「月刊LPガス」連載:2024年6月号~

LPガス事業者の
リクルートを考える

著:タスクフォース21雇用問題分科会

連載第13回すべての広報活動が
求人活動につながる

ビジネス特化型SNS

前号ではZ世代を中心に就活・求職情報をSNSから情報入手することが増えていると報告した。

新卒やキャリア志向をターゲットにした求人活用で今後ますます利用が増えるとみられているのが、LinkedIn(リンクトイン)。世界で10億人以上が利用する世界最大級のビジネス特化型SNS。日本でも300万人弱の利用者がいるといわれている。履歴書代わりのプロフィール作成や、企業や人材の情報収集、グローバルな人脈づくりなど、ビジネスに特化した機能が充実しているのが特徴。2003年にアメリカでサービスが開始され、2016年にマイクロソフトが買収している。

LinkedInに興味がある企業やユーザーを検索してフォローしたり、投稿を閲覧したりして情報収集ができる。また、メッセージ機能を使って他のユーザーと交流することで、情報交換や人脈をつくることも可能。求人情報の検索や応募もでき、就職・転職活動にも活用できるため、海外では求職者や雇用主によって広く利用されている。日本でも利用拡大を見込んで求人情報サイトが取り上げ、企業側に利用を促すようになっている。さらに、フリーランサーと企業とのマッチングのプラットフォームとしての利用も期待されている。

就活学生にとってのLinkedInの利用は、グローバル企業志望の学生では〝当たり前〟のツール。経営層や社員に直接アプローチできることがメリットと考え利用するIT・スタートアップ志望の学生もいるようだ。「情報感度の高さ」をアピールし、他の志望者との差別化のために利用する学生がいて、そういう学生を探すために活用する企業なども出てきている。

社内報も業界紙も求人利用

以前からLinkedInを利用した求人で成果を上げているのが、ツネイシホールディングス。すでに10年前からLinkedInを利用している。広島を拠点とする明治時代からの海運、造船、エネルギーなどの有力企業だが、全国的な知名度、ことに大学生に対しては必ずしも高くなかった。そこでLinkedInでの発信を始めたところ、一挙に8000人ものフォロワーを獲得し、求人も好転したという。

LinkedInに限らず、ソーシャルリクルーティングで成功するためのポイントは「企業の〝らしさ〟の発信」と「定期的な発信」にあるとされる。従来型の求人情報の発信では、求人を目的に求人のスケジュールに合わせた発信を行ってきた。SNS活用の求人情報発信では、常時定期的に発信するのが重要で、その内容も、募集を全面に出すのではなく、定期的な発信の中で自社の「職場の雰囲気」「企業の色合い」といったものを閲覧者に理解させていく方法が大切になっているようだ。

採用に特化したSNSの運用代行サービス「エアリク」を運営するリソースクリエイションの調査によると、就活生の9割が「企業のSNSアカウントは必要」と回答しているという(「SNS就活についての実態調査」)。その理由は、選考に進むうえで重要視するのが「社員の雰囲気」だからだという。

求人広告も企業イメージ広告も商品広告も連携し、むしろ線引きや垣根をなくしていくという、これまでとは広報の考え方を変えた戦略が必要だということ。

例えば、これまでインナー向けだと思われていた社内報や業界紙掲載記事を、SNSに転載し一般に発信するといったことが行われるようになっているのである。社内報は自社が自社を紹介し、業界紙はメディア(外部)が自社を紹介・評価する。これらを組み合わせて発信することで、閲覧者側が自社の企業像や〝らしさ〟を自ら組み立ててくれるようにしていくことが、効果的な広報であり、求人戦略だということになる。

日本におけるSNS利用者の推移

参考/リソースクリエイション「SNS就活についての実態調査」

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