絡会は3月17日、「住宅付属設備等に係るLPガス料金の不透明に対して抜本的な対策を講じるよう求める要請書」を国土交通省、資源エネルギー庁、消費者庁、公正取引委員会に提出し、省庁間の連携により解決するよう要望しました。
設備負担の明細、中途解約での不利益回避など3点求める
要望書は、「取引適正化ガイドライン」の策定、賃貸集合住宅における入居前の料金情報提示、さらに今年2月22日の萩生田経産大臣会見(「解決すべき課題」と発言)を踏まえたうえで、次の3点を求めています。
- 建築事業者および家主がLPガス事業者に、LPガス以外の住宅設備の費用負担・無償貸与を求める商慣行を停止させる施策を検討いただきたい。
- LPガスの設備費負担料金の明細を明らかにするよう事業者に徹底いただきたい。
- 問題のある商慣行で締結されたLPガス契約の中途解約で消費者が不利益とならない環境を求めます。
太陽光発電買取価格、2022年度は2円下降し17円へ
経済産業省は3月25日、調達価格等算定委員会の意見を踏まえ、再エネのFIT・FIP制度における2022年度以降の買取価格・賦課金単価等を公表しました。2022年度の住宅用太陽光発電の買取価格は17円で、前年度比2円の下降。賦課金は3.45円となり、月額897円(前年度比24円増)となりました。
太陽光発電
①住宅用太陽光発電(10kW未満、2021年度19円):2022年度17円、2023年度16円
②-1事業用太陽光発電(10kW以上50kW未満、同12円):2022年度12円、2023年度10円
②-2 同(50kW以上・入札対象外、同11円):2022年度11円、2023年度9.5円
- 賦課金単価(同3.36円/kWh):2022年度3.45円 *電力使用量が月260kWhの需要家モデルで月額897円(前年度比+24円)、年額10,764円(+288円)
知事の液石法事務・権限、指定都市に移譲へ
液化石油ガス法の改正を含む「第12次地方分権一括法案」は3月4日に閣議決定されました。現在開会中の第208回通常国会に提出されます。液石法改正は、都道府県知事の事務・権限(販売事業の登録、保安機関の認定、貯蔵施設の設置許可等)を指定都市の長に移譲するもので、2023年4月1日施行が予定されています。
デメリット(改正前、LPガス事業者が液石法、高圧法両法の適用を受ける場合)
- 都道府県と指定都市は、それぞれが受け付けた申請等について情報共有を図る必要がある。また、事故対応の際に都度調整を要するなど事務負担となっている。
- 両法の適用を受ける事業者は、都道府県と指定都市双方で手続きが必要であり、利便性を欠く。
メリット(改正後)
- 指定都市が一体的に所管すれば、行政事務の効率化とLPガス保安の統一的な指導等が可能となる。
- 両法に係る窓口が一本化され、事業者の利便性向上が図られる。
【改正後の手続きと権限者】
*指定都市(「政令指定都市」ともいう):札幌市・仙台市・さいたま市・千葉市・横浜市・川崎市・相模原市・新潟市・静岡市・浜松市・名古屋市・京都市・大阪市・堺市・神戸市・岡山市・広島市・北九州市・福岡市・熊本市(計20市)
販売事業者数、昨年末で16,825者に、充てん設備も減少
経済産業省(ガス安全室)が明らかにした2021年12月末のLPガス販売事業者数は16,825者となり、前年末に比べ345者減少しました。所管別では本省48者、産業保安監督部187者、都道府県16,590者。これらのうち、認定販売事業者は第一号が298者(前年末比33者増)、第二号が61者(30者増)。
- 保安機関数 17,118者で、前年末比389者の減少。
- 充てん事業者数 929者・2,490設備となり、前年末に比べ1者増えたものの、12設備減少した
2022年4月
東京ガス、東京ガスエネ・東京ガスLPGターミナル株式を岩谷産業に譲渡へ
2022年6月までに実行予定、株式譲渡後も従来の営業サービス体制は維持
東京ガスは4月27日、同社の100%出資子会社である東京ガスLHDが保有する東京ガスエネルギーの株式全持分(発行済み株式の66.6%)と、東京ガスLPGターミナルの株式全持分(同49.0%)を岩谷産業に譲渡することで同社と合意し、株式売買契約を締結したと公表しました。株式譲渡は6月までに完了する予定です。
東京ガス、調達・卸・物販機能の連携強化でさまざまなシナジー効果期待できる
東京ガスエネルギーは、1960年(昭和35年)の設立以来、関東・首都圏地域の消費者に、分散型エネルギーであるLPガスのトータルソリューションを提供してきました。
近年は、スマートメーター化を推進するとともに、物流網の効率化も進め、持続可能な社会の実現に貢献しています。
東京ガスは株式譲渡について、「東京ガスエネルギーが、LPガス事業を全国展開する岩谷産業グループに入ることで、両社の保有するガス調達機能や卸機能、物販機能の連携強化により、LPガスの安定供給はもとより、営業の効率化や物流の合理化、業務効率化などさまざまなシナジー効果が期待できる」(発表資料)と説明。
東京ガスグループは今後とも、「国内外におけるガス体エネルギーの普及拡大の担い手として、最適な事業ポートフォリオの構成を目指しつつ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく」としています。
株式譲渡は2022年6月までに実行されますが、譲渡後も従来の営業サービス体制に変更はないとしています。
GHP出荷、2021年はコロナ禍、部品調達難で2年連続の大幅減少
(一社)日本冷凍空調工業会がまとめた2021年のGHP出荷実績によれば、出荷台数は25,746台となり、前年を▲16.9%下回りました。新型コロナ禍による営業機会の減少と部品調達の困難化によるとみられ、2020年の▲17.8%減に続き2年連続の大幅減少。
仕様別・容量別(GHPコンソーシアム調べ)
- 仕様別
LPガス仕様機は23.1%にあたる5,954台で前年比89.8%、都市ガス仕様機は76.9%にあたる16,112台で前年比81.2%。 - 容量別
LPガス仕様機は①3~5馬力98台(前年比77.8%)、②6~10馬力855台(94.1%)、③11~30馬力5,001台(89.4%)、都市ガス仕様機は①607台(69.7%)、②3,073台(90.4%)、③16.112台(80.1%)。
「液化石油ガス保安高度化2030」の初年度
2021年の消費者等事故、212件でやや増加
経済産業省(ガス安全室)は、2月末現在で集計した2021年「LPガス一般消費者等事故」の概要を公表しました。2021年度から死亡1件未満、人身25件未満の実現に向けた「液化石油ガス保安高度化2030」がスタートしていますが、2021年1月~12月の事故総数は212件となり、前年より4件増えました。1月に秋田県内で死亡事故(死者1名、雪害)が発生した一方、傷者は20名となり、過去最低数を更新しました。
概要 秋田で雪害による死亡事故、傷者は過去最低数更新
- 事故件数・死傷者数 212件起き、死者はB級事故(秋田県)による1名(前年1名)のみ。傷者は20名(29名)で、昨年実現した過去最低数を更新した。CO中毒事故は0件で、2019年以降0件が続いている。
- 原因者別 一般消費者等起因(46件<前年39件>で「不適切な使用」が14件(前年5件)へ、販売事業者起因(38件<46件>)で「容器交換時の接続ミス等」が11件(8件)へ、その他事業者起因(79件<70件>)で「他工事事業者」が62件(54件へ、また「雪害」が19件(0件)へと増えた。
- 発生場所・発生箇所別 発生場所は学校が2件(8件)に減少する一方で、共同住宅が68件(59件)へ増加。発生箇所別では供給設備が119件(110件)へ増え、消費設備では瞬間湯沸器が5件(1件)と目立った。
日団協、「LPガス読本のWEB版」を更新し公開
日本LPガス団体協議会はこのほど、「LPガス読本」の改定(第6版、2021年3月実施)を受け、「LPガス読本のWEB版」を更新し公開しました。各章、各項目をPDFファイルとして、ダウンロードできます。
構成
- 第1章:LPガスはクリーンエネルギー
- 第2章:LPガスとスマートハウス
- 第3章:様々な分野で利用されるLPガス
- 第4章:世界に広がるLPG車
- 第5章:災害にも強いLPガス
- 第6章:安全・安心LPガス
- 第7章:LPガスの安定供給
- 第8章:エネルギー政策とLPガスの未来
詳しくはこちらから
経産省、ガス管損傷防止を関係省庁に協力要請
経済産業省(ガス安全室)は3月4日、「建設工事等におけるガス管損傷事故の防止」を周知するよう関係7省庁・機関に協力を要請するとともに、(一社)全国LPガス協会にも会員への徹底を要請しました。
建設工事等事業者への要請事項と要請先
- 施工前に必ず、ガス管等についてLPガス販売事業者等に照会・確認する。ガス管を見つけた場合は必ずLPガス販売事業者等に連絡する。
- 必要に応じて建設工事等の際に立ち会う。
- (LPガスについては)供給管・配管の工事を行う際は、事故防止のため、外注先の特定液化石油ガス設備工事に係る届出、液化石油ガス設備士資格の有無及び再講習の受講状況を確認することにより適切に監督する。
- 要請先 厚生労働省:建設安全対策室・水道課、国土交通省:建設市場整備課・建設業課・下水道事業課、警察庁交通規制課、(一社)全国登録教習機関協会
原油価格高騰緊急対策、タクシー事業者も支援
国土交通省は3月4日、「原油価格高騰に関する関係閣僚会合」でまとまった「原油価格高騰に対する緊急対策」を公表しました。それによれば、LPガスの価格高騰による負担軽減のため、タクシー事業者に対する燃料価格高騰激変緩和対策事業が盛り込まれました。
燃料油価格の激変緩和事業(資源エネルギー庁、令和3年度補正予算)に準じて支援を拡充します(令和3年度予備費で約9億円を措置)。
LPガス高騰の負担を軽減
この緊急対策は、①エネ庁の燃料油価格の激変緩和事業の拡充(石油元売り事業者に対する支給上限を5円から25円に拡充)、②国土交通省関係の業種別対策、③その他国土交通省関連の対策、(クリーンエネ自動車の普及促進、コロナ感染症対応地方創生臨時交付金)を骨子とし、業種別対策としてはタクシー事業者への燃料価格高騰激変緩和対策事業、適正な運賃収受のための荷主等への周知・是正措置の実施、離島航空路に係る燃油価格高騰の影響緩和対策を進めます。
近年の環境変化受け、高圧ガス保安法など改正へ
IoT等のテクノロジーの革新的進展、保安人材の不足、電力の供給構造の変化、災害の激甚化・頻発化、気候変動問題といった環境変化に合わせて産業保安規制体系を見直す「高圧ガス保安法等の一部を改正する法律案」が3月4日に閣議決定されました。開会中の第208回通常国会に提出されます。
改正案の概要(【高圧】は高圧ガス保安法、【ガス】はガス事業法、【電力】は電気事業法関係)
スマート保安の促進
- 「テクノロジーを活用しつつ、自立的に高度な保安を確保できる事業者」について、安全確保を前提に、その保安確保能力に応じて保安規制に係る手続・検査のあり方を見直す。【高圧】【ガス】【電力】。
新たな保安上のリスク分野への対応/災害対策・レジリエンスの強化
- 小規模な太陽光・風力発電設備を「小規模事業用電気工作物」と位置付け、技術基準への適合維持義務や基礎情報の届出・使用前の自己確認等の対象とする。【電力】
- 一般ガス導管事業者に対し、災害時の事業者間の連携に関する計画の作成を義務付ける。【ガス】
カーボンニュートラル実現に向けた保安規制の整備
- 高圧ガス保安法と道路運送車両法の両法が適用される燃料電池自動車等について、安全確保を前提に、高圧ガス保安法の適用を除外し、道路運送車両法に規制を一元化する。【高圧】
- 国による風力発電設備の技術基準への適合性の確認に代え、技術的知見を有する民間の専門機関(「登録適合性確認機関」)が技術基準の適合性を確認する制度を設ける。【電力】
「こどもみらい住宅支援事業」がスタート
子育て/若者世帯の省エネ住宅取得を支援
「省エネ性能を有する住宅」を新築、または購入した子育て世帯や若者夫婦世帯に、省エネ性能に応じて60万円から100万円、また現在の住宅を省エネ改修(リフォーム)した世帯には、工事内容などに応じて5万円から最大60万円を補助する「こどもみらい住宅支援事業」(国土交通省)が始まりました。申請手続きは工事施工者や販売事業者が代行し、一般消費者には事業者から補助金を還元する仕組みになっていますので、一般消費者に利用を呼びかけるとともに、申請に対応できるよう、まずは参加の登録(事業者登録)をお勧めします。
活用には、まず事業者自身が「参加登録」を
対象となる「子育て世代」「若者夫婦世帯」とは
この事業は、人口が減少するなかでの子育てを支援するとともに、「2050年カーボンニュートラル」(2020年10月宣言)に向けた取り組みの一つとして、令和3年度補正予算(542億円)で設けられました。
ここで言う「子育て世帯」とは、申請時点で2003年4月2日以降生まれの子を持つ世帯、「若者夫婦世帯」とは、申請時点で夫婦であり、いずれかが1981年4月2日以降生まれである世帯を言います。
次代を担う子育て世代や若者夫婦世帯が、省エネ性能を有する住宅を取得(新築・購入)しやすいよう、補助金を交付して負担を軽減するとともに、省エネ性能を有する住宅ストックを増やしていくことに大きな狙いがおかれています。
対象は「ZEH住宅」など、リフォームは8工事等
「省エネ性能を有する住宅」として対象になる注文住宅と分譲住宅は、「2050年カーボンニュートラル」に貢献する住宅です。「ZEH住宅」(「ゼロエネ相当
は除外)、「高い省エネ性能等を有する住宅」(認定長期優良住宅/認定低炭素住宅/性能向上計画認定住宅)、それに「一定の省エネ性能を有する住宅」(断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級4の性能を有する住宅)―の3住宅です。
一方、「リフォーム」は8工事等が対象となりますが、①開口部の断熱、②外壁と屋根・天井または床の断熱改修、③エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム・節水型トイレ・高断熱浴槽・高効率給湯機・節湯水栓)のいずれかは必須となります。
補助金給付…登録を終えた「こどもみらい住宅事業者」が申請
補助金交付の対象者は、①注文住宅の新築は建設主、②新築分譲住宅は購入者、③リフォームは工事発注者です。交付申請はいずれも、この事業に登録した「こどもみらい住宅事業者」が代行します。
「こどもみらい住宅事業者」となれるのは、注文住宅なら工事請負契約を交わした建築事業者、新築分譲住宅購入なら不動産売買契約を交わした販売事業者(宅地建物取引業者、販売代理を含む)、リフォームなら工事請負契約を交わした施工業者です。
このため、省エネ性能を有する住宅を新築する、販売する事業者、あるいはリフォームを手がける事業者は、この制度の利用を一般消費者に広く呼びかける一方で、自らが交付申請を代行できるよう「こどもみらい住宅事業者」に登録する必要があります。
*登録はこちらから↓
「こどもみらい住宅事業者登録用・統括アカウント発行依頼」
https://kodomo-mirai.mlit.go.jp/entry/
対象期間…今年10月末まで(執行状況による)
完了報告…戸建は来年5月末、共同住宅は2024年
適用対象となる「契約期間」は、2021年11月26日から遅くとも2022年10月31日まで(予算の執行状況による)です。「工事着工」は事業者登録を終えて以降となりますが、「交付申請」は3月下旬から10月31日まで(予約は遅くとも9月30日まで<予算の執行状況による>)となります。
また、「完了報告」は交付決定から戸建住宅なら2023年5月31日、共同住宅等(階数が10以下)なら2024年2月15日、同(階数が11以上)なら2024年12月31日までが期限となります。
省エネ住宅:60~100万円、省エネ改修:5~60万円補助
補助金の交付額は、各住宅の現状価格を踏まえて、「ZEH住宅」が100万円、「高い省エネ性能等を有する住宅」が80万円、「一定の省エネ性能を有する住宅」は60万円に設定されています。 リフォームの場合は、工事内容などにより1戸あたり5万円から30万円まで(全体の補助額が合計5万円以上になる場合が対象)。ただし、子育て世帯や若者夫婦世帯が自らの居住住宅に行う場合や、工事発注者が自ら居住するために購入した既存住宅に行う場合は、1戸あたりの上限額が最大60万円までと、よりメリットが得られるようになっています。
詳しくは、こちらからアクセスを
- 全体概要→こどもみらい住宅支援事業【公式】 (mlit.go.jp)
- 事業概要→事業概要 | こどもみらい住宅支援事業【公式】 (mlit.go.jp)
- ①注文住宅の新築→注文住宅の新築 | こどもみらい住宅支援事業【公式】 (mlit.go.jp)
- ②新築分譲住宅の購入→新築分譲住宅の購入 | こどもみらい住宅支援事業【公式】 (mlit.go.jp)
- ③リフォーム→リフォーム | こどもみらい住宅支援事業【公式】 (mlit.go.jp)
- 一般消費者(事業紹介リーフレット)→一般消費者の方へ | こどもみらい住宅支援事業【公式】 (mlit.go.jp)
※画像をクリックすると、pdfが開きます。
液石小委、「安全高度化計画2030」初年度を検証
「その他」起因事故数(死亡、傷者)など6項目未達
経済産業省・産業構造審議会液化石油ガス小委員会の第16回会合が3月14日に開かれ、関係当事者による協働を掲げて2021年度からスタートした「液化石油ガス安全高度化計画2030」への取り組みが、経産省(ガス安全室)、(一社)全国LPガス協会、高圧ガス保安協会(KHK)、(一社)日本LPガス供給機器工業会(JLIA)、ガス警報器工業会から報告されました。次いで、事故発生状況、立入検査の実施状況と2022年度の重点ポイントが報告・提示されるとともに、液石法、高圧ガス保安法の改正案概要が示されました。
「安全高度化計画2030」全L協は2022年度も3活動に注力
安全高度化目標(18項目)に対し、2121年は「その他」起因事故数(死者、傷者)など6項目が未達成となった。全L協は引き続き2022年度も、大事故になりやすい業務用消費先への①換気警報器の普及、②ガス警報器連動遮断の推進、そして③軒先容器の二重掛け―の3活動に重点的に取り組むと表明した。
液石法・高圧法改正案 液石法改正は地方都市への権限移譲
液石法改正案は、都道府県知事の事務・権限(販売事業の登録、保安機関の認定、貯蔵施設の設置許可等)を指定都市の長に移譲するもの。また、高圧法改正案はスマート保安に向けた「認定高度保安実施事業者制度」の創設など。いずれも3月4日に閣議決定を終えており、今国会に上程される。液石法改正は2023年4月1日施行の予定。
事故発生状況と「安全高度化計画2030」への取り組み
2021年の事故発生状況
- 発生件数は212件で、前年比14件の増加。増加は雪害事故が19件発生(2020年は0件)したことによる。
- 死亡者は1人(雪害事故)。負傷者は20人で、液石法公布の1967年以降最少となった。CO中毒事故は0件。
- 原因者別では「他工事事業者」が62件(29.3%)発生し、過去(2019年28.6%、2020年27.1%)と比較すると最も高い割合となった。
経産省
CO中毒事故連絡会議、関係省庁等への要請/住宅塗装工事等での注意喚起/業務用オーブンレンジ等事故調査・分析(立ち消え安全装置の重要性を確認し普及促進)/飲食関係団体に効果的な周知方法をヒアリング/業務用換気警報器の重要性を周知/保安業務の適切な実施を注意喚起/建設工事等でのガス管損傷事故防止で協力要請
経産省
全L協 安心サポート推進運動を実施/消費者起因事故対策(業務用換気警報器設置促進、業務用施設ガス警報器連動遮断の推進)/販売事業者起因事故対策(機器の期限管理)/自然災害対策(軒先容器の二重掛け等)/雪害事故防止対策/保安基盤の強化(LPWA設置など)
KHK
福島県・秋田県で発生した爆発火災事故への対応と周知/安全委員会による消費者・販売事業者等への周知・啓発など
JLIA
ガス栓誤開放の周知(交換促進)/ガス栓カバーの出荷統計作成(普及促進)/ガス放出防止型高圧ホースへの全面切り替え/有効な雪害対策の周知/ガス放出防止型単段調整器の普及促進(出荷統計作成)
警報器工業会
業務用施設事故(郡山市)を受け、警報器とメーターとの連動促進を強化/地方協会・七液協等講習会等へ講師派遣等(ガス警報器の有効性周知)
経産省、住宅塗装工事でのCO中毒事故防止を国交省に協力要請
経済産業省(ガス安全室)は3月4日、国土交通省(建設市場整備課)に、「住宅塗装工事等でのガス機器の給気・排気部の閉塞による一酸化炭素中毒事故の防止」を周知するよう協力を依頼しました。
また、同日付けで(一社)全国LPガス協会などにも会員に徹底するよう要請しました。
「無償配管・貸付配管は消費者トラブルの原因」
萩生田大臣、会見で「解決すべき課題」と回答
昨年暮れから一般紙(朝日新聞)が、賃貸集合住宅などにおける商慣習(貸付配管・無償配管)を取り上げ、LPガス販売事業者が入居者など消費者に割高なガス料金や解約費用を求める事例があることをたびたび報道していますが、萩生田光一経済産業大臣は、2月22日の閣議後の記者会見で、記者(同)の質問に「解約時に配管代を請求されたり、毎月の料金が高額になったりするなど、消費者トラブルの原因になっている。解決すべき課題であると認識している」と答え、新たな対応を求められていることを明らかにしました。
経産省、消費者庁・国土交通省と連携し“新たな対応”へ
萩生田大臣は、これまでに①料金に設備費用が含まれる場合は、その費用を明確にする(2017年)、②国土交通省と連携し、消費者が賃貸集合住宅に入居する前に料金情報を提供する(2021年)など、業界と協力しながら解決に向けた取り組みを進めた、と説明。「私の地元(東京都八王子市)でも類似の相談を受けたことがある」とも述べました。
そのうえで、「(新築ならともかく)何年も使っているのに、償却しないまま次の方にも負担が乗っかるのはおかしな請求だと思う」とし、「さらなる料金の透明化や取引の適正化に向けて、業界団体や事業者から意見を聞き、消費者庁や国土交通省など関係省庁とも連携しながら、何が一番良いかしっかり考えていきたい」と答えました。
立ち入り、2022年度は「保安業務」「帳簿」を詳細検査
経済産業省(ガス安全室)は、液石小委の第16回会合で、2022年度「立入検査の重点事項」として11項目を提示しました。2021年度における指導内容と事故の特徴を踏まえて設定。うち「②保安業務の実施状況」と「⑩帳簿への記載状況」は、近年の立入検査で不適切な事例(点検・調査、緊急時連絡・対応等)や不十分な記載が見られたことから、詳細に確認する方針です。
2022年度の重点事項
①保安業務に係る委託業務の内容、②保安業務の実施状況、③緊急時対応の体制、④他工事対策等の周知状況、⑤書面の交付状況、⑥貯蔵施設等に係る基準適合義務等の遵守状況、⑦供給設備に係る基準適合義務の遵守状況、⑧燃焼器等の消費設備調査の実施状況、⑨業務主任者の職務の実施状況、⑩販売事業者等が備える帳簿への記載状況、⑪質量販売における基準の適合状況
認定事業者は62者増え358者に
経産省(ガス安全室)が液石小委の第16回会合で提示した「認定LPガス販売事業者リスト」によれば、2021年12月末現在で、ゴールド保安認定事業者(第一号)は298者、保安認定事業者(第二号)は60者となり、合計358者に増えた。1年前(2020年12月)に比べ、第一号は33者、第二号は29者、合計62者の増加。
2022年3月
「無償配管・貸付配管は消費者トラブルの原因」
萩生田大臣、会見で「解決すべき課題」と回答
昨年暮れから一般紙(朝日新聞)が、賃貸集合住宅などにおける商慣習(貸付配管・無償配管)を取り上げ、LPガス販売事業者が入居者など消費者に割高なガス料金や解約費用を求める事例があることをたびたび報道していますが、萩生田光一経済産業大臣は、2月22日の閣議後の記者会見で、記者(同)の質問に「解約時に配管代を請求されたり、毎月の料金が高額になったりするなど、消費者トラブルの原因になっている。解決すべき課題であると認識している」と答え、新たな対応を求められていることを明らかにしました。
経産省、消費者庁・国土交通省と連携し“新たな対応”へ
萩生田大臣は、これまでに①料金に設備費用が含まれる場合は、その費用を明確にする(2017年)、②国土交通省と連携し、消費者が賃貸集合住宅に入居する前に料金情報を提供する(2021年)など、業界と協力しながら解決に向けた取り組みを進めた、と説明。「私の地元(東京都八王子市)でも類似の相談を受けたことがある」とも述べました。
そのうえで、「(新築ならともかく)何年も使っているのに、償却しないまま次の方にも負担が乗っかるのはおかしな請求だと思う」とし、「さらなる料金の透明化や取引の適正化に向けて、業界団体や事業者から意見を聞き、消費者庁や国土交通省など関係省庁とも連携しながら、何が一番良いかしっかり考えていきたい」と答えました。
萩生田大臣2022年2月22日・閣議後会見の動画(YouTube)
開始から12分40秒ごろから
この質問と回答
2021年の容器生産数は前年比3.2%増、バルク貯槽生産数は9.3%増
(一社)日本溶接容器工業会がまとめた「溶接容器・バルク貯槽の生産状況によれば、2021年のLPガス溶接容器生産数は1,879,021本となり、前年より3.2%増えました。一方、バルク貯槽の生産数(海外生産分を含む)は15,391基となって、9.3%増えました。
バルク貯槽生産数、再び増加に転じる
LPガス溶接容器のうち、アルミ製容器は1.9%にあたる36,302本でした。また、自動車用容器は9,184本で3.0%増えました。
バルク貯槽の生産数は2017年~2019年と3年連続で増えましたが、2020年は97.4%へと低下。2021年は再び増加に転じました。
- 溶接容器の内訳(カッコ内は前年比) 10kg以下:60,105本(111.2%)、20kg以下:730,270本(108.7%)、50kg以下:1,088,534(99.5%)、500kg以下:112本(61.5%)
- バルク貯槽の内訳(同) 150kg以下:606基(96.0%)、200kg以下:215基(286.7%)、300kg以下:4,355基(110.8%)、500kg以下:4,588基(107.8%)、1,000kg以下:5,627基(108.4%)
CO2等を用いた燃料製造技術、グリーンLPガスは2030年度生成率50%とし商用化増
経済産業省は1月20日、グリーンイノベーション基金を用いて、向こう10年間支援する「CO2等を用いた燃料製造技術開発」プロジェクトの内容をまとめた「研究開発・社会実装計画」を策定しました。①合成燃料、②持続可能な航空燃料(SAF)、③合成メタン、④グリーンLPガスについて技術開発・実証を実施。グリーンLPガスは、水素と一酸化炭素からメタノール、ジメチルエーテル経由で合成される、化石燃料によらないLPガス(グリーンLPガス)の合成技術を確立し、2030年度までに生成率を50%とし商用化を目指すとしています。
経済産業省、コロナ禍での業界・各社BCP策定状況を公表
経済産業省は1月28日、コロナ禍における事業継続に向けたBCPの策定状況をまとめました。1月21日開催の「コロナ禍における事業継続に向けた萩生田大臣と経済団体とのテレビ会議」、同24日の各経済団体宛て要請「コロナ禍における事業継続に向けた取り組みの強化について(要請)」を踏まえ、各事業者などから27日までに回答があった「BCP策定状況」をまとめたもの。電気、都市ガス・熱供給、水道業、製造業を中心に127者が回答しており、LPガス関係は日本LPガス協会、リンナイ、ノーリツなど。
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PDF「コロナ禍における事業継続に向けたBCPの策定状況(1月27日時点、127者)」
トランジション・ファイナンスに関するロードマップ、「グリーンLPガス」も策定
経済産業省は2月4日、脱炭素化に向けたトランジション・ファイナンスに関する電力、ガス、石油分野のロードマップをまとめました。LPガスについては、石油からの燃料転換、配送合理化によるCO2削減、グリーンLPガスの2030年商用化・2050年全量グリーンLPガス化を提示。社会実装に向けては①一般のLPガスと混合して供給する、②グリーンLPガスを一般のLPガスと差別化して販売する、2つの方向性を示したうえで、「グリーンLPガスの生産技術が確立し事業リスクが低下すれば、LPガス関連会社や産業用ガス製造会社等が生産に参入し、製造・販売に取り組む可能性もある。これにより、製造原価が高くとも、流通中間コストがなくなるため、一般のLPガスと価格競争できる可能性がある」としています。
「流通中間コストがなくなれば、一般のLPガスと価格競争できる」
「2050年カーボンニュートラルの実現」には、すでに脱炭素の水準にある再生エネなどに加えて、CO2多排出産業が着実に脱炭素化に移行していく取り組みに資金供給を促進していくこと(トランジション・ファイナンス)が重要であるとして、環境省、金融庁と共同して2021年5月に「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」を策定。これを受けて、CO2多排出産業の具体的な方向性を示すため、「ロードマップ策定検討会」で検討を進めており、電力、ガス、石油分野のロードマップは先般の鉄鋼、化学に続くもの。今後、紙・パルプ、セメントも策定します。
新「省エネガイドライン」、4月から施行
「増エネを促しかねない表現」は回避を
経済産業省・エネルギー小売事業者の省エネガイドライン検討会は、2月4日に開催した2021年度第3回会合で、3月に改訂し4月から施行する「エネルギー小売事業者の省エネガイドライン」案について検討しました。エネルギー供給事業者のお客様への省エネ情報の提供状況を評価する「省エネコミュニケーション・ランキング制度」を本格的に運用するとともに、エネルギー小売事業者による省エネ製品・サービスの提供に関連する内容を追加することが大きなポイント。
「エネ消費の合理化」「他家庭との比較」情報を追加
この省エネガイドラインは、全ての電気・都市ガス・LPガス小売事業者に努力義務を求めており、小売契約件数が30万件超の事業者については取り組みを「公表」(努力義務)するよう求めています。
省エネ製品・サービスの提供での追加事項は、可能な範囲で「一般消費者が行うエネルギーの使用の合理化に資する情報を提供すること」(毎月のエネルギー使用量の前年同月値の情報の提供など5項目)と、「他の家庭とのエネルギー使用量の比較等に関する情報を提供すること。
省エネ製品・サービスを検討・提供する際には、①料金メニューの充実、②増エネを促しかねない表現の回避、③一般消費者に省エネ行動を促す省エネ製品・サービスの充実、④情報セキュリティと個人情報への配慮を求めており、「増エネを促しかねない表現」としては「使いたい放題プラン」「使えば使うほど節約を実感」などを挙げ、代替表現を例示しています。
浸水想定区域での容器流出防止措置、Q&Aと周知チラシを作成
水害などの多発化・激甚化にともなうLPガス容器流出事故を防止するため、液石法規則が改正され(施行:2021年12月1日)、洪水浸水想定区域(想定最大規模)にあり、1m以上の浸水が想定されている地域の消費先には、鎖の二重掛けなどの流出防止措置を講じるように新たに規定されました。これを受け、(一社)全国LPガス協会は「容器流出防止措置に対するQ&A」(作成:2021年11月22日、改訂:同12月2日)を、また経済産業省とともに「お客様向け周知チラシ」を作成し、利活用を呼びかけています。既存物件も、2024年6月1日までに対応措置を終える必要があります。
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PDF「容器流出防止措置Q&A」
PDF「容器流出防止措置消費者向け周知チラシ」
経産省、「保安業務の適正な実施」等を要請
経済産業省(ガス安全室)は1月25日、最近、容器交換時や定期点検・調査に関連する法令違反や事故が多いとして、全国業界に「保安業務の適正な実施等」について注意喚起と周知を行うよう(一社)全国LPガス協会に依頼しました。また、保安業務が著しく困難な山小屋等での特則承認基準の周知も求めています。
保安業務の適切な実施
最近、以下のような保安業務に関連した法令違反や事故が発生している。販売事業者・保安機関に法令順守の徹底と事故防止に向けた注意喚起を願います。
- 容器交換時等供給設備点検:容器交換時の高圧ホースの締め込み不足のため、高圧ホース接続部からガスが漏えいした。
- 定期供給設備点検・定期消費設備調査:実施記録を偽造されているものがあり、適切に点検・調査が行われていなかった/コンロの燃焼テストを行うために点火したところ、漏えいしガスに引火し、小爆発が起きた(漏えい検査実施の際、検査孔からゴムホースが外れ、ガスが漏えい)/ガス管の経年劣化の確認が不十分であり、腐食を見落とし漏えい事故が発生した。
- 緊急時対応:緊急時連絡を受けたものの、不在であったため緊急時対応が遅れた。
保安業務が著しく困難な山岳地域にある山小屋等についての周知
平成19年7月静岡県の富士山頂の山小屋で漏えい爆発事故(軽傷2名)、同年9月富山県鹿島槍ヶ岳の山小屋でのCO中毒事故(死者1名)を踏まえ、実態調査を行ったところ、通常の方法による販売及び保安業務が困難であることが判明。これを受け24年6月、液石法第17条の規定に基づき、通常の方法による販売及び保安業務が困難な場合の特則承認の基準、申請手続き等を定めた「山小屋等に係る液石法施行規則第17条の規定に基づく特則承認に関する審査等について(内規)」を制定した。当該制度を改めて周知願います。
2022年2月
LPガス関係予算案は総額316.6億円に、災害対応増額
2022年度予算案が2021年12月24日に閣議決定され、LPガス関係予算額(経済産業省石油流通課・産業保安グループ)は2021年度補正予算案と合わせ総額316.6億円となりました。概要は次の通り(億円、カッコ内は2020年度補正予算+2021年度予算)。
石油流通課関連:311.0(339.3)
- 災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金:36.4(33.6)
- 取引適正化・流通合理化の推進:7.1(7.8)
→取引適正化の推進:0.7(0.8)、災害対応能力の強化:1.3(1.5)、販売事業者の構造改善の推進:5.1(5.6) - 備蓄体制の強化:267.5(297.9)
→管理委託費:97.0(103.0)、国債整理基金特別会計への繰入:146.4(169.0)、その他:24.0(25.9)
石油流通課関連:311.0(339.3)
- 石油精製業等に係る保安対策に関する調査検討
- 石油ガス等供給事業に係る保安対策に関する調査検討
I・T・O、自動切替調整器の不具合で取り替え
I・T・Oは、同社が製造・販売した自動切替式調整器の一部の製品に、異物混入により不具合が発生し、少量のガス漏れが発生する場合のあることが判明したとして、代替品と取り替えるよう呼びかけています(1月初旬)。
問い合わせ窓口
対策本部(電話0120-83-3781<フリーダイヤル>、072-981-3781<代表>)
対象製品
小型自動切替式調整器
- 型式:AXS-8Bシリーズ及びTAXS-8Bシリーズ
- 対象製品の範囲:2008年5月製造(ロット№0805101)~2014年9月製造(ロット№1409113)
20kg/h自動切替式調整器(漏えい検知付調整器含む)
- 型式:AX-20B、TAX-20Bシリーズ及びAX-20BHL、TAX-20BHLシリーズ
- 対象製品の範囲:〈IT0生産品>2011年3月製造(ロット№ll0301)~2015年6月製造(ロット№l50602)、<矢崎ES OEM製品>2011年4月製造(ロット№110451)~2015年6月製造(ロット№150653)
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全L協、CN検討会「中間報告」受け対応促す
(一社)全国LPガス協会は1月7日、2021年3月に特設した「LPガスのCN(カーボンニュートラル)対応検討会」が、計6回の検討を経てまとめた「中間報告」(2021年12月24日)を正会員に発出し、この中間報告を受けて2030年削減目標に向けた経営展望を検討するとともに、今からでも実行可能なCN対応を行うよう求めました。
中間報告の概要(「まとめ」より) 総合エネ企業目指せ
- LPガスは第6次エネルギー基本計画でも、「最後の砦」として平時・緊急時に貢献する重要なエネルギー源であると明確に記述され、そのレジリエンス力が評価された。我が国では、電源の脱炭素化が未達成であり電化が脱炭素化に直結しないことと、LPガスが化石燃料としては相対的にクリーンであることから、環境特性以外の優位性(レジリエンス)もアピールしつつ、業界のCN対応を着実に実施していく必要がある。
- グリーンLPガスの開発には時間がかかるし、製造原価が高くなることが予想され、競合エネルギーの脱炭素化、電源の脱炭素化、エネルギー全体の電化動向次第ではグリーンLPガスの商用化・本格普及前にLPガス市場が消滅するリスクもある。さらに、LPガス市場が残るにせよ、炭素税が課されると価格競争力を失う可能性や、将来的に販売規制が行われる可能性もゼロではない。
- こうしたことを踏まえると、元売によるグリーンLPガスの開発を注視しつつも、2030年までのトランジション期間中に、CO2排出権付与のLPガス輸入や、J-クレジット制度を活用したカーボンオフセットLPガスで対応していく必要性もがある。トランジション期間中は、エコジョーズやエネファーム、燃転での省エネ機器拡販で需要を守り、太陽光・蓄電池普及、ハイブリッド給湯器の普及、リフォーム事業、電力販売事業、都市ガス事業へ進出し、総合エネルギー企業としてオール電化への流れを防ぐことが必要である。
- こうしたことから、LPガスではそれぞれの立場でできる限りのCN対応を行い、どうPRできるかが重要な要因となる。以下を本検討会としての「まとめ」としたい。
◆販売事業者ができ得るCNの取り組みや、すでに取り組んでいる事例等の情報発信を積極的に行うとともに、課題の抽出、解決策の検討、さらには必要に応じ自らプロジェクトを立ち上げる、関係業界との連携などを通じて、業界全体のCNへの取り組み促進に貢献する。
◆CNへの取り組みによるCO2排出量の削減量を定量的に示すための活動を、関係団体と連携していく。
◆CNに関する国、エネルギー業界の取り組みは急激な変化も予想され、業界に極めて厳しい状況となる可能性もあるため、CN対応に関する検討は継続的に見直しつつ進め、機動的に迅速な対応を行っていく必要がある。
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2022年1月
2021年度上期需要、コロナ前への回復遅れる
日本LPガス協会が公表した「LPガス資料月報」によれば、2021年度上期の販売量は、5,662千トン、うち家庭業務用は2,937千トン、自動車用は180千トンとなりました。これは新型コロナ前の2019年度上期に比べ、全体で▲10.7%減、家庭業務用は▲4.0%減、自動車用は▲38.7%減で、自動車用を中心に回復が遅れています。
2021年度補正で災害バルク補助金25.7億円
昨年11月26日開催の臨時閣議で、LPガス関係として「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金:32.4億円」が計上された令和3年度補正予算案が決まりました。補助金内訳はLPガス分が25.7億円、その他分が6.7億円です。
対象施設
公的避難所一時避難所となる公共施設、医療福祉施設 *民間の一時避難所は対象外
対象設備
災害対応バルク・シリンダー、自家発電設備など
- 補助率:中小企業2/3、大企業・地方公共団体1/2
- 補助金上限:1件あたり5,000万円(供給設備だけの場合1,000万円)
経産省・国交省、ガス・石油・電気給湯器の安定供給を要請
経済産業省(住宅産業課・生活製品課)と国土交通省(住宅生産課)は2021年12月10日、(一社)日本ガス石油機器工業会と(一社)日本冷凍空調工業会に、「家庭用給湯器の供給遅延への対応」について発出し、家庭用給湯器(ガス・石油・電気給湯器)の安定供給に努め、利用者への影響を最小限にするよう要請しました。要請内容は、故障時の修理対応、仮付け給湯器の設置など5点。
利用者への影響を最小限に
家庭用給湯器は、コロナ禍による部素材の調達難により、需要に対し供給が遅延しています。
このため、「暖房器具と同様に国民の生活に不可欠な機器」であり、冬季は需要が高まるとともに、年度末に向け新築住宅の竣工数が大幅に増加することから、供給に支障をきたさないよう要請。経産省としても、部素材調達におけるボトルネックの把握とその解消に向けた取り組みや代替調達先の紹介など、必要な対応を図っていくとしています。
要請内容 修理対応・仮付け、既存取引外からの部素材調達など
- 利用者への影響を最小限とするよう、故障時の修理対応に万全を期すとともに、仮付けの給湯器の設置など適切な対応を行うこと。
- 給湯器の供給遅延の早期解消に向けて、取引関係のある部素材供給事業者に加えて、これまで取引関係のない事業者からの調達も検討すること。
- 海外向け給湯器の国内への振り替えを検討すること。
- 今般の新型コロナ感染症でサプライチェーンの正常な稼働に支障をきたしたことを踏まえ、多面的なリスク対応を通じてサプライチェーンの多元化・強靱化を進めること。
- 経産省における給湯器の需給情報等の情報収集に協力すること。
秋元全L協会長、「2022年はCN対応実践の年」
“最後の砦”たる地位をさらに着実にしよう
(一社)全国LPガス協会の秋元耕一郎会長は、令和4年「年頭所感」で、「2050年カーボンニュートラル(CN)の中にあってもLPガスが一定の存在感を保つことは確実である」と呼びかけ、年末にまとめたCNへの業界対応(中間とりまとめ)を本年から具体的な行動に移していく方針を打ち出しました。また、学校等におけるGHP採用などを拡げることで、「LPガスは国民の生活を守る“最後の砦”である」との地位をさらに着実なものしていきたい考えです。
さらに、保安面では新たな自主保安運動を国の高度化計画の目標・アクションプラン等と一体的に展開していく、需要拡大ではCO2を削減する高効率機器の販売を強化する、取引適正化では料金の算定方法、算定の基礎の説明を徹底していくことを表明しています。
基本認識
- CNのトレンド下にあっても、LPガスが一定の存在感を保つことは確実である。改めて保安を確保し、安定的に供給する重要性を認識し、業界が一致団結して創意工夫と努力を続けることが重要である。
- 近年頻発する自然災害を受け、国土強靭化基本計画におけるLPガスの位置づけを、国会議員や関係省庁等関係方面へのロビー活動、会員の努力による自治体へのGHP採用により、「LPガスは国民の生活を守る最後の砦である」との地位をさらに高め、着実なものにしていかなければならない。
主な課題と取り組み
- CN対応 年末に明らかにした「中間とりまとめ」を本年から具体的な行動に移していく。
- 保安確保 保安対策指針が「安全高度化計画2030」に改められ、国・事業者・お客様等が主体となって安全目標を達成していくことになった。これを受け、新たな自主保安運動を国の高度化計画の目標・アクションプラン等と一体的に展開していく。
- 需要拡大 業界一丸となり展開している「需要開発推進運動」で、CN対応の一環としてエネファーム、GHP、エコジョーズ、ハイブリッド給湯器などCO2削減に資する高効率機器の販売強化を進める。また、公立小中校の特別教室や避難所となる体育館等にGHP空調を普及させるとともに、公的避難所・医療施設・福祉施設等の防災拠点などへのLPガスの常設・常用を推進する。
- 取引適正化 お客様にLPガスを積極的に選んでいただけるよう、「LPガス販売指針」による取引の適正化と、料金の算定方法と算定基礎の説明などを徹底していく。
- LPガス車 エネルギーセキュリティ面からも、保有車両の一定割合の導入促進、LPガスタクシー車両の減少防止を関係方面に働きかける。また、スタンドインフラ網を維持するための振興策、ネットワーク維持に必要な各種方策を引き続き実施していく。