「月刊LPガス」連載:2024年6月号~

LPガス事業者の
リクルートを考える

著:タスクフォース21雇用問題分科会

連載第5回多様化する求人メディア
法改正を理解した対応を

求人メディアの多様化に対応

「新卒が採れないから中途採用を」というのは昔の話で、今や中途採用での人材獲得も極めて難しくなっている。それに伴い、いわゆる「中途採用求人市場」も活況を呈していて、その市場は「最大値を更新中」とまで言われている。

中途採用に応募する側、つまり求職者が情報を得るのは、ほとんどがインターネットからである。厚生労働省は「求職活動におけるインターネットの利用が拡大する中、就職・転職の主要なツールとなっている求人メディア等について、幅広く求人情報・求職者情報を提供する事業を法的に位置づけ、職業安定機関との相互の協力の対象に含めるとともに、安心してサービスを利用できる環境とするため、求人メディア等が依拠すべきルールを明確にする」(「令和4年職業安定法の改正の概要について〜求人メディア等のマッチング機能の質の向上」)として、2022(令和4)年に職業安定法の一部を改正し、さらに24年にも一部改正を行っている。背景には「従来の求人メディア以外にも、職業安定法に規定のない多様なサービスが登場」(前掲)したことがある。同省が想定している「募集広告手段」としては、まず新聞、雑誌、その他の刊行物に掲載する広告、文書の提出・頒布、書面、ファックス。そしてウェブサイト、電子メール、メッセージアプリ、テレビやラジオ、オンデマンド放送等となっている。つまり現在は、これだけ多種多様に「求人広告手段」が世の中に認知されているということである。

そして、この改正により、中途採用において「ルールの変更」があったことを、求人担当者はよく理解しておく必要がある。

採用・雇用問題に詳しい社会保険労務士の朝比奈広志氏は、この改正について、まず22年10月に施行された変更については、大きく2点のテーマがあるとしている。1つは、求人等に関する情報の的確な表示が義務付けられたこと、もう1つは個人情報の取り扱いに関するルールが新しくなることだとしている。「厚生労働省が『求人等に関する情報の的確な表示』というものに目を向けたということは、的確な表示がされていなかった実態があったのだろう」(「タスクフォース21」第162回例会での講演より。以下、適宜引用)と推測し、さらに個人情報については、マイナンバー導入などがあり、その重要性について大きな関心が向けられており、募集に際しても、個人情報を丁寧に扱わなければならないということが法律に盛り込まれるようになったとみている。

ホームページ掲載でも注意

改正職業安定法における労働者の募集ルールの変更では、まず求人等に関する情報の的確な表示が義務付けられている。求人企業に対して、①求人情報や②自社に関する情報の的確な表示が義務付けられた。 「虚偽の表示をしてはいけないことは当たり前だが、誤解を生じさせる表示はしてはならないということが盛り込まれました。さらに求人情報を正確に、また最新の内容に保たねばならない」(朝比奈氏)ようになったわけだ。 「企業のホームページに求人情報が載っているが、実際連絡してみると、『いまは募集していません』といわれることも多い。国も、そのことを意識しているのだと思われる。募集を終了したり、内容を変更したら、速やかに求人情報の提供を終了したり、内容を変更しなければならない」という。

募集が終わってもホームページからの削除をうっかり忘れ、そのまま何年も放置しているという企業は、実際少なくないが、これは法律違反になるということだ。同様に、無料求人メディアを利用している場合、募集を終了や内容の変更時は速やかに反映するよう依頼する必要がある。

「常時求人している」という場合でも、常に「最新かつ正確な」求人情報となっているかの確認が、法的に必要になっていると理解すべきだろう。

求人メディア等の多様化のイメージ

参考・出所/厚生労働省「令和4年職業安定法の改正の概要について」、第162回タスクフォース21講演録 ほか

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