境野春彦の「LPG事業者支援PJ」
境野春彦:LPG事業者支援コンサルタント
▼連載07:本日発刊の週刊東洋経済特集「LPガス業界の闇」 ▼連載06:第11回液化石油ガス流通WG「その弐」 ▼連載05:第11回液化石油ガス流通WG「その壱」 ▼連載04:設備料金、戸建てと集合 ▼連載03:北関東における集合住宅の大規模切替情報について【続報】 ▼連載02:緊急-集合住宅の大規模切替情報(北関東) ▼連載01:日置さんからの依頼
連載07(2025.3.31)
LPガスコーナー
️本日発刊の週刊東洋経済特集「LPガス業界の闇」
小見出し
- 正直者がバカを見る業界
- 無償貸与禁止の効果
- 紹介料、戸建てが焦点に
本誌特別調査「明るみに出た大手の商慣行 省令改正後も「利益供与」続く」
- 高額な紹介料の継続も
- 料金の構造はまだ不透明
※「LPガス販売の実態を解明するため、本誌は業界の上場および非上場の有力企業17社を対象に、「LPガス商慣行是正に関するアンケート調査」を2025年2月に実施した」とのことで、東洋経済オンラインには、アンケート内容の設問内容が掲載されています。

個人的に本アンケートで非常に気になった部分として、各社の実名が記載されているところ。
アンケートに回答しなかった企業の名前まで明記されており、これは各社の許可を取ったのでしょうか?
インタビュー:消費者利益に照らし、是非の判断を
経済産業省 燃料流通政策室長 日置純子
インタビュー:業界大手、ニチガス幹部に聞く「紹介料支払いは例外、法令順守徹底」
日本瓦斯 代表取締役専務執行役員 吉田恵一
日本瓦斯 代表取締役専務執行役員 土屋友紀
※記者が結構、突っ込んだ質問をしています。
東洋経済のアンケート調査に、ニチガスは謝礼や紹介料について「原則として支払わない方針」と回答しています。
他方、取材を通じて入手したニチガスの賃貸集合住宅のオーナー向け提案書では「一戸当たり55,000円をお振込みいたします」との記述があります。
原則と例外が逆になっているのでは。
土屋:55,000円(という情報)が独り歩きしているが、すべてのケースで55,000円を払っているわけではない。基本的には紹介料なしでやっている。
戸建て住宅を舞台に競争が激化しています。ニチガスの場合、従量料金が1立方㍍当たり200円台という破格の安値で顧客を勧誘している事例が見受けられます。はたして200円台で採算は取れているのでしょうか。
土屋:しっかりと利益の出る範囲で料金の提示をしている。赤字での販売や、将来の値上げを前提に売り込もうという考えはまったくない。
吉田:当社の場合、十数年にわたってITを駆使して物流改革を進めており、物流コストを3~4割も引き下げている。デジタル化でも先行している。
逮捕者も続出「消費者被害を生み出す営業手法の問題点」
ブローカー営業のリスク
インタビュー:自己改革を通じ、商慣行を見直す
全国LPガス協会専務理事 村田光司
インタビュー:国交省も商慣行是正に本腰を
国際大学学長 橘川武郎
連載06(2025.3.31)
LPガスコーナー
️第11回液化石油ガス流通WG「その弐」
商慣行是正に向けたLPガス事業者の取組状況について
VOL.1でお知らせしました通り、年末のとある会合にて、私から「商慣行是正に真摯に取り組んでいるガス会社がある」と事例を発表しましたところ、その場に居られた日置室長から後日、「具体的な詳細事例をお教え願えないか」との依頼がありました。私からは真剣に取り組んでおられる3社の事例を紹介し、そのうちの1社は「社名を出してもよい」との社長判断により、これが同社常務のWG出席へと繋がりました。
私が紹介した3社には以下の共通項があります。
- 社長が商慣行是正に取り組むと宣言し、それが全社員に浸透している
- 賃貸集合住宅の無償貸与契約は有償契約へ切替、困難な場合は契約そのものを破棄している
- 私が実際にその会社の商慣行是正に至るプロセスを社長、もしくは社員の方から見聞きしている
-言うまでもありませんが、人から伝え聞いた等の伝聞ではなく、全て自分の目と耳で確かめた会社です。
なかでも株式会社サイサンは、今回の提出資料にもあるように、会社独自のガイドライン策定、三部料金制に対応したシステム改修、標準帳票類の整備など、研修・説明会だけではなく、改正省令への具体的かつ精緻な対応を、全社を挙げて実施しています。
※私が商慣行是正の講演を全国でさせて頂く前、プレゼンテーション構築に当たって十数社にヒアリングさせて頂きましたが、株式会社サイサンの改正省令への向き合い度合いは、当時から群を抜いていました。
さて、商慣行是正に向けた取組状況に関する事業者調査の概要ですが、まずは取組宣言の中から、私の主観で恐縮ですが、「本当にやっているな感がある」「これは本当に効果がありそう」というものを抽出させて頂きました。※沖縄の販売店の方々には先週、直接説明させて頂きました内容となります。
- 社内講習会や社内通達等を通じて、今回の改正省令および当社の取組方針等を、社内にあまねく浸透させ、また契約書の事後チェック等、社内法務部門とも連携し管理体制の強化に努めます。
→ガス部門内部に限定せずに、管理部門も巻き込んで全社で対応している感があります。 - 賃貸住宅オーナーとの無償貸与契約書の解約を題材とした、話法コンテストを実施(8~10月)。
→これはリアル感ありますね。オーナーがこう言ってきたらこう切り返す等、事前に訓練を積んでおけば対応もスムーズにこなせると思います。LPガス元売りが主催するトークコンテストも、時間内に決まったことを淀みなく言うことに力点を置くのではなく、様々な顧客に対して臨機応変に切り返せるかを主眼にすれば、さらに良くなると思います。 - 建物オーナーと締結した契約書が社内ルール通りに作成されているかを本社主管部門にて全件確認。
- ガス機器、エアコン等、住設機器の投資がないか、投資がある場合は理由を添えた台帳を関係販社の全営業所に毎月報告させてチェックしている。
→これも実務的内容に踏み込んでおり、社内浸透度合いが高そうです。「紹介料は〈契約書なし〉」等という提案資料をばら撒いていた会社には、この事例を見て襟を正して頂きたいところです。 - お客様にとってより分かりやすい料金とすべく、都道府県別単一料金を策定中。
→例えば、「全てのお客様の料金は、HP掲載料金と同じです」という会社が現れたら、信頼度の点で非常に優位に立てるのではないかと思います。もちろん、実際には様々な競争環境や設置条件等々によって、完全な同一料金は難しいとは思いますが、企業努力でこれを成し得る会社が出てきたら、凄いことだと思います。
以下は王道中の王道となります。
- 無償貸与契約書を締結中の賃貸住宅オーナー宅へ訪問、商慣行是正に感する説明を行った上で、無償貸与契約書の解約を提案、新制度への早期移行を促進
- 無償貸与による他社切替の要望・要請があった際には直ちに断り、辞退
- 同業他社の駆け込み営業行為や、利害関係者からの形を変えた利益供与の要求を断ったことなどにより、LPガス供給が同業他社に切り替えられるという甚だ厳しい副作用もあったが、長期的には法改正への真摯な取り組みが信頼関係を醸成するものと信じる
そしてまさに今、解消すべき問題となっているのが三つ目、「正直者が馬鹿を見てしまっている」状態だと思います。私も「顧客を奪われたとしても、真摯な取組姿勢が長期的信頼関係の構築に必ず繋がる」と信じています。そして、それがあるべき姿であり、業界をそういう方向に変えていくべきだと本気で思っています。しかし今現在、改正省令を守っている真面目な事業者が、法の目を掻い潜って省令違反を堂々と行っている事業者に顧客を奪われているという、厳然たる事実があります。結果として、正しいことを行っている者が顧客を減らして血を流しているという実態があります。これを解消しなければ、改正省令は画竜点睛を欠くものになってしまいかねない。規制当局には、ルールを守らない事業者に対しては、どんな大手であろうと遠慮なく、厳正なる法執行の姿勢を持って臨んでもらいたいと、切に願います。
経済産業省「第11回液化石油ガス流通ワーキンググループ 事務局提出資料①」
大和リビング株式会社からの発表コメント
以下にポイントを要約します。
- 管理物件67万世帯のうち34万世帯がLPガス物件
- 2024年6月14日に日置室長が来社
- 2024年6月19日に社内通達「LPガスの商慣行是正に関する法改正への対応の件(指示)」
- 2024年7月、主要事業者にオーナーとの既存契約(無償貸与・フリーメンテ)の取り扱いについてヒアリング
- 2024年8月26~27日、改正ガイドラインについて社内向け説明会実施
- 2025年1月、事業者に設備費用の外出し表示についてヒアリング(設備料金はいくらにするのか、等)
- もともと親会社である大和ハウス工業のアパートマンションの請負営業部隊である集合住宅事業本部が、早くから無償貸与契約、フリーメンテ契約、原価割れ発注、こういったものを止めなさいという指示を出して、新築時の大和ハウスの請負契約の中に給湯器やエアコンを入れて、オーナーさんからお金を頂いて適正なガス料金を提供しましょうという方針を早くから打ち出してきた。
- やはりガス会社によって対応が違うと、省令改正は一つであると思うが、ガス会社の見解・対応が違うということで、当社としての対応も戸惑うというところがあった。戸惑いを無くすためにも、各社の見解を同一にして頂けると有難い。
連載05(2025.3.31)
LPガスコーナー
第11回液化石油ガス流通WG「その壱」
三部料金制の徹底に係る規律の施行に向けて
あらためて、今回のWGで提示された本内容について整理しておきたいと思います。
① 基本料金、従量料金、設備料金からなる三部料金制(設備費用の外出し表示)の徹底
- 「設備料金に関し、本年4月2日以降の新規契約は計上禁止、既存契約は外出し表示※1」
※1…無償貸与契約が存在する以上、「基本・従量料金の中に、それらを回収するための金額が塗されていたはずであり、0円はあり得ない」という前提で説明が求められます(事務局資料より抜粋:「規制当局としては、LPガス事業者が賃貸集合住宅のオーナー等に対して無償で設備貸与を行っている場合においては、LP ガス消費者からその費用を回収しているという前提で説明を求める」)。
例えば「経営努力によって無償貸与を実現させている」「相場よりも料金は安い」という説明のみでは、消費者から費用を回収していないとは言い切れず、固定資産台帳等の経理的書類を見たうえで、減価償却されているか、経費として処理されているかを確認していくようです。
従いまして、特に賃貸集合住宅向けの「設備料金:0円」が正当化されるのは、無償契約を有償に切り替えたという、その契約書がある場合に、限りなく限定されてくるのではないかと思います。また、「自助努力による0円で塗していない」というケースにおいては、上記の経費処理証明に加えて、例えば「数年に亘って戸建てと集合の料金が同一」という記録も客観的証拠になり得ると思います。 - 「基本料金・従量料金・設備料金の3つに分けて通知することが必要」−これは新規も既存も同様です。また、業務用も含めた「液石法に係る全てのLPガス料金において適用」※2されます。
※2…従量料金のみの料金であっても、基本料金と設備料金の項目を設けたうえで、ゼロ円もしくは該当なしとの記載が必要になります。また、LPガス料金総額の内訳として基本料金・従量料金・設備料金を並べて記載することが求められ、例えば、設備料金のみ請求書の備考欄に記載することや、「設備料金なし」とのはんこを請求書に押すという対応は認められません。
② 電気エアコンやWi-Fi機器等、LPガス消費と関係のない設備費用のLPガス料金への計上禁止【新規契約】
- 考え方:エアコンやインターホン等、ガス消費とは関係ない費用をLPガス料金として回収するのは不適当としています(既出まま)。
③ 賃貸住宅向けLPガス料金においては、ガス器具等の消費設備費用についても計上禁止【新規契約】
- 考え方:賃貸集合住宅のオーナー等が設置した、給湯器、エアコン等の設備の費用は家賃として回収されるべきものであり、LPガス料金として回収するのは不適当としています(既出まま)。
経済産業省「第11回液化石油ガス流通ワーキンググループ 事務局提出資料②」
液石法等との関係で問題となる行為について
① 過大な営業行為について
LPガス事業者の切替えを実質的に制限することにつながるかどうかにより評価するとの考え方をあらためて整合的としたうえで、賃貸集合住宅のオーナー等に対する利益供与については、より厳しく評価すべきとの方向で整理しています。
また、「正常な商慣習を超えた」利益供与については、利益供与の額の多寡で評価するというよりは、ガイドラインにも記載されているとおり、「他の事業分野の事例」に照らして正常な商慣習に相当するかどうかで判断するのが適当ではないかとまとめています。
-定量的な基準が独禁法のもとで設けられない以上、定性的な表現にならざるを得ないのは仕方ないと思います。具体的には洗剤程度なら常識の範囲内だけど、クーラーは度を超えていますね、といったように、一般的な道徳水準を守っていこうということだと考えます(もっとも、商道徳の欠如した事業者が少なからずいるために、ここまでの規制が整備されたわけではありますが)。
② 無償貸与設備の残存簿価引き継ぎ
「規制当局として、切替え前のLPガス事業者が無償貸与した設備について、他のLPガス事業者が買い取る行為は、法令違反になりかねず、精算するなど適切に対応するよう指導した事例がある」とのことで、基本的に「認めない方向」で整理されていくようです。
「いわゆる無償貸与といった商慣行そのものの是正を促し、消費者利益を確保するには、過去に行われた無償貸与についても契約更新を期に見直すことが望ましいことから、当該行為については、① 賃貸集合住宅のオーナー等に対する利益供与についてはより厳しく評価する、② 利益供与の額の多寡ではなく、他の事業分野の事例に照らして正常な商慣習に相当するかどうかで判断する、との考え方も踏まえて、過大な営業行為の制限に係る規律の観点から厳しく対応するとともに、無償貸与設備の引き継ぎ費用がLPガス料金で回収しているとの前提で、三部料金制の徹底に係る規律(設備費用の外出し表示・計上禁止)の観点からも重点的に調査していくこととしたい」としています。
③ LPガスボンベ賃借料について
「規制当局として、切替え前のLPガス事業者が無償貸与した設備について、他のLPガス事業者が買い取る行為は、法令違反になりかねず、精算するなど適切に対応するよう指導した事例がある」とのことで、基本的に「認めない方向」で整理されていくようです。
「いわゆる無償貸与といった商慣行そのものの是正を促し、消費者利益を確保するには、過去に行われた無償貸与についても契約更新を期に見直すことが望ましいことから、当該行為については、① 賃貸集合住宅のオーナー等に対する利益供与についてはより厳しく評価する、② 利益供与の額の多寡ではなく、他の事業分野の事例に照らして正常な商慣習に相当するかどうかで判断する、との考え方も踏まえて、過大な営業行為の制限に係る規律の観点から厳しく対応するとともに、無償貸与設備の引き継ぎ費用がLPガス料金で回収しているとの前提で、三部料金制の徹底に係る規律(設備費用の外出し表示・計上禁止)の観点からも重点的に調査していくこととしたい」としています。
これも「過大ではなく土地代相応なら良いのではないか」との意見もありましたが、当該行為を行う合理的な理由があるかどうか、という判断基準が今回加わりました。前回WGの中でも意見として出ましたが、
- 「他人の所有物が、他人の土地や建物に置いてある場合であっても、必ずしもその土地や建物を借りているということにはならない。例えば、レンタル家具屋のソファーを建物の中に置いた場合、レンタル家具屋はその場所を借りていることにならないし、その場所代を払うということにもならない」
- 「LPガスボンベのように、建物の使用者のために使っているものについては、置き場料金が発生することは合理的といえるのか」 -戸建ての土地を借り、ボンベを置かせてもらって賃借料を払っているという話は聞いたことがありません。である以上、合理的な説明は困難で、これも禁止されていく方向と見た方が良さそうです。
経済産業省「第11回液化石油ガス流通ワーキンググループ 事務局提出資料③」
連載04(2025.3.31)
LPガスコーナー
設備料金、戸建てと集合
戸建ては貸付配管をやっている限り、当たり前ですが、設備料金を外出しする必要があります。皆さんのお話を聞く限り、関東ではあるレンジが大勢を占めるようになってきました。完全加重平均の定額償却であったり、あるいは設備投資金額を軸に償却年数で割り返していくやり方など、在りようは各社様々です。大事なポイントは、「客観的に合理的な説明が出来ること」ですから、第三者が納得しうる説明が出来れば問題ありません。
一方、集合住宅は某ハウスメーカーのアンケートによれば、6~7割のガス事業者が設備料金を「ゼロ」と回答しているとのこと。問題は「ゼロ」の内容ですが、国の今回の立て付けは、「無償貸与があるにも関わらず設備料金をゼロとした場合、基本料金や従量料金にまぶしているものと捉える」「まぶしていないのであれば、それを客観的に証明できるようにしておくこと」となっています。
この「まぶしていないと言える客観的な証拠」は、「有償契約に切り替えた、その契約書」以外に無いのではないか、と思っています。「無償貸与はあるけど、基本料金をこんなに下げたんだから」では、通用しません。自社で被ったとて、赤字金額が大きければ、過大な営業行為の規律に抵触しかねません。
以前、日置さんとやり取りしていた折、「ギチギチやれば、資産管理台帳であったり財務諸表などの書類でもって、料金の考え方を詳しく聞くしかないのかなとも思います」との言葉通り、特に影響力の大きい大手事業者で「無償貸与ありで設備料金ゼロ」のところは、厳しく内容を精査して頂きたいところです。
雑感コーナー
橘川先生との対談~その3
自己適合宣言については、第8回(2024.1.29)のWGで、橘川先生が「取組宣言のフォーマットを業界団体に任せるという話があったが、11月末にはそういう方向性が出ているわけだから、なぜ今もって誰も作っていないのか」「大手の動きを待つという考え方はおかしい。言っていることが正しいと認めるなら、なぜもう始めていないのか」
-この先生の一言で、全L協が見本を作り、去年の4月1日から雪崩を打ったように宣言を出す会社が出始め、現在に至っています。対談でも意見が一致しましたが、まずもって宣言については、「出せばいい」というものではない。中には「これで宣言と言えるのか」というものも少なからずある。
だからこそ、先生は「5段階評価すべき」と仰っており、私は「特に大手は宣言と行動計画をセットで出し、日常の行動とそれが合致していれば、優良事業者として認定してもいいのでは」と言わせて頂きました。正直者が馬鹿を見ないために、血を流しても是正活動を正しく貫いた事業者は、経産省が優良事業者として認定する、そういう制度を作るべきです。
ただ、この認定については、直接ある場で日置さんにお願いしましたが、「それを逆手にとって悪用される虞があり、慎重にならざるを得ない」とのことで、「民間にお願いしたい」という意見でした。確かに、認定しておきながら改正省令違反をやられてしまったら、国の威信が揺らぎかねない。
ならば、このあたりは先生の言われるように「業界紙が担ってもいい」かもしれず、あるいは国が外部事業者に委託するというのも手かもしれません。いずれにしても、宣言については出した以上は責任を持ち、行動に反映させて、消費者に信頼されるよう繋げていって頂きたいと願うところです。
今月の書籍『安売りしない会社はどこで努力しているか?』
『安売りしない会社はどこで努力しているか?』-これ、15年前に買った本なんですが、中味が色褪せないんですよ。
- 「接するスタッフが気持ち良かったから」・・これが、ある調査でわかった、人がモノやサービスをリピートする理由です。
- 安売りしない会社は、例外なく「スタッフ力の強化」に多大なエネルギーと時間を費やしています。
- 小さな会社は、大きな会社よりもスタッフの数が少ないのだから、スタッフ力やチームビルディングを、より強化しやすい状況にあります。
- 「大きな会社にできないこと」を徹底していくのが、小さな会社のすべきことです。
・・・こんな序章から始まるのですが、「価格」よりも「お客様にとっての価値」に徹底的に目を向けることの大切さを説いていて、まさに今のプロパンガス業界、特に中小事業者に見習ってもらいたい部分なんですね。大手の安易な価格競争から一歩抜け出し、お客様に選んでもらえる価値を創り出す。
そして、その価値の一例として、なんとこの本の中に、あるプロパンガス会社の事例が載っているのです。
「-スタッフ全員がオシャレにデザインされたユニフォームを着て、楽しそうに町の清掃をする姿は、その地域の名物。表彰や取材もたくさん受けています。プロパンガスという、どこで購入しても差がない、ともすれば価格だけが契約の決め手になりがちなものですが、「うちは絶対にここ」と、「地域の人気者になっています」
改正省令、三部料金制-価格のみに目が行きがちなところで、自社ならではの価値をいま創り、競合に差をつけていきませんか? そういう時代がもうすぐやってきそうです。
連載03(2025.3.12)
LPガスコーナー
北関東における集合住宅の大規模切替情報について【続報】
2月7日にお送りしました本件ですが、群馬県LPガス協会からの注意喚起通知等もあり、どうやら未然に防止できたようです。本メルマガを通じて、様々な方々からのご協力が得られたことに感謝申し上げるとともに、引き続き皆様方からの情報提供をお願いいたします。
一方で、某大手事業者の提案資料の中に「紹介料支払(契約書なし)」で、「紹介料支払い1戸当り55,000円(税込)をお振込みいたします。計算例 55,000円×10世帯=550,000円(税込) お支払いする金額については、契約書・解約時の違約金なし、LPガス使用者様のガス料金に転嫁いたしません」というものがありました。
55,000円が定量的な基準で「過大な営業行為」に該当するかどうかは判断が難しいものの、550,000円もの大金が大家さんの懐に入るのは、どうみても「過大な営業行為」でしょう。加えて問題なのは、(契約書なし)というところです。
契約書なしでの金銭のやり取りというのがあってよいのか。大家さんがどんな費目で処理されるのか分かりませんが、脱税や粉飾の温床には十分になり得ます。従いまして、これが「大家さんのためを思った」やり方なのかどうか、甚だ疑問が残るところです。
通報フォームでは共有できない! 販売事業者の「疑問」「質問」を収集
『LPガス販売店のための法律Q&A』『LPガス販売店のための法律相談シリーズ』を発行する諏訪書房(ノラ・コミュニケーションズ)は、改正省令対応等でのLPガス販売事業者の「疑問」「質問」を収集する特設サイトを開設しています。
資源エネルギー庁が開設した「通報フォーム」の通報内容やそれに対する当局の対応が、早い時期にすべて開示されることは難しいという判断のもと、販売事業者の疑問や法律的な相談等を収集し、弁護士等専門家の判断を添えて情報を共有しようという試みとのことです。
改正省令施行後も、様々な解釈が飛び交っており、現場の理解に混乱も少なくありません。また今後、県レベルでの行政指導において、異なった見解、対応が生じる懸念もあることから、「共通の解釈・理解を醸成して欲しい」という業界の要望に応えての取り組みとなります。
皆様方の情報収集のご協力を、お願いいたします。
新・14条書面の活用について
『新しい14条書面は、三部料金制が前提の記載となり、設備料金の扱いが明確化されています。当然、「空調設備」も削除となって、あらためてお客様に説明する必要があるはずですが、料金の算定根拠に変更はありませんので、再交付は義務付けられてはおりません。
しかしながら「七協議会(※)」は、商慣行是正に向けた改正省令の施行を契機とし、LPガス事業者による自主的な取組として、既存顧客への14条書面の再交付を推奨事項として決定しています(※日本液化石油ガス協議会、東北液化石油ガス保安協議会、関東液化石油ガス協議会、中部液化石油ガス保安協議会、近畿液化ガス保安協議会、中国液化石油ガス保安連絡協議会、九州液化石油ガス保安連絡協議会)。
ですので、特に小規模事業者の皆様には、新・14条書面を改めてお客様に手渡す機会を通じて、「どうして三部料金制になったのか」「従来は基本料金と従量料金の中に入れていた設備費を、改正省令では分けることになった」等を、丁寧に説明できるよい機会となります。
少ない対面の場を活用し、お客様との信頼を深める機会にしていきましょう!
雑感コーナー
橘川先生との対談~その2
国交省の姿勢については、先生も「もう一つの敵」と例えられ、「なるべく火がつかないように逃げ切ろうとしている感がある」と対談にて言われたように、商慣行是正問題に積極的に協力している感が、いまいち見えてきません。
私が講演でいつも言わせて頂いているのが「国交省を動かすのは、ガス事業者の皆さんなんです」ということ。どういうことかと言いますと、通報フォームへの、無償貸与を強要する不動産事業者の実名投稿が少ないんです。これが多く集まれば、国交省はさすがに指導せざるを得なくなるわけで、もっと皆さんの声が必要なんですよ。
一方で、先生は「国会で国交大臣に質問させるのも手かもしれません」と仰っておられました。私もそのお言葉をヒントに、知り合いの参議院議員に動いてもらっております。
未だに無償貸与や紹介料等を強要する不動産業者が後を絶たない中、LPガス事業者がそれを受け入れれば、改正省令の罰則規定において、最悪、ガス事業者の登録をはく奪される一方、不動産業者には何の罰則もないという、極めて不均衡な状態に陥っています。
この不均衡を解決するためにも、あらゆる方面から国交省に働きかけて参りたいと思います。
今月の書籍『漂流する日本企業(伊丹敬之、東洋経済)』
書いてあることは、私のプレゼンテーション研修の序章で言わせて頂いていることとほぼ同じです(・・と、ファンである方の書籍をつかまえといて何ですが・・)。失われた30年がなぜ起こり、多くの社員がやる気を失っているのか。
バブルの資産価値の暴落度合いが想像を絶し、以降、サラリーマン経営者のほとんどが「コスト削減」のみに走り、自らの任期を恙なく過ごすことに専念した結果、挑戦の気概は失われ、社員が仕事に対する熱意を失っていきました。
一方、その間のアメリカの著しい成長は、「起業の文化」が浸透していて、チャレンジ精神が旺盛であったという点が大きいと思います。日本は「寄らば大樹の陰」-その大樹が枯れて、寄っていた自らも生気を失ってしまった感は否めません。いい大学、大企業への就職が成功路線として永らく在り続けた日本、今や日米の企業競争力格差は埋まるべくもないほどに広がってしまいました。
なので、独立して頑張る個人に増えて欲しいんですよね。私もいまその準備を進めておりますが、歳を取ってもまだまだやれることはある!ということを、自分自身を持って証明していければと思います。引き続き皆様方のご協力のほど、宜しくお願い申し上げます。
連載02(2025.3.12)
緊急-集合住宅の大規模切替情報(北関東)
2月に入りまして、某大手事業者による「集合物件オーナーへの大規模切替攻勢」情報が各方面より入ってきております。
対象は群馬県、栃木県が今のところ上がってきておりますが、エリア拡大の可能性もあります。
『55,000円/件(紹介料)、基本料金1,500円、従量250~350円/㎥』という情報がありますが、まず紹介料につきましては前回のワーキングでも触れられていたとおり、
施行前の駆け込み的な営業に関する情報が多かった事業者に対し、「一定額の紹介料を支払っている事業者に対し、過大な営業行為に抵触するおそれがある」と、規制当局が指摘を行っております。
また、『250~350円/㎥』という価格レベルは、現行仕入値から考えて明らかに「値上げありきの安値売込み」に該当します。
こちらは、通報フォームのみならず、下記の「特商法違反被疑情報提供フォーム」を活用ください。
すでに国交省からも「今後、不動産関係者・建設業者がLPガス事業者に対し、液石法に係る規律違反に該当する利益供与等を求めることがあった場合、当該行為は取引先に対してコンプライアンス違反を求めるものとして問題となりえることから、不動産業界・建設業界への信頼を損なわないようにするためにも、液石法改正趣旨について理解頂きたい」旨、発信されております。
建設産業・不動産業:LPガスの商慣行是正に向けた制度見直しについて - 国土交通省
連載01(2025.3.12)
LPガスコーナー
日置さんからの依頼
経済産業省の流通政策室、日置室長と最近やり取りをしている中で、2つほどお願いを受けました。
一つは、「商慣行改革に取り組んで良い成果を挙げた実例」について、です。既に次回ワーキング(2月下旬開催予定)に間に合うように、先行して代表事例をお送りさせて頂きましたが、良い事例があればどんどん挙げていきたいと思っています。皆様方で「従業員のモラルが向上した」「売上は減ったが余計な経費が減った」等など、良き事例がございましたら遠慮なくお知らせください。
二つは、「消費者への強引なLPガス勧誘(その後、大幅な値上げにつながると予測される安値売り込み情報含む)については、液石法の通報フォームに情報を寄せて頂いても即効性がなく、特商法の情報提供窓口に持ち込んで欲しい、というものです。流通政策室、少ない人数でガソリンの補助金までやっておりますのと、やはり即効性の観点からは特商法窓口がよいかと、私も思います。
特商法に基づく申出制度についてのパンフレット
(3ページ目に、迷惑な勧誘行為や、事実と反することを言う行為も規制対象と明記されています)
消費者契約法について
これ、去年4月19日の「中間とりまとめ(案)」のパブリックコメントの「24」にあって、ずっと気になっていたんです。
「いわゆる貸付配管について、消費者がLP ガス事業者を当社から他の事業者に切替えた際に、14条書面のとおり貸付配管の残存分の代金を請求し、入金されたが返金請求されるなど裁判になった。裁判官に、液石法にしたがって貸付配管の代金を請求しているのになぜ裁判になるのかと尋ねたところ、消費者契約法で主張されると争いになるとのことだった。法改正時、消費者契約 法、液石法、民法等の考え方から、LPガス 事業者が生き残れる方策を検討してほしい」
-弁護士の松山先生にお聞きしたところ、「消費者契約法は消費者と利用者の情報量および交渉力に「構造上の格差」があることに鑑みて、消費者がその内容を正確に理解していたとしても無効とするものなので、LPガス事業者が消費者に対して無償貸与や貸付配管の契約内容を詳しく説明し、消費者の理解を得たことを理解する措置を取ったとしても、その内容によってはその条項は無効となります。
したがって、貸付配管のことが契約書に小さく書かれているだけで、消費者が確実に理解しているとは言えないような状況であれば、貸付配管の条項は無効であり、それまで支払った配管代の返還請求か可能となる可能性があります」-とのことでした。
要するに、消費者に不利益が及ぶ、あるいは知り得ないであろう内容について、「契約書に書いてあるでしょ」では通らないのがこの消費者契約法なわけです。14条書面の再交付は「義務」ではなく「推奨」ですが、できればこの機会を通じて消費者に丁寧な口頭説明をしていくのが望ましいと思います。問われているのは、「説明責任」ですから。
エレトクコーナー
エレトクって何なの?
はい、私がいま一押しの製品であります。
空調の室外機に取り付けて、圧縮機の運転を制御、電力使用量を最大25%程度減らしてしまうという優れもののデバイス。空調って、法人施設の電気代の3割から4割ぐらい占めてるんですよね。照明よりも電気、使ってるんです。
最大の特徴は、「初期投資もランニング費用も掛からない」点、そして「リアルタイムな電流値測定による正確無比な削減量(=削減料金)の算定」にあります。
「初期投資無料!」と言うと、「え~、嘘でしょ」との反応もございますが!正確に算定した毎月の削減額の中から一部を回収させて頂くビジネスモデルとなっております。ですので、設備投資にお金を掛けずに、着実に電気代を減らしたいという、いまいまの法人様のニーズにピタリと当てはまる製品なんです。
エレトクはどういうところにおすすめ?
やはり、空調をたくさん使うお客様におすすめです。空調が24時間稼働となりますと、病院や介護施設、冷凍冷蔵倉庫、それと大型の工場やスーパー、ホテルなどにも導入させて頂いております。
導入の目安としましては、「年間電気代が800万円以上」「容量が30kW以上(高負荷率)」となります。
「基本料金」「料金単価(夏季、他季)」「空調圧縮機の容量(KW)」が分かれば、「どれぐらい電気代が削減できるか」のざっくりとした試算が可能です。
「圧縮機の容量(KW)」は空調の銘板に書いてありますし、設備担当の方はすぐお分かりになると思います。で、「だいたい、これぐらい減りますよ」ということで、「よし!導入しよう」と決めて頂きましたら、現地を調査させて頂きまして、エレトクの必要設置台数や、より詳しい削減金額を試算させて頂きます。
※「圧縮機の容量って」-分からない、分かりづらい場合、銘板の写真を撮って送ってください!
雑感コーナー
橘川先生との対談~その1
現在、プロパン産業新聞にて隔週でコラムを連載しておりますが、橘川先生→境野→橘川先生→境野・・という順で、私の方はお陰様でもう連載100回を超えまして🎉もうすぐ丸5年になります。今回、新聞社の企画で新年特別対談という形で行わせて頂いたのですが・・・先生はとても気さくな方でした! ご自分で、「私は学者というより運動家なんです」と仰られていたように、商慣行是正の実現に向けて、色々と戦術を練っておられます。
ワーキングでは歯に衣着せぬ論調で、鋭く大手事業者に切り込まれておりました。特に印象に残っているのが、第5回でしたかね。某委員の発言に対して、
「賃貸への過剰投資はしないと言うが、三部料金制は問題があると言われた。法律で決めることもおかしいというようなことも言われた。私は両方、間違っていると思います」
「三部料金になっていないからこそ転嫁が起き、賃貸のところに消費者の不利益が生じている。林委員は「消費者被害と言っていい」とも言われた」
「そもそも、今まで指針と行政指導だけではなかなか進んでこなかったところに問題があるわけで、それを今さらもう一度、行政指導と指針の徹底でいきますというのは、全然、消費者に対する答えになっていない」
・・・ここで三部料金の義務化が、事実上、決まったわけですね。流石でした。
今月の書籍
土曜日の日経で『失敗の本質(野中郁次郎氏他)』に触れていたので。私もだいぶ前に読みましたが、旧日本軍の失敗がバブル崩壊の原因と重なって非常に興味深かったのを覚えています。「一言で言えば、成功体験への過剰適応」との言どおり、高度経済成長期のプロセスをそのまま追った結果、バブルで自壊して30年の低迷を招いた日本経済。
失われた30年の元凶は何か、とコメンテーターが聞いて野中氏から返ってきた答えが、「プランニング(計画)、アナリシス(分析)、コンプライアンス(法令順守)の3つの過剰こそ真因」との言。
さらに野中氏は、「PDCAがPdCaになってしまった」と指摘。「Pの計画とCの評価ばかりが偏重され、dの実行とaの改善に手が回らない」と。これ、ENEOSなんていう大企業にいたからよく分かるんですよね。経営企画部みたいな管理部門がやたら大きくなって、計画と評価は立派で時間も掛けるんだけど、肝心な実行力が手薄で、実行してないから改善もしようがないぞ、と。
大企業の多くがビジネスモデルが確立していて、極端な話、何もしなくてもお金が入ってくるものだから、これがまかり通ってきました。しかし、これからはもう無理ですね、これだと。逆に、中小企業は「pDcA」じゃないと潰れてしまいます。計画と評価はそこそこに、何よりも実行と改善、このプロセスの繰り返しこそが成長への礎となります。
とにかく、失敗してもいい覚悟で、何でもまずはやってみること。成長企業とそうでない企業の差はここです。「理解している、やれば出来ることも分かっている、だけどやらない」…ダイエットみたいですね。とにかく、やってみましょう。