連載第8回採用難に勝つ
採用力強化のポイント②
無料求人媒体を活用する
「採用改善の専門家」として中小・中堅企業の採用力強化コンサルティングを行う木下峻一氏(PrimoPinguino代表取締役)は、中小・中堅企業が陥りがちな失敗をとして(タスクフォース21 第164回例会での講演より)、「これだけはやらないで!」の第一番目として、「いきなり有料の求人広告を出す」ことをあげている(前号)。
採用の方法も媒体もたくさんある。どの求人広告媒体を使うか、あるいは人材紹介なのか、ダイレクトリクルーティングなのかといったことは、人事担当者が頭を悩ますことではあるが、木下氏によれば「そのような『選択』は一番最後」だという。採用戦略や求人のコンセプトを固めるとともに、採用戦略をしっかり決めた上で、採用方法を決めるべきだという。
しかしそうは言っても、そうのんびりも構えていられないというのが採用側の本音であろう。そこで木下氏は、「戦略を練りながら、まずは無料求人媒体からはじめるべきだ」とアドバイスしている。
現在、無料の求人ページはネット上にいくつかあり、それらの中には求人検索エンジンのIndeed に自動で連携、求人が転載されるものもある。採用戦略と求人コンセプトをしっかりと作れば、そういった媒体でも、応募者を獲得できる可能性は十分あるという。
いくつかの媒体、方法を組み合わせるとしても、そこに無料媒体を加えておくことで、求職者獲得の効果をアップさせつつも、採用コストの低減や最適化を図ることができるということのようだ。
好き嫌い、上から目線はダメ
そして二つ目として、「求職者への連絡が遅い、求職者を待たせるのはNG」とも語っている。
求職者が応募したらなるべく早く返答することが大切だとし、木下氏のコンサルティング先では、応募後1時間以内に最初の連絡を入れるように助言しているほか、求人媒体に搭載されている自動メッセージ送信機能を使った仕組み化を提案しているという。「鉄は熱いうちに打て。求職者の温度感が熱いのは応募をしたその瞬間。早めの連絡が吉。」(木下氏)。
次いで、求職者と日程調整ができて面接できるようになった際にも、「やってはいけないこと」がある。それは「好き嫌いが優先の採用判断」。採用は明確な選考基準に則って判断すべきで、それがないと、結局は面接者の好き嫌いということになってしまう。
「面接での会話が弾んだ」「いい感じだった」といったことで決めてしまったものの、蓋を開けてみたら、採用要件と合っていなかったということがままある。あえて嫌いなタイプの人間を採用することもないが、話題が合って話が盛り上がったといった「好き」な部分が印象的な場合は、より慎重に判断すべきだという。
そして、面接時に注意したいのが「上から目線」のスタンス。人が欲しくて仕方がないのに、今時そんな面接官はいないだろうと思うが、採用側に「選んでやる」「採ってやる」といった感じが少しでもあれば、求職者は敏感に感じる。企業と求職者は対等であり、面接する会社も「選ばれている」ということをしっかりと認識して臨まねばならない。

《参考》採用力強化コンサルティングを行っている木下氏(PrimoPinguino)は、顧問先に対して採用戦略や求人コンセプトの立案や、無料で始められる自社専用の求人媒体「engage」の立ち上げ支援なども行っている。問い合わせはホームページから。
●タスクフォース21第164回例会の木下氏の講演は同会ホームページで再公開中。