「月刊LPガス」連載:2024年6月号~

LPガス事業者の
リクルートを考える

著:タスクフォース21雇用問題分科会

連載第2回転勤が多い会社には
行きたくない

共働きが当たり前の時代

就活生が求めているのは「安心して働ける会社」ということである。そして学生が考える「安定している会社」の定義としては、「福利厚生」が充実していることが最大の関心事とのこと。

逆に「行きたくない会社」としては、学生の30.3%が「転勤の多い会社」と回答している。20年前は15.9%だから、倍になっているわけだ。以前から「ノルマのきつそうな会社」や「暗い雰囲気の会社」は敬遠される傾向があったが、ここ2年で「転勤」が「暗い雰囲気」を抜いて第2位となっている。

転勤を嫌がる理由は、共働き志向の学生の増加であり、また終身雇用が当たり前でなくなった環境下で、長く続けるためにどうしたらいいのかを考えているということにあるようだ。

共働き志向は、以前から女子学生には強かったものの、男子学生はそれに追いついていない状況だった。しかし最近さの差がぐっと縮まっているという。「世界的に日本のジェンダーギャップ指数は伸び悩んでいるが、若者はかなり平等主義」(東郷氏)で、これは教育現場でのスタンスが変わってきていることも影響しているという。

また、夫1人の収入で家族を養うということが困難な社会となりつつあり、さらに、2人で稼ぐ「パワーカップル」という存在がもてはやされていることも見逃せない。転勤があれば共働きができない(単身を余儀なくされる)から、長く勤める会社ではない、という判断となるわけだ。

ここで経営層がしっかり認識しなければならないのは、そもそも「女性ワーカーは腰掛」などという考えは、もう世の中にはないということだ。昨年の「LPガス業界企業の採用に関する調査」では、「新卒採用のうち女性は0」がおよそ3割、募集職種は一般事務が半数以上となっている。LPガス業界は、まだまだ「男社会」と言わざるを得ない。

若者も3年では辞めたくない

ところで、「最近の若者はすぐ辞める」とよく語られているが、ステップアップ狙いで最初からそう考えている就活生よりも、「長く働ける会社」を探す就活生の方が、まだまだ多いようである。もっとも、「一生同じ会社に勤める」というのではないようで「10年くらいは働きたい」が主流。それでも、厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」などからは3年で3割が離職する傾向が景気変動に関わらず長年続いているのは、企業と就活生のミスマッチが原因と言えるだろう。

また、コロナ禍でテレワークが社会に浸透し、転勤の必要性に疑問を持つ若者が増えたという指摘もある。こうした中で、異業種では、当人の希望がなければさせないという方針に変えたという企業もあるようだ。

地域密着型企業が大半のLPガス業界の場合、広域での転勤がある企業は元売りやスーパーディーラーなどごく限られた企業ではある。しかし、M&Aの等により事業が広域化する企業は今後増えると考えられる。

転勤がやむを得ないという企業は、場所や期間、それによって得られるキャリア等をあらかじめ知らせておくことが、離職防止や新卒獲得で必須であると言えるだろう。

参考・出所/マイナビ 2025年卒大学生就職意識調査 ほか

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