連載第7回採用難に勝つ
採用力強化のポイント①
3社に2社が人手不足
東京商工会議所と日本商工会議所が今年9月に発表した「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」の調査結果によると、人手が「不足している」との回答が6割超(63.0%)。実に、3社に2社が人手不足ということで、中でも運輸業(83.3%)、建設業(79.2%)では約8割に達するなど、厳しい状況が続いている。
また、人手不足企業の6割超(65.5%)が、「非常に深刻(廃業のおそれ)」または「深刻(事業継続に支障がでるおそれ)」との回答となっている。わがLPガス業界の場合も、「廃業のおそれ」は聞かないまでも、「事業継続に支障がでるおそれ」は、中小を中心に語られ始めている。
調査による人手不足への対策は、「採用活動の強化」が78.4%と最多。「採用活動」以外の対策としての、生産性向上や多様な人材の活躍推進の取り組みは、いずれも約3〜4割にとどまる。まずはとにかく人集め、ということだ。
各社、採用活動に躍起となっているが、「採用改善の専門」として中小・中堅企業の採用力強化コンサルティングを行う木下峻一氏(PrimoPinguino代表取締役)は、中小企業、中小・中堅企業が陥りがちな失敗を挙げ「これだけはやらないで!」といくつかのポイントを挙げている(タスクフォース21第164回例会での講演より)。
まず採用戦略を決める
その中でまず、第一番目に挙げているのは「いきなり有料の求人広告を出すのはNG」だということ。年間に100万円、200万円もかけて求人広告を出しているけれども、最近全然応募が来ない、人が採れないという企業も多い。しかし、その多くは、採用戦略や求人のコンセプトがない、または弱いことにより、求人手法や求人媒体の選択を誤っているからだという。
「どこの媒体に広告を出そう」というのは、戦略ではない。また、「今なら広告料を大幅に値引く」といったキャンペーンや営業トークに惑わされて出稿を決めるのは絶対に避けるべきだと木下氏は忠告している。
「求人広告を出す」前に、まずは、どういう人材を求めているかを明確にして、そのために「面接等ではどこをポイントに人物を見るか」「自社の強みや特徴と求職者のニーズをどうマッチさせるか」……といった採用戦略をしっかり決めた上で、採用方法を決めるべきだという。

《参考》採用力強化コンサルティングを行っている木下氏(PrimoPinguino)は、顧問先に対して採用戦略や求人コンセプトの立案や、無料で始められる自社専用の求人媒体「engage」の立ち上げ支援なども行っている。問い合わせはホームページから。
●タスクフォース21第164回例会の木下氏の講演は同会ホームページで再公開中。